SCANDAL|4人のソロインタビューで紐解く「アイボリー」の魅力

HARUNA(Vo, G)

HARUNA

ツアーで得たモンスター級の1曲を生み出せた実感

──4月に開催されたファンクラブツアー「SCANDAL MANIA TOUR 2021 request」のZepp Haneda公演を観させていただきましたが、皆さんめちゃくちゃ楽しんでましたね。

HARUNA(Vo, G)

そうですね(笑)。同時にすごく胸が熱くなる瞬間もいっぱいあったので、何回か泣きそうになってましたけど。ライブが思うようにできない時間の中で自分の心が削られていたことを、改めてステージに立ったことで気付きましたね。だからこそ、まだ完全ではないけど、ライブというものが戻ってきたことが感じられてすごくうれしかったんです。

──3月リリースの「eternal」も披露されていて。手応えはいかがでした?

あんなにも会場を支配できる曲だとは思ってなかったです。もちろん結成15周年を迎える今の自分たちの挑戦と決意が詰まった曲なので、自信を持って演奏してはいたんだけど、あそこまで会場のテンションをガラッと変えられるっていうのは本当に想像以上で。モンスター級の1曲を生み出せたんだなと思いました。

単純に「いい曲だよね」って感じてもらえたらそれでいい

──挑戦という意味では、今回リリースされる新曲「アイボリー」も今までのシングルにはなかったタイプですよね。しかもボーカルをMAMIさんが担当しているし。

「eternal」に続く曲でも新鮮なことをしたいっていう思いはあったんですよ。で、去年の末くらいにMAMIちゃんから弾き語りのデモが上がってきて、それをプリプロで詰めたところ、「めちゃめちゃいい曲じゃない?」「次はこれを聴いてほしいよね」という気持ちになって。それにシングル曲だからといって必ず私が歌うことが正しいわけじゃないし、今回新たな挑戦としてMAMIちゃんにメインで歌ってもらいました。そのことでどう思われるかを心配するよりは、単純に「いい曲だよね」って感じてもらえたらそれでいいじゃんっていう。

HARUNA(Vo, G)

──その感覚は「絶対なんてないけど 一回試してみてよ 失敗は怖いけれど 心配しなくていいんだよ」という出だしの歌詞のまんまですよね。

あははは(笑)。確かにそうですね。思えばSCANDALは、今までも1つの枠に収まる活動をしてなくて、その時々で楽しいと思えることを新鮮な気持ちでやることを大事にしてる。今回もそうやって作れたのがうれしいですね。

──共同アレンジャーとして宗本康兵さんを迎えたのはどうしてだったんですか?

プリプロの段階で、4人だけで成立するサウンドで完成してはいたんです。ただ、15周年でもあるし、せっかくフィジカルでリリースするので、特別な曲にしたい思いがあった。そこで自分たち以外のエッセンスを足してもらうために、宗本さんにお声がけさせていただいて。宗本さんは鍵盤奏者としてものすごく存在感のある方だけど、アーティストに対して優しく寄り添ってくれる方でもあるので、以前からご一緒してみたかったんです。

──アレンジは宗本さんも含めて一緒に詰めていったんですか?

はい。一緒にスタジオに入ってアレンジしていきました。すごく楽しい作業でしたよ。SCANDALというバンドの雰囲気を感じ取ってくださって、最初から引き算を意識したアレンジというか、隙間をうまく埋めてくれるフレーズのアイデアをたくさん出していただけたので。あと、今回はデビュー当時にお世話になっていた大平太一さんに、ひさしぶりにコーラスのディレクションをしていただいたんですよ。

──全編にわたってコーラスが盛り込まれていますよね。

そうですね。MAMIがメインボーカルではあるんだけど、同じくらいの熱量で私のコーラスも出てくる(笑)。しかも最後はほかのメンバーの声も入ってきて、ちょっとゴスペルっぽくなったりしますからね。かなり聴き応えがあるコーラスワークになったと思います。

自分自身のことを歌っても得られた共感

──イントロのエレキギターはHARUNAさんが弾いていますよね?

はい。MAMIちゃんの弾き語りデモから始まった曲なので、今回はレコーディングでもライブでもMAMIちゃんはアコギを弾きながら歌う。そうなると自然とエレキは私が弾くことになって。普段はバッキングギターを弾いている自分がギターリフを弾くのはかなり新鮮でした。

──HARUNAさんから見て、MAMIさんはどんなボーカリストだと思いますか?

HARUNA(Vo, G)

私とは全然タイプが違いますよね。言い方が正しいかわからないけど、ぶっきらぼうなようでいて、すごく感情が伝わる声を持っているボーカリストだと思います。歌い方に遊び心やユニークさもありますし。レコーディングでも感じましたけど、たぶん「こう歌おう」って決め込まず、そのときの気分次第で歌っているんだと思います。だからテイクを重ねたとしても、同じ歌い方は1回もない。まあMAMIちゃんの歌録りは基本的に一発OKみたいなことが多いんです。最初から「全然いいじゃん、これで」っていう説得力のあるテイクが出るので。

──MVの撮影はいかがでしたか?

全員での演奏シーンはスローにして使うために、倍速で撮ったんですよ。それがけっこう大変でした。めちゃくちゃ速いから、「あれ『アイボリー』ってこんな曲だっけ?」みたいな感覚になりつつ、パンクバンドみたいなパフォーマンスをしました(笑)。最初はコードチェンジが追い付かなくて大変だったけど、いつのまにか自然と倍速でも弾けるようになってたのが面白かったですね。

──引き続き、楽曲制作は進められているようですね。

はい。コロナ禍を経て生まれた曲は、ちゃんと今の年齢感が出ているし、ちょっと感覚的な内容が増えている印象もあって。誰かに向けてというよりは、自分の思ってることをそのままつづった曲が多いかな。

──まさに「アイボリー」がそうだったように。

そう。ただ、そうやって自分のことを曲にしたとしても、それがほかの人に共感してもらえるということを「eternal」や「アイボリー」で知ることができたのはアルバム制作に大きな影響がありそうです。誰かを励ましたいとか、そういう気持ちを背負いこみすぎなくてもいいんだなと最近は思っています。

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MAMIソロインタビュー