音楽ナタリー Power Push - SEAMO & AZU
個性爆発!鉄板コンビの初共作アルバム
“単にバナナを食べているだけ”の曲
──先程AZUさんが「エロさが倍増する」と言いましたが「I♡B(アイラブビー)」はその最たるものだと思いました。
AZU そうですか? 私はそんなつもりで書いてないんですけどね。バナナが好きっていうテーマなんですけど、何か?(笑)
SEAMO このテーマを出したのはAZUなんですよ。ただ、最初にどんな曲を作るかという話をしたときに、「ラブソングもパーティチューンも世の中にあふれてるから突拍子のないものがいいね、例えば僕が昔作った『コロッケファイヤー』みたいな」って言ってて。それが頭にあって、このテーマを出してきたのかと思いました。
AZU 私、フルーツが好きで、中でもストロベリーとバナナが大好きなんです。ただストロベリーの曲はもうあるからバナナをって。これ普通にバナナを食べてる曲なんです。
──それにしてはずいぶんエロチックですけどね(笑)。
SEAMO 僕が言うのもなんですけど、最初のデモの段階から完成度が高かったですから。もう官能小説みたいな。絵が完全に浮かぶんですよ。もうこれ、フェラチオしてんだろうなって(笑)。
AZU あはは!(笑) まあ、マネージャーには「こんな歌詞書いて、気持ち悪い」って言われましたけど(笑)。
SEAMO でも意外性があるし、僕はこれ、すごくいいと思いました。パッと見「SEAMOったら、またこういうHな曲書いて!」って言われると思うんですけど、「いや僕じゃないです。AZUなの! AZUがリードしたの!」って声を大にして言いたい(笑)。
AZU でも私、この曲でMV撮りたいんですよね。
──どっちの方向で撮るか、ワクワクする発言ですね。
SEAMO 蒼井そらちゃんに出てもらえばいいじゃん。
AZU あ、そこは抜かりないですよ。もう言ってありますから。撮ることになったらゲスト出演してって(笑)。
「Need U Now」で心に潤いを
──次曲の「Need U Now」は一転して切ないラブソングですね。1980年代テイストの憂いのあるサウンドに乗せて、なかなか相手に思いを伝えられない大人の恋を描いています。
AZU ちょっと深い曲だと思います。これは砂漠の草木が雨を待っているように、私の乾いた心にも愛情とか優しさとか、そんな潤いが欲しい、それをずっと待ってるっていうテーマにしたいとSEAMOさんに伝えたんです。
──それは今のAZUさんの“心の声”だったりするんですか?(笑)
AZU そうです。もう心がカラッカラに渇ききってるから、そういう曲を書きたいなと思って(笑)。
SEAMO すごく簡単に言うと、子どもの頃は好きな人に「好きだよ」とか「付き合って」とか簡単に言えたけど、大人になるにつれて世間体とか立場とかいろんなことを気にして、言いたいんだけど言えないっていうことが出てくる。そうしてるうちにどんどん心も渇いて……みたいなことなんですよね。でも、最初この曲は解釈が難しかったです。「AZU、更年期障害なんか?」って思ったし。
AZU なんでやねん!(笑)
SEAMO その分、この曲にはすごく真面目に取り組みました。AZUが言わんとしてるのはどういうこと?って自分の中でじっくり考えて。この曲だけ、「俺のこの解釈で合ってるかな?」って聞いたんですよ。
AZU うん。でも返ってきたリリックは素晴らしい内容でしたね。
男と女神
──「ドンマイ Don't cry」は、SEAMOさんのカラーが出た男臭い曲ですね。
SEAMO 僕は「Cry baby」という曲で、何か嫌なことがあったら周りを気にせず泣いていいんだぜって歌ったんですけど、男には強がらなきゃいけないときもあると思うんです。僕にもそういう場面があったんですよ。涙を見せられないというか、みんなに弱いところを見せられないとか。
──男の踏ん張りどきの歌ですよね。試練に耐えてる男の歌。
SEAMO 男だったら戦わなきゃいけないし、絶対に涙なんか見せられねーよ、みたいな。そういう男性的なテーマを女性シンガーに頼むのはどうかというところもあったんですけど、AZUだったらやってくれるんじゃないかと思ったんです。冒頭に言ったように「私はなんでもチャンスをモノにしてやるんだ」っていう男っぽいところがあるし、こういう感覚をわかってもらえるんじゃないかって。
──そんな曲にAZUさんはどんなふうに向き合ったんですか?
AZU 私はちょっと女神様みたいな感覚で書いたんです。逃げてきてもいいよ、がんばりすぎなくていいんじゃない?みたいな。自分の夢に執着してるけど、つらくて憂鬱で、あなたの純粋な心が傷んでるんだったら、もうこっちからお別れすればいいじゃんって慰めるような感じで書いて。歌の主人公が本当に求めてるのは、愛されたい、求められたい、必要とされたいっていうことなんだよねっていうのもSEAMOさんの歌詞から感じたから、「私の大事な人に何してくれんの?」みたいな感情も込めたし。
SEAMO 僕は、男の気持ちを肯定してくれてもいいし、否定してくれてもいい。どういうパターンでもいいよって伝えたんです。そしたら、そういう女神的な角度で返して来たんで、より曲に深みが出たと思いましたね。
おかめの面でライブに登場?
──本作を携えて2月にはツアーが始まります。どんなことをやりたいと思っていますか?
SEAMO 最初と最後は一緒にステージに上がって、一緒にステージを降りるっていうことになると思います。その中でどういうふうにスリリングに時間を配分していくか。ソロコーナーはお客さんも楽しみにしてくれてる部分だと思いますけど、今までのようにフィーチャリングじゃなくて、今回は対等のメンバーなんでSEAMO&AZUというユニット、「S&A」みたいな感じで……。
AZU C&Kみたいな感じがしますけど?(笑)
SEAMO それくらいのユニット感で(笑)。お互いソロもできるユニットによるライブ、みたいなパフォーマンスができればいいなと思います。
AZU 私も同じです。あと私はワンマンで行ったことがないところがたくさんあるからすごく楽しみにしてます。
──今回は本数が多いですし、回数を重ねるにつれて、さらに息が合って面白いことが生まれるんじゃないかと期待してます。あうんの呼吸でその場で生まれていくものも多そうですし。
AZU そうなんですよ。SEAMOさんはすごいアイデアマンだから、「私大丈夫かな」って思ってます。SEAMOさんが求めてることに応えられるかなって。
SEAMO でも、AZUもなかなかですからね。先日もアルバムのプロモーションコメントを撮ってたら「またシーモネーターさんがライブに現れるんですか?」って言うから「やるかもしれない。AZUも何かやったら?」って返したら、「私はおかめさんが来ることになってるんで」って(笑)。おかめさん!? 何それ?って。
──そんなキャラクター初めて聞いたぞっていう(笑)。
SEAMO 自ら爆弾を投下してましたからね。今からそれが楽しみです(笑)。
AZU 全身タイツにおかめの面を付けて、SEAMOさんが歌ってる後ろをただ走りすぎるっていうのはどうですか?
SEAMO 全然いいよ(笑)。それも否定しないから。
- コラボレーションアルバム「THE SAME AS YOU」 / 2016年2月3日発売 / 2300円 / アリオラジャパン / BVCL-695
- コラボレーションアルバム「THE SAME AS YOU」
収録曲
- SUPER LIVE BROTHERS
- DACARENA
- She is mine
- Anywhere Door
- I♡B
- Need U Now
- ドンマイ Don't cry
- a love story
- SEAMO AZU 全国ツアーサーキット
~SUPER LIVE BROTHERS~ - 2016年2月7日(日)広島県 BLUE LIVE HIROSHIMA
- 2016年2月10日(水)香川県 高松MONSTER
- 2016年2月11日(木・祝)愛媛県 WStudioRED
- 2016年2月13日(土)福岡県 DRUM LOGOS
- 2016年2月20日(土)富山県 Soul Power
- 2016年2月21日(日)福井県 福井まちなか文化施設 響のホール
- 2016年2月27日(土)鹿児島県 CAPARVO HALL
- 2016年2月28日(日)宮崎県 ニューレトロクラブ
- 2016年3月5日(土)静岡県 LiveHouse 浜松 窓枠
- 2016年3月6日(日)埼玉県 HEAVEN'S ROCK さいたま新都心 VJ-3
- 2016年3月13日(日)滋賀県 SHIGA U★STONE
- 2016年3月19日(土)岩手県 Club Change WAVE
- 2016年3月20日(日)宮城県 enn 2nd
- 2016年3月26日(土)東京都 赤坂BLITZ
- 2016年3月29日(火)愛知県 Zepp Nagoya
- 2016年3月30日(水)大阪府 なんばHatch
SEAMO(シーモ)
1995年に地元名古屋・東海地区を中心にシーモネーターとして活動を開始し、2002年に米米CLUBの代表曲「浪漫飛行」を大胆にサンプリングした「浪漫ストリーム」でメジャーデビュー。2005年にSEAMOに改名し、3月にシングル「関白」で現名義でのデビューを果たす。2006年にはヒットチューン「マタアイマショウ」「ルパン・ザ・ファイヤー」収録の2ndアルバム「Live Goes On」を発表し、「第57回 NHK紅白歌合戦」にも出場した。2007年に自身が発起人となり東海地区の夏フェス「TOKAI SUMMIT」をスタートさせる。2011年8月には自身のコラボ曲をパッケージしたベスト盤「コラボ伝説」、2014年1月にはコレクションアルバム「LOVE SONG COLLECTION」を発表。2016年2月にAZUとのコラボレーションアルバム「THE SAME AS YOU」をリリースする。
AZU(アズ)
三重県出身のシンガー。16歳で活動を始め、2007年5月にシングル「CHERISH」でメジャーデビュー。2008年にはSEAMOとのコラボレーション楽曲「時間よ止まれ feat. SEAMO」が大きな注目を集めた。2014年1月に通算5枚目のフルアルバム「4seasons」、12月に冬をテーマに書かれた楽曲をコンパイルしたベストアルバム「WINTER LOVE BEST」を発表。2015年1月にはさまざまなアーティストとコラボレートしたアルバム「Co.Lab」をリリースした。2016年2月にSEAMOと「SEAMO&AZU」名義で共作アルバム「THE SAME AS YOU」を発表する。