音楽ナタリー Power Push - シナリオアート

試練を乗り越えて見えた世界

楽しいっていう感情を私たちからちゃんと提示したい

──アレンジも新鮮です。

コウスケ 管楽器を使った楽しさの出し方は、自分たちにとっては新しいと思います。パレードでよく使われるスーザフォンを吹いてもらったり。しかも、管楽器チームにすごく陽気な外国人トランペッターがいたりして、最高のムードでたくさんの人たちと作れたな。

ヤマシタタカヒサ(B, Cho)

ヤマシタ ラスサビ終わりの声は、エンジニアさん含めた全員で録ってるもんね。

──「ワンダーボックスII」(2ndミニアルバム「Tokyomelancholy -トウキョウメランコリー-」に収録)もパレードを歌った曲でしたけど、「エポックパレード」はまったく違う印象ですよね。

コウスケ 以前は弱い自分たちを肯定して、そこの殻から抜けようとせず、シェルターにみんなを呼び込む。そんなユートピアを歌ってたけど、それがいったん崩れた気がしたんです。だったら、僕たちはまた別の世界を目指して冒険しようっていう。新たな始まりだと思いますね。

クミコ 今一番伝えたい曲なので、言葉が届くように歌って、楽しいっていう感情を私たちからちゃんと提示したいです。

コウスケ でも、どこか切ないよな。底抜けに明るいというより、明るさを願うようなメロディかな。

──バンドのストーリーも汲んだ、素敵な仕上がりだと思いますよ。それに底抜けに明るい曲は、ちゃんとカップリングにあるんで。

一同 あははは(笑)、そうだった!!

自分たちで成功の方法を探していきたい

──カップリングの「ジンギスカンフー」、楽しい曲ですよね。「ベイベー」って歌ってるし。

シナリオアート

クミコ うはははは(笑)。こういうのもシナリオアートらしいんです。さっき話に出てきた「ブロークン」と「モウモクカクメイ」もそうだけど、あの2曲って「Happy Umbrella」の中で一番古い曲なんですよ。たまにコウスケさんから出てくる世界観で、けっこう得意分野!

コウスケ ヘンなユーモアというかね(笑)。

ヤマシタ 意味わからんもんな。少林寺、カンフー、ジンギスカンって。

クミコ 最初はもっと真面目なタイトルと歌詞やった。

コウスケ 土壇場でこうなったな。音もクールなファンクっぽかったけど、僕がイントロをチャイニーズなリフにしたらどんどんそっちに行って、「ウー! ハー!」みたいなの入れてみようかって。

──この曲にもストリングスが入ってますよね。

コウスケ 意外に本気で、中国の琴を使ってるっていう(笑)。バンドアレンジはかなりこだわりました。歌詞はメッセージを込めすぎて考えすぎがちなので、たまには肩の力が抜けたものをやりたくて。聴いてくれる人もそうなってほしいです。

──「くだらないを笑えた日々」で終わるのも、いいですよね。

コウスケ 「エポックパレード」につながりますからね。

──今のシナリオアートの価値観が伝わるシングルだと思います。

コウスケ 高い山に登る感覚ではなくて、船旅で世界を回るようなスタンスというか。頂上に行くことばかりを夢と考えると無理が出てきちゃうから、それよりも余裕を持ってモノを作っていきたい。そういうことが肯定されたら、もっと生きやすくなると思うんです。

クミコ 単純に売れたいし、いろんな人に知ってもらいたいけど、そのために高い山を一生懸命登るのは、私たちにはきっと合ってない。あきらめるんじゃなくて、別の道でつかみに行こうと思ってるんです。幸せって感じられることを探して、いいと思える音楽を曲げずに作って、気が付いたら山の上にいられればいいかな。

コウスケ うん。逃げじゃなくて、自分たちで成功の方法を探していきたい。「夢への道のりは1つだけじゃないんだよ」って言えるものをね。「誰かが決めたことをなぞっていって、合わんかったらダメ!」はしんどいから。

ヤマシタ しゃべる人がこれだけしっかりしててくれてれば、安心です(笑)。僕のリーダーっていう役割もね、「リードする」っていう意味だけど、その形も1つじゃないし。後ろから背中を押せるタイプのリーダーがこのバンドには合ってる気がします。

ニューシングル「エポックパレード」 / 2016年7月6日発売 / Ki/oon Music
初回限定盤 [CD+DVD] / 1500円 / KSCL-2742~3
通常盤 [CD] / 1000円 / KSCL-2744
CD収録曲
  1. エポックパレード
  2. ジンギスカンフー
初回限定盤DVD収録内容
  • Scenario Sessions(シニカルデトックス / ハロウシンパシー / トワノマチ)

シナリオアート ワンマンツアー 2016 [Scene #2] -シンカイヘ-

※終了分は割愛

2016年7月8日(金)
大阪府 BIGCAT
2016年7月14日(木)
東京都 EX THEATER ROPPONGI
シナリオアート
シナリオアート

ハヤシコウスケ(G, Vo, Programming)、ハットリクミコ(Dr, Vo)、ヤマシタタカヒサ(B, Cho)による3人組バンド。2009年に地元滋賀で結成され、2011年より現在の編成に。2012年に行われた「キューン20イヤーズオーディション」で最終ライブ審査の11組に残り、同年12月には関西のコンテスト「eo Music Try 2012」でグランプリを受賞する。2014年1月にミニアルバム「night walking」でKi/oon Musicよりメジャーデビューを果たした。同年9月には2ndミニアルバム「Tokyomelancholy -トウキョウメランコリー-」をリリースし、発売翌日に初のワンマンライブを東京・UNITで開催。2015年6月には初のフルアルバム「Happy Umbrella」を発表し、初の全国ワンマンツアーを行った。同年11月、レーベルメイトのKANA-BOONとのスプリットシングル「talking / ナナヒツジ」をリリース。2016年7月に初のシングル「エポックパレード」を発表した。