ナタリー PowerPush - SCOTT MURPHY
J-POPカバーベスト発売記念 思い出の5曲&まんだらけ探索
Part 3:スコット・マーフィー、まんだらけを行く。
11月某日、JR中野駅前に集まったナタリースタッフとスコット・マーフィーは日本のサブカルチャーの巣窟「中野ブロードウェイ」に潜入。スコットはこれが初の中野ブロードウェイ訪問となり、その中から中野ブロードウェイ内で多数の専門店舗を持つ「まんだらけ」中野店を探索した。
撮影協力:まんだらけ中野店
ドールを見て「これは子供が買うんですか?」
4階に到着したスコットは、まずセル画館を訪問。ここでは現在放送中の人気アニメから誰もが知る名作まで、さまざまなアニメのセル画が販売されている。取材に同行したまんだらけスタッフが、スコットにセル画について詳しく説明。スコットは話を聞きながら、展示されているセル画をじっくりと観察していく。
そんな中、スコットが食い入るように見ていたのが、スタジオジブリ作品のセル画。実はスコット、「千と千尋の神隠し」をはじめとするジブリ作品や日本映画を観て日本語を勉強したのだ。「最近は『ONE PIECE』がお気に入り」と語ると、一緒に展示されているアニメの台本を興味深そうに見つめた。
4階にあるさまざまな店舗を不思議そうな目で見つめるスコットが次に足を止めたのは、ぷらすちっく&ぷらすちっく2店頭に展示されたドールの前だった。髪や服を着けていないまっさらなドールを見たスコットは「これはなんですか?」とまんだらけスタッフに質問。ユーザーが好みのウィッグや服をセレクトして、自分好みのドールに仕上げていくと説明すると、今度は「これは子供が買うんですか?」と問いかける。しかし次の瞬間、ドールに付いた値札(1体数万~10数万円)に気付きビックリした表情を見せた。
ドラえもんとの出会い、そしてカバーのきっかけ
続いてスコットは、懐かしのマンガやアニメに関する書籍を扱うマニア館へ移動。「日本のコミックはこんなに小さいのに、なんで雑誌(週刊誌や月刊誌)はこんなに大きいの?」と、店内に陳列されたコミックや書籍を興味深そうに眺めた。
実はマンガを1冊読むのに異常に時間がかかってしまうというスコット。そんな彼でも「ドラえもん」だけは「スラスラ読めるし、日本語の勉強にもなる」そうで、まんだらけスタッフから手渡された「ドラえもん」第2巻をじっくりと読み始めた。
スコットは過去に「ドラえもんのうた」をカバーしているが、ドラえもんを知ったのは来日してからで、アメリカにいた頃はその名前すら聞いたことがなかったとのこと。日本に来てドラえもんのキャラクターをよく目にするようになった彼は、周りの日本人に「あのキャラクターはなんですか?」と聞いて初めてドラえもんを認識。そこからインターネットを通じて「ドラえもんのうた」に出会い、そのメロディに感銘を受けカバーすることを決めた、と同曲を歌ったきっかけを語ってくれた。
また、昭和時代の懐かしいマンガを目にしたスコットは「昔のマンガの日本語って、皆さん今読んでもわかりますか? 日本語って時代を追うごとにどんどん変化していくから大変(笑)」と発言。流暢な日本語を話すスコットだが、マンガや映画を通じて触れる日本語と日常会話で使われる日本語との差について、常々疑問を感じていたという。
続いてスコットが興味を持ったのは、アニメ映画のシナリオ本。「千と千尋の神隠し」の絵コンテが掲載された書籍を開き、「これ1枚1枚、全部手書きなんですか?」と興味深そうにまんだらけスタッフに質問した。ここで「千と千尋の神隠し」以外にどんなアニメが好きかと訊ねると、「今敏監督作品が好きで、『東京ゴッドファーザーズ』や『パプリカ』は何度も観ました」と回答。ここでまんだらけスタッフに今敏作品の書籍を探してもらうも、この日は在庫なしとのこと。ちょっと残念そうな表情を見せたスコットは、次の店舗へと移動した。
ピュアな感じが日本らしくていいんじゃないかな
2階に移動したスコットは、懐かしのオモチャやソフビ人形などが販売されているスペシャル館に到着。ここではウルトラマンやゴジラなど、アメリカ人のスコットでも知っているキャラクターの関連グッズが陳列されていた。そんな中、スコットが興味を持ったのは「がんばれ!! ロボコン」のキャラクター・ロボペチャ。「このナースの格好をしたロボットはなんですか?」と、不思議そうな目でロボペチャの超合金を見つめていた。
ここで、「日本人がこういったフィギュアやおもちゃを集めることについて、どう思う?」とスコットに質問。彼は「アメリカではそういう文化はないから面白いと思う。日本の大人はこういうおもちゃを買ったりマンガを読んだりするけど、アメリカでは考えられない。でも、そのピュアな感じが日本らしくていいんじゃないかな」と笑顔で答えた。
次に活動写真館を訪れたスコットは、昭和の古き良き映画のポスターをまじまじと観察する。フィンガー5の映画ポスターを見つめながら、「彼ら(フィンガー5)は全員兄弟なんですか?」とまんだらけスタッフに質問。ここでレコード会社スタッフが「全員兄弟だよ。彼らは日本版ジャクソン5のような存在」と説明すると、スコットは納得したような表情で再びポスターを眺めた。
8cm CDシングルを手に「これはなんですか?」
その後もスコットはカード館やCD&DVDショップを探索。カード館ではビックリマンシールの種類に目を丸くし、プロ野球選手や力士のカードを見て「こういうカードはアメリカにもあります」と語った。また、CD&DVDショップでは、80~90年代に日本で流通した8cm CDシングルに着目。「これはなんですか? 初めて(8cm CDシングルの存在を)知りました。なんでこんなに小さいんですか?」と、手にした8cm CDシングルを不思議そうに見つめた。
スコットが最後に訪れたのは、中古ゲームハード&ソフトを扱う「ギャラクシー」。ここで、それまで冷静だったスコットの表情が一変し、「僕、ゲームが大好きなんです。これはスーパーファミコンですか? アメリカではスーパーファミコンは『SUPER NINTENDO(ENTERTAINMENT SYSTEM)』って名前で売られていたんですよ」と積極的に語り始めた。「『スーパーマリオブラザーズ』や『パンチアウト!!』はよくやったなあ。アメリカの『スーパーマリオブラザーズ』は日本のものとはちょっと違って、パート2はアメリカで勝手に作ったものなんです」と、矢継ぎ早に話すスコット。ゲームのハードやソフト(カセット)の形状が日本とアメリカとで異なることにも触れ、店内に陳列されるものすべてを興味津々に眺めた。
ここで90分にわたるまんだらけ探索は終了。アメリカにはない世界に触れたスコットは、「まさかこんなところが中野にあるなんて知らなかった。すごく面白かったです!」と語り、中野ブロードウェイを後にした。
CD収録曲
- ドラえもんのうた(大杉久美子)
- 乾杯(長渕剛)
- どんなときも。(槇原敬之)
- LOVEマシーン(モーニング娘。)
- First Love(宇多田ヒカル)
- 15の夜(尾崎豊)
- 未来予想図II~VERSION'07~(DREAMS COME TRUE)
- SAY YES(CHAGE and ASKA)
- 夢をあきらめないで(岡村孝子)
- ゆめいっぱい(関ゆみ子)
- 川の流れのように(美空ひばり)
- なごり雪(イルカ)
- THRILLER(マイケル・ジャクソン)
- BEAT IT(マイケル・ジャクソン)
- サザエさん(宇野ゆう子)
- はじめてのチュウ(あんしんパパ)
- チェリー(スピッツ)
- 島唄(THE BOOM)
- 楓(スピッツ)
- 冬がはじまるよ(槇原敬之)
- I DON'T WANT TO MISS A THING(AEROSMITH)
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スコット・マーフィー
アメリカ・イリノイ州シカゴ出身の男性ロックアーティスト。1995年にメロディックパンクバンドALLiSTERを結成し、インディーズやメジャーから数々のアルバムを発表する。2001年に初来日公演を成功させ、これがきっかけとなり日本に興味を持ち、独学で日本語をマスター。2006年には自身がお気に入りのJ-POPナンバーを日本語でカバーした楽曲を含むアルバム「GUILTY PLEASURES」をリリースした。 2007年にELLEGARDENとともに全国33カ所におよぶ大規模なジャパンツアーを行うが、ツアー終了後にバンド活動を休止。以後、ソロ活動をスタートさせ、「GUILTY PLEASURES」シリーズを定期的に発表している。また、2009年には全曲オリジナルによるアルバム「Balance」もリリース。2010年にはALLiSTERも再始動させ、精力的な音楽活動を続けている。2011年11月にこれまでカバーした楽曲からセレクトされたベストアルバム「GUILTY PLEASURES BEST」をリリース。
2011年11月21日更新