お客さんが「Cold Dancer」に“踊らされてる”
──2曲目の「Cold Dancer」はミュージックビデオも作られていて、いわゆるアルバムリード曲の位置付けかと思いますが、実際このアルバムの中でもとりわけキャッチーで、広く伝わりやすい1曲かなと思います。
マツキ 「ensemble」はシングルで切る曲としては変化球だったと思うんですよ。バンドのイメージをガラッと変えようと思って出した曲だったので。だからアルバムのリード曲にする曲はストレートなものにしようと。誰でもわかる、踊れるサウンド。そこはすごく考えましたね。
──確かに「Cold Dancer」のほうがよりシングル的な曲かもしれないですね。「SCOOBIE DOのシングルです」と言われたら、こちらのほうがイメージしやすいかもしれない。
マツキ 今までも四つ打ちの曲はあったけど、ここまでわかりやすくディスコ的なビートは今までなかったし、なおかつ「ensemble」にあった切ないテイストは踏襲したかったんです。「ensemble」と「Cold Dancer」は自分の中で兄弟作と言うか、表裏一体の関係ですね。
──この曲はすでにライブでやってますよね。お客さんの反応はどうですか?
MOBY 「Cold Dancer」はライジング(「RISING SUN ROCK FESTIVAL 2017 in EZO」)で初披露したんですけど、本番前、サウンドチェックのときに初めて演ったんですね。なんかね、お客さんが聴いてるうちにノリ始めちゃって。語弊を恐れずに言うと、お客さんが我々に“踊らされてる”感じというか。そういう意味では今までで一番反応がいいかもしれないですね。YouTubeの再生回数も如実に多いんですよ。今までと違うところに広がってる感触はありますね。
──最近の、雑なくくりで言う“シティポップ”を聴いてる若いリスナーにも刺さると思うんですよね。
マツキ いやいや、そこに含んでもらっても全然OKで。
──ちなみにMVはバンドと一般人による「だるまさんが転んだ」みたいな構図になっていますけど、これはどのようなイメージで?
マツキ あれは完全に加藤マニ監督に丸投げで作ってもらいました。打ち合わせしたりすると面白くなくなっちゃうかなと思って。監督に曲を聴かせてみたら、「だるまさんが転んだ」がコンテンポラリーダンスのように見えるからやってみたいと。
──なるほど。コンテンポラリーダンスっぽさもあるし、止まる、動くという動作にビートを感じるんですよね。
マツキ そうですね。なんかおしゃれに撮ってもらえて(笑)。いい感じです。
ファンクはイントロが命
──3曲目の「My Rhythm」はダンスミュージックながらもちょっといびつなビートで、サウンド的にも今までスクービーがやってきたダンスミュージックとは違いますね。
マツキ 今回は全体的に、パッと聴きのイメージをジャジーな感じにしたいと思っていて。アダルトな作品にしたかったというのもそこに通じるんですけど。ファンクって……自分たちがやってる音楽をファンクと断言すると、ファンクはイントロが命なんですよ。イントロがよくないとサビまで聴いてもらえないから。イントロは今回どれもこだわりの逸品で、そのすべてにできるだけジャジーなテイストを入れたかった。この曲はもう、イントロができたから1曲できた、みたいなイントロありきの曲ですね。
──「ensemble」を挟んでの5曲目「禁じられたふたり」はディスコファンクで、このあたりは特にベースの音色がこれまでと違うように感じました。今までのスクービーらしいファンクとも違う雰囲気で。
ナガイケ これはデモがそういう感じだったんですよ。デモの時点であった印象的な音に近付けたくて、エンジニアさんと試行錯誤しました。
──逆再生のギターソロも異質ですが、こういうアプローチも今までやってなかったですよね。
マツキ うん。とにかく今までやってない手法をどんどん入れていて。それはヘッドアレンジだとなかなか発生しないアイデアなんですよ、やっぱり。
ロックンロール的手法で作られるメロウな歌
──次の「Lack」も1曲目の「Love Song」のように繰り返しの多い構成で。今回のアルバムでは言葉もリフレインが多くて、よりプリミティブな表現になっているようにも感じます。
マツキ 楽曲の制作手法として、やっぱ自分の根っこはロックンロールなんだと思うんですよ。チャック・ベリーの時代から続くロックンロール的手法なんだなと。
──メロウな楽曲を作っても、構造的にはロックンロールの作りになっている。
マツキ うん。もしかしたら、ほかの作家さんに同じオケを使って歌を作ってもらったら、まったく違う曲になるかもしれない。もっと歌謡曲的になるオケだと思うんですけど、自分が好きなところを突き詰めるとこうなるんですよね。
──なるほど。SCOOBIE DOというバンドが持つ特性の核心は、そのあたりにあるのかもしれないですね。次の「愛はもう死んだ」はまさにロックンロール的な、リフでどんどん押し進めていくような構成です。
マツキ ちょっとポリリズムでね。これもスクービーがやってそうでやってない。今までならもう少し味付けして凝った感じになっていくんだけど、ポリリズムとサビの繰り返しだけで持っていくような。自分の中ではヒップホップ的なサウンド感と言うか音像感と言うか、システマチックに進んでいく感じ。せーので合わせていくと、やっぱりこういう感じにはならないんですよ。「Lack」もヒップホップ的だなと思うし、こういう人力なんだけど人間臭さを消したような構成は、今回みたいな作り方だからこそできたんだと思います。
──構造としてはそうなんだけど、乗っている歌が“歌っぽい”と言うか、メロウなんですよね。コヤマさんが最初におっしゃっていた「歌は歌で歌う」という感じがアルバム全体を通してあって。
コヤマ そうですね。そのほうがいいかな、カッコいいかなと思ったんです。
──「ensemble」のカップリングナンバー「Last Night」のアルバムバージョンを挟んで、9曲目「MI.RA.I.」はグルーヴィなリズムが印象的ながら、かつ歌謡曲っぽさもあるメロディアスな楽曲ですね。「ensemble」の流れを汲みつつ、オルガンやコーラスの味付けがより歌謡曲、ポップスとして洗練されているように感じました。
マツキ 歌謡曲ですね、このメロディは完全に。今っぽい感じではないし、いつものスクービーに近いかもしれない。
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次の一手を常に
- SCOOBIE DO「CRACKLACK」
- 2017年10月4日発売 / CHAMP RECORDS
-
[CD]
2700円 / HICC-4508
- 収録曲
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- Love Song
- Cold Dancer
- My Rhythm
- ensemble(Album Version)
- 禁じられたふたり
- Lack
- 愛はもう死んだ
- Last Night(Album Version)
- MI.RA.I.
- Next Move
- SCOOBIE DO TOUR「Funk-a-lismo! vol.11」
-
- 2017年10月20日(金)千葉県 千葉LOOK
- 2017年10月22日(日)静岡県 Shizuoka UMBER
- 2017年10月28日(土)秋田県 Club SWINDLE
- 2017年10月29日(日)青森県 青森Quarter
- 2017年11月3日(金・祝)広島県 CAVE-BE
- 2017年11月5日(日)高知県 X-pt.
- 2017年11月11日(土)長野県 LIVE HOUSE J
- 2017年11月12日(日)石川県 vanvanV4
- 2017年11月18日(土)三重県 club chaos
- 2017年11月19日(日)京都府 磔磔
- 2017年11月21日(火)岡山県 城下公会堂「晩秋アコースティックFunk-a-lismo! in 城下公会DO」
- 2017年11月23日(木・祝)大分県 club SPOT
- 2017年11月25日(土)鹿児島県 SR HALL
- 2017年11月26日(日)熊本県 Django
- 2017年11月28日(火)兵庫県 MUSIC ZOO KOBE 太陽と虎
- 2017年12月2日(土)新潟県 CLUB RIVERST
- 2017年12月3日(日)福島県 Out Line
- 2017年12月16日(土)岩手県 the five morioka
- 2017年12月17日(日)宮城県 enn 2nd
- 2017年12月23日(土)香川県 DIME
- 2017年12月24日(日)滋賀県 滋賀U★STONE
- 2018年1月7日(日)北海道 札幌PENNY LANE24
- 2018年1月11日(木)京都府 拾得「新春アコースティックFunk-a-lismo! in 京都」
- 2018年1月13日(土)福岡県 LIV LABO「新春アコースティックFunk-a-lismo! in 福岡」
- 2018年1月14日(日)福岡県 LIVE HOUSE CB
- 2018年1月16日(火)岡山県 CRAZYMAMA 2nd Room
- 2018年1月21日(日)茨城県 mito LIGHT HOUSE
- 2018年1月27日(土)愛知県 CLUB UPSET
- 2018年1月28日(日)大阪府 umeda TRAD
- 2018年2月11日(日・祝)東京都 Zepp Tokyo
- SCOOBIE DO「CRACKRACK」発売記念インストアライブ
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- 2017年10月21日(土)愛知県 タワーレコード名古屋パルコ店
- 2017年10月26日(木)宮城県 タワーレコード仙台パルコ店
- 2017年11月2日(木)大阪府 タワーレコード梅田NU茶屋町店
- クアトロマンスリーシリーズ2017 ~ダンスでパラダイスな男達~
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2017年11月9日(木)東京都 CLUB QUATTRO
<出演者>
SCOOBIE DO / KEYTALK
- あなたが決める!年忘れリクエスト・ベストテン!
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2017年12月29日(金)神奈川県 MOTION BLUE YOKOHAMA
[1st Stage]OPEN 15:45 / START 17:00
[2nd Stage]OPEN 18:45 / START 20:00
- SCOOBIE DO(スクービードゥー)
- 1995年にマツキタイジロウ(G)とコヤマシュウ(Vo)を中心に結成。1996年に現ドラマーのオカモト“MOBY”タクヤ(Dr)が加入し、自主制作カセットなどを販売する。1999年にKOGA Recordsから初のシングル「夕焼けのメロディー」をリリース。続いて発表された1stアルバム「Doin' Our Scoobie」で圧倒的な存在感を放つロックバンドとしてその人気を確かなものとする。2001年にナガイケジョー(B)が加入し、現在の編成で活動開始。2007年には自主レーベル「CHAMP RECORDS」を立ち上げ、ライブのブッキングからCD制作、プロモーションまですべてメンバー自ら行っている。バンド結成20周年を迎えた2015年4月にベストアルバム「4×20 ~ 20 YEARS ALL TIME BEST」を発表。2017年4月にはおよそ13年ぶりとなるニューシングル「ensemble」、10月にはCHAMP RECORDS通算9枚目となるオリジナルアルバム「CRACKLACK」をリリースした。