音楽ナタリー PowerPush - SCOOBIE DO
愚直に歩んだ“FUNKY 4 PLUS ONE MORE”の20年史
バンド結成20周年を迎えたSCOOBIE DOが、4月1日に初のオールタイムベストアルバム「4×20 ~ 20 YEARS ALL TIME BEST」をリリースした。初期のインディーズ期、SPEEDSTAR RECORDSでのメジャー期、メンバー4人で運営する現在のCHAMP RECORDS期からまんべんなくセレクトされた楽曲に加え、結成当初の貴重なデモ音源、さらには録り下ろしの新曲「新しい夜明け」と、“FUNKY 4”の20年を凝縮した作品だ。今回の特集ではナタリーに掲載された過去のニュースを参照しつつ、メンバー4人に20年間の足跡を振り返ってもらった。
取材・文 / 臼杵成晃 撮影 / 佐藤類
シーンにボヤを起こすバンドを目指して
──SCOOBIE DOはもともとどんなバンドを目指して始めたんですか?
マツキタイジロウ(G) 最初はただ「カッコいいバンドがやりたい」っていう、それだけだったんですよね。いきなりバーッと売れてメジャーフィールドに行くんじゃなく、シーンにおけるカウンターとして輝いているバンド。そういうバンドはいつの時代にもいて、いつもどこかでボヤが起きている。当時の僕らにとっては、モッズシーンにいたザ・ヘアだったりとか。そういう存在になりたくて。居心地の悪い、カッコいいバンドをやろうという気持ちでしたね。
──居心地の悪いバンド。当時のスクービーはいわゆるガレージバンド的なシーンに属していましたよね。
マツキ ファッションや聴いてる音楽はある程度、僕らの趣味として“60年代”というフォーマットがあるんだけど、今の音──当時の、1990年代に鳴らす音楽として通用するものを作ろうという思いは強かったので、意識の差はあったと思いますね。「なんだこいつら」と思われてただろうし。
──当時から仲のいい、息の合ったバンドというとどのあたりでしょうか。
コヤマシュウ(Vo) どうだろうなあ。一緒に対バンしてたような人たちは今ほとんどいなくなっちゃったもんなあ。
マツキ デキシード・ザ・エモンズやヤングスキンズが一番近い先輩でしたね。あとはTHE NEATBEATSか。その少しあとだとKING BROTHERSとか。
──結成からの数年間で解散しなかった理由というか、「このバンドはいけるぞ!」という契機になったことってありますか?
マツキ と言うより、バンドを解散するつもりはまったくなかったですね。やめる理由がなかったから。続けていたらKOGA RecordsとUK.PROJECTから同時にCDを出さないかという話が来て……そのときに「いけるぞ」とは思ったかも。当時はまだCDを出すのが大変な時代だったから。
──インディーズバンドの自主制作というとまだカセットテープが主流でしたよね。
マツキ うん。CDを出せるだけでもすごいのに、同時に2社から話があったから「……これは案外、俺らいけてるんじゃないか?」みたいな。
オカモト“MOBY”タクヤ(Dr) 「需要あるな」と思いましたもん。就職はできなかったけど、2社から話が来たんだから。
──ああ、年齢的にもちょうど就職するかどうかみたいな時期で。
MOBY そうなんですよ。みんな大学4年生だったので。インディーズだし小規模ではあるものの、レコーディング代も出してくれて、宣伝もしてくれるっていう。ある意味就職したようなもんですよ。
メロウなんだけどグルーヴはやみくも
──今作にはDISC 3にそういった初期の音源がたっぷり収められています。本当に結成間もない頃のデモやライブ音源もありますけど、自分たちで聴き返してみてどうですか?
コヤマ 好きですよ、基本的にどの曲も。いまだにライブでやったりするんですけど、「これちょっと恥ずかしいな」って感じにはならない。
──順を追って聴いていると、音の印象が一気に変わる感じがあって。時期を確かめるとナガイケさんの加入タイミングなんですよね。
コヤマ 「beach party」(2001年9月発売のインディーズ2ndアルバム)はナガイケが入って2カ月目ぐらいで録ったんだよね、確か。それまで3枚のCDを出していて、曲は今も気に入ってるんだけど、理想とする音にはまだ到達していないというジレンマがあって。もっとワイルドに行きたかったんですよ。「beach party」ではそこを解消しつつ、さらに先に進むことができたという感触がありましたね。メロウなんだけどグルーヴはやみくもという、SCOOBIE DOらしさがここでつかめた感じはありますね。
──なるほど。
コヤマ ナガイケはもともと俺らの音楽を聴いてたんですよね、外から。「beach party」では加入してすぐだったけど、わりとナガイケにジャッジを仰いだんです。「これ、どう思う?」って。ライブのやり方も「No.3」(2000年12月発売のシングル)と「beach party」の間でけっこう変わってきて。
──服装の変化もここのタイミングですよね。古着系だったファッションからスーツに変わったのが。
ナガイケジョー(B) ちょうど僕が入る頃に「スーツにしよう」みたいな話になってましたね。
──ナガイケさんはもともと聴いていた、年上の人たちがやっているバンドに加入するにあたり、どんな心構えで挑みましたか?
ナガイケ けっこうビビッてたと思いますよ。でも、前にやっていたバンドもメンバーみんな年上だったし、年下の面倒見るよりも年上と一緒にいたほうがラクなタイプなんですよ。兄弟も上ばっかだし。
マツキ 根っからの末っ子体質(笑)。
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- ベストアルバム「4×20 ~ 20 YEARS ALL TIME BEST」 / 2015年4月1日発売 / [CD3枚組+DVD] 4800円 / CHAMP RECORDS / HICC-4008
- ベストアルバム「4×20 ~ 20 YEARS ALL TIME BEST」
Disc 1
- 夕焼けのメロディー
- December Song
- きまぐれ天使
- 悪い夢
- No.3
- Little Sweet Lover
- 勝手にしやがれ
- キミとオレ
- アフィルグ
- Oh Yeah!
- Get Up
- The Thing
- ゆうべあのこが
- 路上のハードボイルド
- 左胸のボス
- 最終列車
- つづきのメロディー
- 風の恋人
- 茜色が燃えるとき
- ラストナンバー ~Beautiful Dawn~
Disc 2
- パレード
- Beautiful Days
- 恋は魔法
- また逢う日まで
- PLUS ONE MORE
- What's Goin' On feat. RHYMESTER
- Back On
- Disco Ride
- やっぱ音楽は素晴らしい feat. RHYMESTER
- トラウマティック・ガール
- ロックンロールは未定
- 真夜中のダンスホール
- MIGHTY SWING
- バンドワゴン・ア・ゴーゴー
- イキガイ
- ミラクルズ
- 恋の彗星
- かんぺきな未完成品
- 結晶
- 新しい夜明け(新曲)
Disc 3
- 夜明けよ急げ
- わがままなあの娘
- 空っぽの言葉
- ロングスカート・ベイビー・ブルース
- 女と男の世界
- 裸の天使
- 恋人はそれを待ちきれない
- 真夜中のヒーロー
- 冷戦
- R134
- 八月の天使
- サマーダウン
- 3rd Season
- Funky Way
- おんな
- 木曜日のユカ(Live at 新宿JAM「R&B天国」1996.6.14)
- Com'on Sunset Back(Live at 下北沢SHELTER 2001.9.16)
- Oh Yeah!(Live at 下北沢SHELTER 2001.9.16)
- アフィルグ(Live at 下北沢SHELTER 2001.9.16)
- 勝手にしやがれ(Live at 下北沢SHELTER 2001.9.16)
DVD収録内容
- 悪い夢
- No.3
- 勝手にしやがれ
- ゆうべあのこが(ONLY SSTV EDITION)
- What's Goin' On feat. RHYMESTER(from DVD『Royal-Funk-a-lismo!』)
- トラウマティック・ガール
- 真夜中のダンスホール
- MIGHTY SWING
- Back On(from DVD『EBISU SPARKLING』)
- バンドワゴン・ア・ゴーゴー
- ミラクルズ
- かんぺきな未完成品
- 結晶
- The Thing(from Video『Do is here』)
- Little Sweet Lover(from『BREAK ROCK』初回特典DVD)
- Funky New Day(Live at RISING SUN ROCK FESTIVAL 2003 in EZO)
SCOOBIE DO(スクービードゥー)
1995年にマツキタイジロウ(G)とコヤマシュウ(Vo)を中心に結成。1996年に現ドラマーのオカモト“MOBY”タクヤ(Dr)が加入し、自主制作カセットなどを販売する。1999年にKOGA Recordsから初のシングル「夕焼けのメロディー」をリリース。続いて発表された1stアルバム「Doin' Our Scoobie」で圧倒的な存在感を放つロックバンドとしてその人気を確かなものとする。2001年にナガイケジョー(B)が加入し、現在の編成で活動開始。2007年には自主レーベル「CHAMP RECORDS」を立ち上げ、ライブのブッキングからCD制作、プロモーションまですべてメンバー自ら行っている。1年に1枚のタームでフルアルバムを発表しており、2014年9月にはCHAMP RECORDS通算7枚目となるオリジナルアルバム「結晶」をリリースした。バンド結成20周年を迎えた2015年は4月にベストアルバム「4×20 ~ 20 YEARS ALL TIME BEST」を発表。10月には東京・日比谷野外大音楽堂にてワンマンライブ「ダンスホール野音」を行う。