フレッシュでトゲのあるものをデビュー10年目にして作れたことがうれしい
──今回はシングル曲と「窓を開けたら」以外はすべて作詞作曲からアレンジまでバンド内で完結していますよね。
RINA そうなんです。(メンバーと目を合わせながら)うれしいね(笑)。とは言え、今回はアレンジャーさんを入れないでおこうとあえて決めたわけでもなかったんですよ。「これはもうアレンジまでできちゃってるからそのまま録って大丈夫じゃない?」みたいな感じだったんで、自分たちだけでやることに対してのプレッシャーは特になく。
TOMOMI うん、現場の空気はすごくナチュラルでしたね。アレンジャーさんにお願いする場合でも、MAMIのデモはほぼ完成形に近いものになっていて、そこに各メンバーが味付けしていくくらいなんですよ。だから流れとしては普段と変わらないっていう。
HARUNA まあでも、普段通りの感覚ですべてを自分たちだけでやれてしまったっていう意味では、各メンバーの底力が見えるアルバムになってるとは思いますね。
RINA そうだね。何もできなかった私たちを知ってるディレクターや事務所のマネージャーが「全然そのままでいいよ」って言ってくれたことが単純にうれしかったし。どこかデビューアルバムをもう1回作っちゃったみたいな感覚もあるんですよね。こんなフレッシュで、勢いとトゲのあるものをデビュー10年目にして作れたことがホントにうれしいなって。
──作詞をRINAさん、作曲をMAMIさんが手がけた楽曲がたっぷり入っています。
RINA 思いついたら作りまくっていたので(笑)。
MAMI 47都道府県ツアーの最中にも作っていたし、対バンツアー以降も作ってたもんね。ただ、1、2曲目はギリギリでできた曲なんですよ。この2曲がなかったらこのアルバムどうなってたんだろうっていう(笑)。
──1曲目「プラットホームシンドローム」と2曲目「OVER」は、ライブバンドであることを実感させる疾走感のあるロックチューン。SCANDALとしては得意なタイプの曲だと思うんですけど、なぜにギリギリまで生まれなかったんでしょうね?
HARUNA ついつい回り道しちゃったんだよね(笑)。
MAMI そうそう。ライブでガツンとかませる曲を目指して作ってはいたんですけど、僕はよくも悪くもひねくれがちなんで、「エレクトリックガール」みたいな変なダンスナンバーが出てきちゃうっていう(笑)。まあでも、ふとした瞬間に「あ、見つけた!」みたいな感覚で「プラットホームシンドローム」も「OVER」も作ることができて。ギリギリにはなったけど、曲のアイデアやイメージは頭の中に初めからあったんだろうなとは思います。
1人の人物のいろいろな感情を描いたアルバム
──「ショートショート」もRINAさんとMAMIさんコンビの曲。コーラスを多用した柔らかで美しい世界観からは女性ならではの魅力が感じられますよね。
TOMOMI この曲、気持ちいいですね。Aメロはずっと同じフレーズしか弾いてないんで我慢、我慢なんですけど(笑)、サビが急にエモーショナルになるんで、その対比がすごくいいなって思います。
MAMI 僕はアルバムの中ではこの曲が一番エモいかもって思ってますね。音的にはすごくシンプルなんですけど、そこに声で色付けしていくことでうまくきらびやかな感じが出せたかなと。
RINA HARUNAの歌声もすごく透き通った感じだよね。
HARUNA 実はこの曲の歌、プリプロのときに歌ったテイクをみんながすごく気に入ってくれたから、歌詞が変わったところ以外はそのまま使ってるんですよ。初期衝動と言うか、MAMIのデモを初めて聴いたときに感じた気持ちを乗せた声が曲にハマったっていう。そういうこともあるんだなっていう発見がありましたね。
──7曲目の「窓を開けたら」はTOMOMIさんが作詞作曲を手がけたナンバー。このアレンジがねごとの沙田瑞紀さんによるものですね。すごく大人っぽい仕上がりです。
TOMOMI この曲は3年くらい前、すごく落ち込んで自分の魂だけがどんどん抜けて身体だけになっちゃう気がする夜が続いたときに書きました。自分の心の話を書いた曲だから、アレンジもプライベートで交流のある近しい人とやりたかったんですよね。アルバムの中で1つのスパイスになるとも思ったので。
RINA サウンド的にも心を掘り下げた歌詞的にも、今のSCANDALなら背伸びせずにしっかり表現できると思ったからこの曲はぜひやりたかったんです。これが入ったことでアルバムの重心がグッと下がったし、アルバムの中に1つのテーマを作ってくれているとも思いますね。
──「ミッドナイトシティ」にも感じられますが、ラブソングとは違った表現、アプローチで女性の繊細さ、弱さみたいな部分を描き出したタイプの曲ですよね。そういった楽曲が入ることでアルバムとしての奥深さやリアリティが生まれている印象もありました。
RINA そうなんですよね。「窓を開けたら」は曲調だけ聴くとちょっと違う場所にあるように感じる人がいるかもしれないけど、1人の人物の1つの側面として考えると、アルバムの10曲全部がつながっている感じがしますよね。1人の人物のいろいろな感情を描いたアルバムって感じがあるなって私はすごく思いますね。
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「HONEY」から垣間見る各パートの進化
- SCANDAL「HONEY」
- 2018年2月14日発売 / EPICレコードジャパン
-
完全生産限定盤
[CD+Tシャツ]
5700円 / ESCL-4957~8 -
初回生産限定盤
[CD+DVD]
3700円 / ESCL-4959~60 -
通常盤 [CD]
3200円 / ESCL-4961
- CD収録曲
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- プラットホームシンドローム
- OVER
- テイクミーアウト
- Oh! No!
- ミッドナイトシティ
- ショートショート
- 窓を開けたら
- ふたり
- エレクトリックガール
- 恋するユニバース
- 初回限定盤付属DVD収録内容
-
Storytellers: SCANDAL
- 瞬間センチメンタル
- キミと夜と涙
- LOVE ME DO
- 声(Acoustic ver.)
- DOLL
- 恋するユニバース
- テイクミーアウト
- 8月
- SCANDAL BABY
SCANDAL TOUR 2018 "HONEY"
- 2018年3月3日(土)埼玉県 三郷市文化会館 大ホール
- 2018年3月9日(金)鹿児島県 鹿児島市民文化ホール 第2ホール
- 2018年3月10日(土)福岡県 福岡市民会館
- 2018年3月16日(金)宮城県 仙台銀行ホール イズミティ21 大ホール
- 2018年3月17日(土)岩手県 盛岡市民文化ホール 大ホール
- 2018年3月21日(水・祝)北海道 わくわくホリデーホール
- 2018年3月24日(土)栃木県 佐野市文化会館 大ホール
- 2018年3月25日(日)茨城県 結城市民文化センター アクロス 大ホール
- 2018年3月31日(土)新潟県 新潟県民会館
- 2018年4月1日(日)石川県 本多の森ホール
- 2018年4月7日(土)広島県 広島文化学園HBGホール
- 2018年4月8日(日)鳥取県 米子市公会堂
- 2018年4月14日(土)愛知県 日本特殊陶業市民会館フォレストホール
- 2018年4月15日(日)愛知県 日本特殊陶業市民会館フォレストホール
- 2018年4月21日(土)香川県 サンポートホール高松 大ホール
- 2018年4月22日(日)奈良県 なら100年会館 大ホール
- 2018年4月27日(金)大阪府 オリックス劇場
- 2018年4月28日(土)大阪府 オリックス劇場
- 2018年5月11日(金)東京都 中野サンプラザホール
- 2018年5月12日(土)東京都 中野サンプラザホール
- 2018年5月18日(金)静岡県 静岡市清水文化会館(マリナート)大ホール
- 2018年5月19日(土)岐阜県 岐阜市民会館
- 2018年5月25日(金)兵庫県 神戸国際会館こくさいホール
- SCANDAL(スキャンダル)
- 2006年8月に大阪のボーカル&ダンススクールで出会ったHARUNA(Vo, G)、MAMI(G, Vo)、TOMOMI(B, Vo)、RINA(Dr, Vo)の4人で結成したガールズバンド。結成直後から大阪城公園でストリートライブを始め、キュートなルックスと力強いバンドサウンドを武器に瞬く間に人気を獲得する。2008年10月、シングル「DOLL」でメジャーデビューを果たし、2009年末に「第51回輝く!日本レコード大賞」で新人賞を受賞した。2013年3月にメンバーの念願だった大阪・大阪城ホールにてワンマンライブを開催し、2014年6月に神奈川・横浜アリーナにてガールズバンドとして23年ぶりとなる2DAYSのワンマンライブを成功に収める。2015年1月からは全31公演の国内ホールツアーと、フランス、イギリス、アメリカ、香港、台湾、メキシコ、ドイツ、シンガポールといった国での初単独公演を含むワールドツアーを行った。結成10周年記念日となる2016年8月21日には地元大阪の泉大津フェニックスで野外ワンマンライブを開催。2017年2月には10周年を記念したベストアルバム「SCANDAL」をリリースした。2017年10月には初の対バンツアーを実施。2018年2月には通算8枚目となるオリジナルアルバム「HONEY」を発売する。