生徒に伝えた「鬼練してください」
──「学び舎の春 ~LAST RUNNERS~」は決して易しい曲ではないし、きちんと練習しないと歌えない曲ですよね。
田淵 それは生徒にも伝えました。「鬼練してください」って。パートごとにリーダーを決めて、ひたすら自分のパートを練習してほしかったので。特にアルト、テノールに関しては、主旋律を聴いちゃうと混乱すると思ったので、まずは自分が担当するメロディを体に叩き込んでほしくて。僕も小学校の卒業式で合唱曲を歌ったとき、そういう感じだったんですよ。ずっとアルトの旋律を歌わされて「なんでこんなに暗いメロディなんだ? これを卒業式で歌うの?」と思ってたけど、ほかのパートと一緒に歌ったときに「なるほど」って。その経験が生きましたね。鈴木も同じクラスだったんですけど。
鈴木 そうだね(笑)。バンドの曲でコーラスするときも、自分のパートだけが入った音源をもらうんですよ。メインのメロディを意識すると歌えなくなるので。
田淵 今回の合唱曲に関しては、「男子の参加率がよくなかったらどうしようかな?」ということも考えていたんです。男子がアルト、テノールをがんばってくれないと成立しないかもなって。「みんなで一緒に何かをやりたい」というのが最初の相談だったわけですけど、参加意欲が低い生徒もいると思ったんですよね。「東京のなんとかっていうバンドが曲を作ったからって、なんで参加しなくちゃいけないんだ」っていう人がいても当然だし、それが間違っているとも思わないので。
斎藤 うん。あと、歌がうまくなくても全然いいんですけど、足を引っ張る人がいたら困るなという心配もありました。田淵が言ったように、もともとはラジオのリスナーである女の子から始まったプロジェクトだし、「なんでこんなことやってんだ?」って思う生徒もいるだろうなと。でも、全体練習の動画を見せてもらったら、みんなが一丸になってくれていて、「いいものを作ろう」という気持ちがすごく伝わって。その時点で安心しましたし、うれしかったですね。
鈴木 歌もうまかったしね。
田淵 うん。しっかり練習してくれたんだなって思いましたね。
「こういう場所で育ったらいい子になるよな」
──そして合唱会本番。皆さんもサプライズで登場しましたが、当日の様子はどんな感じでしたか?
鈴木 そうですね……何から話したらいいかな?
田淵 いろいろエピソードがあるからね。
鈴木 まず、旭川の街の雄大さですよね。空港に着いた瞬間から別世界に来たような感覚があって。とにかく緑で囲まれてるんですよ。学校までの道で牛もけっこう見たし。
斎藤 札幌とも全然違う雰囲気だったよね。
鈴木 「旭川東栄高校のみんなは、こういう景色を見て育ったんだな」って。実際、すごく大らかで豊かな雰囲気だったんですよ、みんな。ひと言でいうと、すごくいい子たち。
田淵 「こういう場所で育ったんだから、そりゃあいい子になるよな」って思いましたね。スレてるところがないというか。
斎藤 最初に会った人たちが街のイメージにつながることも多いんですけど、旭川の人たちもみんないい人たちで。現地のスタッフさんもそうだし、食事させてもらった店の店員さんもそうだし。本番前日からすごくいい雰囲気でしたね。
鈴木 学校もいい雰囲気だったんですよ。まず駐輪場がすごく大きくて。
田淵 校庭もね。閉校って聞くとすごく小さい学校を想像してしまうけど、全然そんなことなくて。生徒の数も3年生だけで150人ですからね。
斎藤 大きい学校だよね。でも、下駄箱が3年生の分しかなかったんですよね。
鈴木 自動販売機の数が少なくなってたり。
斎藤 そういう話を聞くと「実際に閉校に向かってるんだな」って実感しましたね。
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高校の楽しい思い出が1つでも増えるきっかけになれば
- スクールソング プロジェクト
supported by カルピスウォーター -
TOKYO FMのラジオ番組「SCHOOL OF LOCK!」が、“感謝を伝えたい人”に歌でエールを贈るプロジェクト。番組リスナーから「日頃感謝を伝えたいと思っている人」とのエピソードを募集し、当選者のエピソードをもとにUNISON SQUARE GARDENがオリジナルソングを制作した。今回当選したのは2018年3月での閉校が決定している北海道・旭川東栄高校。UNISON SQUARE GARDENは学校に残った最後の卒業生である3年生150名のために合唱曲「学び舎の春 ~LAST RUNNERS~」を制作し、生徒との合唱会を実施した。
- UNISON SQUARE GARDEN「10% roll, 10% romance」
- 2017年8月9日発売 / TOY'S FACTORY
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初回限定盤 [2CD]
1944円 / TFCC-89623 -
通常盤 [CD]
1296円 / TFCC-89624
- CD収録曲
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- 10% roll, 10% romance
- RUNNERS HIGH REPRISE
- flat song
- 初回限定盤付属ライブCD収録曲
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UNISON SQUARE GARDEN presents "fun time HOLIDAY 6" at Zepp Tokyo 2017.06.07
- フライデイノベルス
- Silent Libre Mirage
- 桜のあと(all quartets lead to the?)
- プロトラクト・カウントダウン
- instant EGOIST
- オリオンをなぞる
- 光のどけき春の日に
- デイライ協奏楽団
- フルカラープログラム
- 徹頭徹尾夜な夜なドライブ
- 天国と地獄
- mix juiceのいうとおり
- UNISON SQUARE GARDEN(ユニゾンスクエアガーデン)
- 斎藤宏介(Vo, G)、田淵智也(B)、鈴木貴雄(Dr)からなる3ピースロックバンド。2004年7月に結成され、都内を中心に活動を開始する。2006年8月に1stミニアルバム「新世界ノート」をリリースし、ライブハウスおよび下北沢ハイラインレコーズのみの販売で1000枚を完売。2007年にはメンバー主催のイベントをスタートさせ、同年12月には初の単独ライブを成功させた。2008年7月にシングル「センチメンタルピリオド」でメジャーデビュー。アニメ「TIGER & BUNNY」のオープニングテーマとして制作した2011年5月リリースのシングル「オリオンをなぞる」で広く注目を集める。2015年5月にアニメ「血界戦線」のエンディングテーマ「シュガーソングとビターステップ」をシングルリリースし、同年7月にはバンド結成10周年を記念したアルバム「DUGOUT ACCIDENT」を発表、バンド史上初の東京・日本武道館でのワンマンライブも開催した。2016年7月に約2年ぶりとなるフルアルバム「Dr.Izzy」を発表し、本作を携えて44カ所48公演というバンド史上最多公演数となる全国ツアーを実施。8月9日にテレビアニメ「ボールルームへようこそ」オープニングテーマのシングル「10% roll, 10% romance」をリリースし、10月より全国ツアー「UNISON SQUARE GARDEN TOUR 2017-2018「One roll, One romance」を行う。