悩んでいる自分を受け入れて
──先日終了したファンクラブツアー「SCANDAL MANIA TOUR 2021 request」はいかがでしたか?
今回はシンプルなライブハウス公演だったこともあって、みんな立ち上がって拍手してくれたり、手を上に掲げてくれたり、リズムに乗って体を動かしてくれたので、いろんな制約がありつつもコロナ禍以前のライブに近い感覚でパフォーマンスできました。どの会場も本当に熱かった!
──人気投票の結果を反映したセットリストになっていましたが、前半4公演ではMAMIさんが歌う「声」が1位でしたね。その後の公演でもずっと2位をキープしていて。
「声」のサポーターからの熱い応援のおかげですね。5年前に人気投票をやったとき「声」は2位だったので、その結果に満足できなかった人たちが今回がんばってくれたと思ってるんですけど(笑)。本当に恐縮です。
──で、そんな「声」サポーターたちがまた狂喜するであろう新曲「アイボリー」が届きました。作詞・作曲、そしてボーカルをMAMIさんが担当したミディアムナンバーです。
この曲はお風呂でできたんですよ。ただ、それはもう偶然の産物というか、狙って作ったわけでは全然なくて。実は僕、コロナ禍になってからずっと曲がうまく書けなくなってしまっていたんです。そういう時期は今までもあったけど、1年以上も続いたことは初めてだったから、「もうお手上げ」「参りました」みたいな気持ちになっていたというか(笑)。
──そこから抜け出すきっかけは何かあったんですか?
抜け出すというよりは、結局自分はいつも同じことで悩んでいることに気付いたんです。音楽に関してもそうだし、自分のコンプレックスやライフスタイルのこともすべて同じように悩み続けている。それに気付いたらちょっと呆れて笑えてきたし、きっと自分はこれからもそうやって悩み続けながら生きていくんだなとわかったんですよね。
──悩んでいる自分を受け入れられたということなんでしょうね。
そうそう。そこですべてが腑に落ちたというか。自分を肯定できたような気がして心が軽くなったんです。そうしたら本当に独り言みたいな感じでこの曲が自然と出てきて。
──そうやって生まれた曲をメンバーはどう受け取ってくれましたか?
みんないい反応をしてくれましたね。本当に申し訳ないんですけど、この曲で誰かの背中を押そうとか、そういうことはまったく考えてなかったんです(笑)。にもかかわらず、メンバーたちは僕の書いた歌詞にすごく共感してくれて。そのときに「この曲は誰かの曲になり得るんだな」と思えて、すごく自信を持てました。自分自身に対してと、この曲に対して。
レコーディングはHARUちゃんと向かい合わせで
──曲の成り立ちからすると、MAMIさんがご自身でボーカルを担うことも必然のような感じがしますよね。
弾き語りのデモを送ったときに、みんながすごく気に入ってくれたんです。「めちゃくちゃいい!」って。当然、自分がメインで歌うつもりで録ったわけじゃなかったから、びっくりはしたんですけど、みんなから「MAMIが歌いなよ」って言われたときは違和感なく納得できました。新しいことにどんどんチャレンジしていきたい気持ちが常にあるので、何はともあれ「どうにでもなれ!」という気持ちでレコーディングに臨んで(笑)。
──めちゃくちゃ素敵なボーカルになっていると思いますよ。曲に込められた思いが感情を伴ってストレートに伝わってきます。
僕は声がぶっきらぼうなので、感情の上がり下がりがわかりづらかったりするんですよ。なので後半に向けて盛り上がるように、エモくなるように歌うことを意識しました。あと今回はツインボーカルかっていうくらいHARUちゃんと一緒に歌っているので、歌い方とか抑揚のつけ方はお互いにしっかり合わせたところもあって。ブースは別々だったんですけど、向かい合わせで顔が見えるようなセッティングにしてもらったことで、しっかり目を見ながら一緒にレコーディングできました。
──アレンジに関してはどんな部分を大事にしましたか?
4人以外の音を入れるのであれば鍵盤だろうなと思ったので、HARUちゃんの紹介で宗本さんにお願いすることになりました。僕からオーダーした部分はほぼないんですけど、欲しいなと思っていた要素を宗本さんがしっかり入れてくださいました。レコーディングのときにもアドリブでいろんなフレーズを入れてくださって、最終的に「これは生かそう」「これはなくてもいいかな」みたいなやり取りをしてく中で完成していきました。楽しい作業でした。
「アイボリー」を生み出して心が平和に
──ちなみに「アイボリー」というタイトルにはどんな意味が込められているんですか?
お風呂に入ってるときにできた曲だったので、その雰囲気から選んだ言葉なんですけど。ちょっと暗めの照明と湿度の高さで視界はぼやけるし、曇った鏡ですべてが見えない感じもある。そういった全体の色味、景色が“アイボリー”だなって。あと、MVで僕がバスタブに入って歌ってるのも、お風呂でできた曲だからです。メンバーが「バスタブで歌うのがいいんじゃない?」って提案してくれて。
──本作が生まれたことで、スランプからは脱却できましたか?
いや、そんなに変わらないです(笑)。「アイボリー」を作れたことで、曲の元になるいろんな感情が出し切れて、気持ちがスッキリして心の中が平和になっちゃったんですよ。なので、一旦リセットして、ここからまたいろいろと吸収しなきゃと思ってるところです。最近、スケボーに興味が湧いているので、家の近所でスケボーに乗って何かインプットできたらいいなって思ってます。コロナ禍でまだうまく動けない状況ですけど、この先は明るいハッピーな曲を作りたいです。
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