星歴13夜のニューシングル「Baby baby Cupid」が6月17日にリリースされた。
3月に発表したシングル「哀唄日夜」のリリースイベント期間中に緊急事態宣言が発令され、インストアライブの中止および全国ツアーの開催延期を余儀なくされた星歴13夜。しかし、4月からは配信ライブを定期的に行い、6月にはシングルを発表するなど、彼女たちはコロナ禍でも活動を止めなかった。音楽シーンが危機的状況にある中で、迷いや不安を感じながらもひたむきに活動を続ける彼女たちに今の率直な思いを聞いた。
取材・文 / 倉嶌孝彦
ツアーを回るのとは違った成長ができた
──3月発売の前作シングル「哀唄日夜」からほどなくして新型コロナウイルスの影響で思うように活動できない期間に入ってしまいましたよね。この期間中、皆さんはどう過ごしていましたか?
色とわ 私たちに限ったことではないんですが、活動自体がものすごく変わってしまいました。まず緊急事態宣言が発令されたときは予定していたライブが急になくなって、3週間くらいは何も予定がなくなっちゃった。
寝こもち 星歴として活動を始めてからはずっと毎週末にリリースイベントやライブがあるのが当たり前になっていたので、いきなり活動ができなくなってすごく喪失感がありました。
園ほまれ 4月には全国ツアーが始まる予定だったんですけど、それも延期や中止になっちゃって。ただ、みんなでひさしぶりに集まったとき、ツアーの代わりに配信ライブをしようという話をスタッフさんから提案していただいたんです。それで、ツアーの日程に合わせて毎週配信ライブをすることになりました。
とわ ひさしぶりにメンバーが集まったときは、たくさん話したよね。みんな外に出てなかっただろうから、人に会うのが珍しかったんだよね。
天まうる みんな話したいことが溜まってたみたいで(笑)。
浮あかね 配信ライブが始まってからはむしろ忙しかったくらい。ひさしぶりにみんなでライブできたときはうれしかったなあ。
こもち 何もしないことが怖かったんですよね。こんな世の中だからといって暇をしているわけにもいかないし。ファンの方に会いに行けなくなることで、みんなが星歴のことを忘れちゃうんじゃないかって不安にもなって。だから配信ライブをやろうという話になったときは、みんなけっこう前のめりに「やりたい!」ということになりました。
──配信ライブは、皆さんにとってこれまでなかった試みでした。
こもち すでに10回以上配信ライブをやっているんですけど、まだ慣れないですね。ライブハウスだったら目の前にお客さんがいて、私たちのパフォーマンスに反応してくれるじゃないですか。でも配信ライブはメンバーとスタッフさんしかいない空間でライブをするから、みんながどういう表情でライブを観てくれているかがわからなくて。
あかね カメラを回してくれているスタッフさんをお客さんだと思ってライブをしています。スタッフさんのことをあまり反応しないお客さんと重ねて目線を送ってたり(笑)。
とわ 配信ライブを何度かやるうちに、ライブハウスと配信では見せ方が全然違うなということがわかってきました。例えば、ライブハウスだと私たちとお客さんの距離はほぼ一定なんですけど、配信だとカメラがズームをすればそれだけお客さんとの距離が近くなるのと同じで。私たちの顔がいつもよりアップで見られることが多いから気が抜けなかったり。
まうる 配信ライブのほうが、たくさんの視線を感じる気がするんですよね。
あかね めっちゃわかる。本当に気が抜けない。
まうる ライブハウスだとお客さんがどこにいて、どこに注目しているかがなんとなくわかるんです。でも配信だと自分がいつ抜かれているかわからないんですよね。だから表情をより意識するようになったし、ダンスもキレイに見せられるように気を付けるようになりました。
こもち ダンスや表情だけじゃなくて、歌にもすごく気を使うようになったよね。ライブハウスだと会場に響いてお客さんの耳に届く音が、配信だとマイクに通ったそのままの音がダイレクトに伝わるんです。だからちょっとだけピッチがズレただけでもすごく気になるし、声量もみんなでちゃんと合わせないとキレイに聞こえなくて。
ほまれ ブレスの位置とか、声量を抑えるところはみんなで細かく決めました。
──普段と異なる手法でライブをすることで、自分たちのライブを改めて見つめ直すいいきっかけになったのかもしれませんね。
とわ 本当にその通りで、配信をするようになって自分たちのライブを見返す機会も増えたんですよ。普段のライブでは毎回撮影をしていたわけではなかったから、自分たちのライブを客観的に観る機会がそこまで多くなくて。配信をするようになって、やっと自分たちのライブを第三者目線で観れたというか。
あかね 「ここのほまれ、めっちゃ大人っぽい!」みたいな発見がたくさんあった!
ほまれ 表情はね、すごく研究しました。歌っているときに横から撮られるときもあって、どうすればキレイな横顔になるんだろう、とか。
まうる 配信をすることでほかのメンバーに注目することができるのは、私たちにとってもお客さんにとってもいいことだなと思う。配信って誰に注目するかが視聴者側で選べないから、今まであまり目で追えてなかったメンバーのことをじっくり観ることになるんですよね。「配信を通してほかのメンバーのよさが伝わってきた」みたいな人もたくさんいて。
とわ もちろんツアーでみんなに会いに行きたかったけど、こういう状況になったからこそできたこともあるし、いつも通り全国ツアーを回るのとは違った成長ができたと思うんです。
ほまれ 場所関係なくライブを観てもらえたのもよかったよね。海外の方からコメントをもらうこともあって、すごくビックリした。
あかね 英語のコメント、全然読めなかったな。「From Italy」みたいな書き込みもあって。
とわ もしツアーをやっていたらその会場に集まった人にしかライブを届けられなかったわけだから、配信にすることで全世界に星歴のライブを届けることができたのはよかったことですね。私たちも英語でちゃんとリアクションできるようにならなきゃなと思いました(笑)。
大事なデートがあると思って
──3月のシングルリリースからわずか3カ月で今作が完成したわけですが、この時期にちゃんとペースを落とさず音源がリリースされることに驚きました。
こもち 実は今回のシングルは3月に発売された「哀唄日夜」と同じ時期にレコーディングをしていたんです。私たちもまさか6月にリリースできるとは思ってなくて、発売が決まったときは驚きました。CDショップや工場が動いていなかった時期もあるから、レーベルの方々はすごく大変だったみたいで……。
ほまれ どちらの曲も1月のワンマンライブで披露していたので、振り付けもすでに完成していたんですよ。なので、ここ数カ月でシングルのために動いたことと言えばジャケット写真撮影のときくらいかな。
──前作のジャケ写がすごくコドモメンタルっぽいアートワークだったのに対して、今作のジャケ写はそのイメージからかなり離れたものになりましたよね。
こもち それ、私も思いました。いつもの感じも好きですけど、今回はいつもと違う感じ。すごくおしゃれですよね。
ほまれ 撮影時にスタッフさんからは「撮影の日に大事なデートがあると思って髪型をセットしてきて」と言われたんです。それがなかなか難しくて。こもちは最後まで悩んでたよね(笑)。
こもち 撮影の直前まで悩んでました。みんなに「どんなのがいいと思う?」って聞いて、最終的には全員のアイデアを全部取り入れちゃいました(笑)。
まうる こもちは本当のデートのときもちゃんと悩んでそう。
こもち みんなはすぐに決まったの?
あかね あかねはツインテール1択でした。理由はわからないけど、一番女の子を感じる髪型がツインテールなんですよね。ほまれはハーフツインテールだよね?
ほまれ そうだよ。私は好きな女の子のSNSをよく見てるんだけど、自分のフォロワーさんの髪型が高確率でハーフツインテールなんです。それと、いつもはけっこう強めに巻くんですけど、この撮影の日はちょっとこだわって、ゆる巻きにしてみました。あまり写ってないけど(笑)。
とわ いつもよりフワっとしてるよね。天使感がある。
あかね とわとまうるも巻いてるよね。いつもとけっこうイメージが違って好き。
とわ 普段の髪型がストレートだから、変化を付けたかったんだよね。シングルのタイトルが「Baby baby Cupid」で、私の中でキューピットのイメージって金髪でふわふわした髪型なんですよ。だから普段しない外巻きにしてみました。さながら“デートに現れた天使”みたいな感じですね。まうるとはちょっとアプローチが被っちゃったかもしれないけど。
まうる とわとは普段から髪型ちょっと似てるからね。私、撮影の日は本当にデートがあるつもりで準備していたんです。前髪もちょっと切って整えて、顔のパックもして。ヘアアレンジはそんなに得意じゃないんですけど、大事なときにストレートだと絶対ソワソワしちゃうんですよね。がんばってない自分でいることに、不安を感じてしまうというか……。
あかね わかるかも。
まうる 何かしないと落ち着かないその気持ちを髪の毛にぶつけました(笑)。
とわ 私たちでさえ普段見ないメンバーの姿が見れてうれしかったな。こもちの前髪が分かれているのはレアショットだよね。
こもち 普段は絶対に眉毛を出さないんですけど、今回の撮影が仰向けに寝ながら撮っていたから前髪が分かれちゃっていて。個人的には撮り直してもらおうかと思うくらいだったんですけど……。
あかね いやいや、めちゃくちゃかわいいよ。
まうる ちょっと垂れてる感じの眉毛、かわいい。
こもち ありがとう。みんなにそう言ってもらえたから、今回はこれがよかったんだと思えるようになりました(笑)。
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むしろ男の子のセリフでよかった