音楽ナタリー Power Push - SCOOBIE DO
人間じゃないぜバンドマン 21年目の“LIVE CHAMP”が挑むアウェイ戦
リーダーの希有なギター
──そしてアルバムは「伸ばしたその手だけ」「また会いましょう」とさわやかに締めくくられます。
コヤマ 「伸ばしたその手だけ」は最初リーダーがデモを持ってきたときに「これ、俺はギター弾かずにキーボードとかホーンを入れてやったらどうかなあ」って言っていて。
マツキ もっと華やかな曲にするつもりで書いた曲なんですよね。
コヤマ でもリハで4人で合わせたとき、俺はすごく楽しくて。曲調は全然違うんだけど、「夕焼けのメロディー」(1999年2月発売のインディーズデビューシングル)を4人でガツンと鳴らしてるときの気持ちよさに近いというか。メロディも歌詞もいいんだけど、それ以上に4人で「せーの」で鳴らす気持ちよさがあったので、「いや、これは余分な音は入れないで、4人が生で演ってるような音像でやりたい」って伝えました。ここ3作ぐらいは、ギターもレコーディング用にさらにリアレンジして、いつも1本で弾いているところを3本ぐらい重ねたり、あくまでレコーディング作品のアレンジとしてやってたんですよ。でも、ライブで3本分のギターを1人で鳴らすリーダーの演奏が俺は好きで。1本で弾き切るとナガイケもMOBYもそこに乗っかっていくみたいな独特のグルーヴ感があるんですよ、SCOOBIE DOって。
──ああ、その感じはすごくわかります。
コヤマ ギターのビートにリズムが合わさって1つの塊になるみたいな。その感じをレコーディング作品としても表現してみたくて。
──一方でラストの「また会いましょう」はフルートの涼しい音色も加えて、リズムは4拍目にアクセントが入るサンバのビートで、いつになく爽快なサウンドです。
マツキ 個人的な欲求としては“ギター弾かない盤”というか、さっきシュウくんが言ってたような、鍵盤とか上モノを加えて、歌とドラムとベースとコンガだけみたいなアルバムをいつか作ってみたいというのがあって。俺は演奏に参加せず、ミキシングルームで座ってるだけみたいな。今回はそういう曲をいくつか試してみようと思ってたんだけど、あまりにもシュウくんが「ギター1本の魅力を閉じ込めてほしいんだよ」って言うので。
コヤマ いやね、こういうギターをロックバンドで弾いてる人はほかにいないんですよ。俺たちのところに来ないと聴けないような演奏をやってるわけだし、やり続けないと世の中からなくなっちゃうんだから。
──文化遺産みたいな。
コヤマ そうそうそう。俺たちはおしゃれなコードとか使ってるけども、鳴らし方は全然おしゃれじゃない。エグい鳴らし方してるんだから。なあナガイケ。言ってやれ言ってやれ!
ナガイケ 体感する音の面積っていうのかな……普通はギターってもっと上のほうでカキンと響いてるんですけど、全面的にドバッと来るギターをこうを巧みに弾ける方はなかなかいらっしゃらないんですよ、皆さん(笑)。
コヤマ そう。希有。希有なギター。
マツキ (観客の拍手に対し)じゃあちょっとね、あとでおひねりを(笑)。
──でも本当にそうですね。構成音はすごくおしゃれなんだけど、それをここまでブ厚くザラついた音で鳴らすバンドはあまりないと思います。
マツキ おしゃれなコードを弾いて汗だくですからね(笑)。おかしなことになってますよ。
質問プラスワンモー
──ひと通りお話を聞いてきましたけど、今日はせっかくの機会なので、会場のプラスワンモーにもインタビューしてもらいましょう。何か質問がある人は挙手をお願いします。
ももねこさん 「アウェイ」のMVで最後に犬が4匹出てきますけど、それぞれに誰という設定はあるんですか?
コヤマ MOBYくん、ちょっとその場面を出してもらえますか。
マツキ (スクリーンの映像を観ながら)レトリバーとビーグルとフレンチブルドッグと柴犬。
コヤマ 最後に遅れて出てくる柴犬はナガイケです。肝心なときに「あれ、ナガイケはどこだ」っていう(笑)。
MOBY 1人だけワンテンポずれてる(笑)。
ナガイケ 撮ってるときにディレクターさんが「これ1匹だけ遅れたなあ、撮り直したほうがええかなあ」って言ってたんですけど「いや、これはたぶん俺だから大丈夫だよ」って(笑)。
コヤマ むしろ好都合っつうことで(笑)。そうすると先頭切って走ってくるレトリバーはリーダーだけど、白いから俺っつう説も(コヤマはライブ時に白いスーツを着用する)。
マツキ これ(フレンチブルドッグ)はまあMOBYでしょうね(笑)。俺はこのビーグルかな。
コヤマ 当日はやたらと盛ってましたからね(笑)。そんな感じでしょうか?
──ほかに質問はありますか?
もとこさん くだらない質問で申し訳ないんですけど、ほかに英語のタイトルもあるのに「アウェイ」がカタカナなのはなぜですか?
マツキ アルバムタイトルも正式表記は「アウェイ」で、ジャケットはデザイン上の理由でアルファベットにしてますけど、AWAYってアルファベットだとあまり目にしないじゃないですか。アウェー戦ホーム戦とか、ホーム&アウェイとか。「本拠地でないところに乗り込んで戦う」というニュアンスをわかりやすく伝えたいという理由でカタカナにしております。
ナガイケ そこはみんなで話し合いましたね。同じカタカナでも「アウェー」にするか「アウェイ」にするか。「アウェイ」というのが、ちょっと歌謡感もあったりしていいんじゃないかなって。
コヤマ いやいや、意外に本質を突いた質問になりましたね。ありがとうございます。
──最後にもう1人ぐらいいらっしゃいましたら。
小鳩さん 本当にくだらない質問で申し訳ないんですけど、9年前の野音のときに猫ひろしさんがゲストでいらしたのはどうしてなんですか? 今回は4人だけでしたけど、あのときはホーンもいて、RHYMESTERさんもいて……。
コヤマ 全部乗せでしたからね。
マツキ 前回が猫さんだったら今回は舘ひろしさんが出てこないと釣り合わないですからね。あれは当時マネージャーだった田中(貴 / サニーデイ・サービス)さんのアイデアだったんですよ。田中さんが猫さんと友達だったんですよね。俺らもまだブレイクする前の猫さんを紹介されて「なんか使ってやってください!」って挨拶されてて(笑)。
コヤマ 田中さんが力説してたんだよね。「We are SCOOBIE DO」を「ウィーニャー」って言ったら絶対ひっくり返るぞ!って(笑)。
MOBY あと「リアル『アンコール』が聞けるぞ」って。
コヤマ ものすごい力説してた。結果うまくハマってよかったですね。田中さんのマネージャーとして一番の仕事(笑)。
──ということで試聴を交えつつ新作「アウェイ」についてたっぷりと語ってもらいましたが、改めてすごくポップな、広く届きやすいアルバムだなと思いました。「It's A New Day」と「アウェイ」のところで言ったように、音像も含めてポップな作品だなと。
マツキ それはたぶん、最初に決めた「ライブでカッコいい曲をやる」という目標に向かって作った結果だと思うんですよ。ライブで効果的に響く、目の前の人に最短距離で届く曲を作ることに集中した結果、ポップなものになったんじゃないかな。
収録曲
- LIVE CHAMP
- It's A New Day
- アウェイ
- BUKI
- ファンキー獣道
- 踊れ激しく
- Na Na Na Na Na
- その輝きを抱きしめて
- 伸ばしたその手だけ
- また会いましょう
- ライブDVD「FILM DANCEHALL YAON」 / 2016年1月27日発売 / 3500円 / CHAMP RECORDS / HIBH-4109
- 「FILM DANCEHALL YAON」
収録内容
- Introduction
- バンドワゴン・ア・ゴーゴー
- 結晶
- Get Up
- パレード
- PLUS ONE MORE
- What's Goin' On
- Beautiful Days
- アフィルグ
- Oh Yeah!
- ゆうべあのこが
- ミラクルズ
- ラストナンバー
- 茜色が燃えるとき
- ROPPONGI
- きまぐれ天使
- Steppin' Loud
- MIGHTY SWING
- MC
- 月光
- 最終列車
- イキガイ
- 真夜中のダンスホール
- LIVE CHAMP
- トラウマティック・ガール
- Disco Ride
- ロックンロールは未定
- Back On
- 新しい夜明け
- つづきのメロディー
- やっぱ音楽は素晴らしい
- Little Sweet Lover
- 夕焼けのメロディー
ツアー情報
SCOOBIE DO TOUR「Funk-a-lismo! vol.10」
- 2016年2月26日(金)千葉県 千葉LOOK
- 2016年3月5日(土)京都府 磔磔
- 2016年3月6日(日)岡山県 CRAZYMAMA 2nd Room
- 2016年3月12日(土)茨城県 mito LIGHT HOUSE
- 2016年3月13日(日)埼玉県 HEAVEN'S ROCK さいたま新都心 VJ-3
- 2016年3月18日(金)兵庫県 MUSIC ZOO KOBE 太陽と虎
- 2016年3月27日(日)静岡県 MESCALIN DRIVE
- 2016年4月2日(土)新潟県 CLUB RIVERST
- 2016年4月3日(日)福島県 Out Line
- 2016年4月9日(土)岩手県 the five morioka
- 2016年4月10日(日)秋田県 Club SWINDLE
- 2016年4月17日(日)三重県 club chaos
- 2016年4月23日(土)神奈川県 club Lizard YOKOHAMA
- 2016年4月29日(金・祝)広島県 CAVE-BE
- 2016年5月1日(日)福岡県 LIVE HOUSE CB
- 2016年5月3日(火・祝)鹿児島県 SR HALL
- 2016年5月5日(木・祝)大分県 club SPOT
- 2016年5月7日(土)愛媛県 WStudioRED
- 2016年5月8日(日)香川県 DIME
- 2016年5月14日(土)長野県 LIVE HOUSE J
- 2016年5月15日(日)石川県 vanvan V4
- 2016年5月21日(土)青森県 青森Quarter
- 2016年5月22日(日)宮城県 enn 2nd
- 2016年5月28日(土)大阪府 umeda AKASO
- 2016年5月29日(日)愛知県 池下CLUB UPSET
- 2016年6月2日(木)北海道 cube garden
- 2016年6月4日(土)北海道 CASINO DRIVE
- 2016年6月5日(日)北海道 帯広MEGA STONE
- 2016年6月11日(土)東京都 渋谷CLUB QUATTRO
- 2016年6月12日(日)東京都 渋谷CLUB QUATTRO
SCOOBIE DO(スクービードゥー)
1995年にマツキタイジロウ(G)とコヤマシュウ(Vo)を中心に結成。1996年に現ドラマーのオカモト“MOBY”タクヤ(Dr)が加入し、自主制作カセットなどを販売する。1999年にKOGA Recordsから初のシングル「夕焼けのメロディー」をリリース。続いて発表された1stアルバム「Doin' Our Scoobie」で圧倒的な存在感を放つロックバンドとしてその人気を確かなものとする。2001年にナガイケジョー(B)が加入し、現在の編成で活動開始。2007年には自主レーベル「CHAMP RECORDS」を立ち上げ、ライブのブッキングからCD制作、プロモーションまですべてメンバー自ら行っている。バンド結成20周年を迎えた2015年は4月にベストアルバム「4×20 ~ 20 YEARS ALL TIME BEST」を発表。10月には東京・日比谷野外大音楽堂にてワンマンライブ「ダンスホール野音」を行った。2016年1月にはCHAMP RECORDS通算8枚目となるオリジナルアルバム「アウェイ」をリリース。
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