音楽ナタリー Power Push - SCANDAL
4人4色のYELLOW メンバーソロインタビュー
SCANDALの10年を振り返って
10年はあっという間でしたけど、振り返ってみると1年1年が濃かったなと感じます。「大阪城ホールでワンマンをやりたい」っていう、4人が初めて持った夢を叶えられたことや、ワールドツアーができたってことは私たちの歩みの中の大きな出来事ではあるんですけど、トピックはそれだけじゃないというか。その時々でみんながそれぞれに経験値を積んで、ここまで歩いてこれたという感覚です。
バンドが大きく前進した転機
バンドがここでぐっと成長した、っていうポイントを決めるのは難しいかもしれないです。これまで、メンバー1人ひとりが誰も飛び抜けず置いていかれず、すごくバランスよく成長してこれたと思うから。HARUNAは初めて武道館でワンマンをやったときに歌うことへの気持ちが大きく変わったと言っていたし、もともとエンタテインメントの世界で活躍することを目指していたRINAは最初から意識が高くて、みんなを引っ張ってくれた。TOMOMIは結成当時から器用だったけど、音楽活動への意志がぐっと強くなった時期がありました。
自分の成長につながった転機
最近だと「Departure」が海外の方に人気だったことが、ソングライティングの面ですごく自信につながりました。この曲は私が作詞作曲を担当していて、初めてメンバーの名前が作詞作曲のクレジットに載ったシングル曲なんです。日本の四季や日常的な風景を切り取って書いてるんですけど、彼らに「なんで気に入ってくれたの?」って聞いたときに、日本語の美しさやメロディのキャッチーさだけじゃなく日本の文化や景色を感じて愛してくれたみたいで、そのことにすごく感動して。「作ってよかったなあ」って感じました。
メンバーの変化
HARUNAは結成当初、一番年上だしリーダーだしで、すごく責任を感じていたんじゃないかなと思う。でも最近はリラックスしているなって思います。あとHARUNAはこの頃、歌うことの楽しさを改めて見出せるようになったみたいです。今回のアルバムでもいろんなトーンのボーカルにチャレンジしてもらっています。TOMOは初対面のときは大人しい印象だったんです。で、いざバンドをやろうとなって1カ月、2カ月と過ごしていくうちに本性を表してきて、すごくほんわかした、マイペースな感じになっていきました(笑)。あと彼女はもともと自分の芯をしっかり持っている人なんですが、最近はそういうところがよりハッキリ見えてきたかな。「これはいい、これは違う」っていう判断力がある子なので、「TOMOがよければOK」みたいな感覚が自分の中にあります。RINAはアクティブになったと思う。もともと家でずっと過ごしてるような子だったんです。でも最近、4人のLINEグループにRINAのオススメのごはん屋さんの情報が突然送られてくるんですよ。この間「究極だな!」って思ったのは、温泉旅館の情報が送られてきたこと(笑)。もともとみんなで「温泉に行きたいね」って話してはいたんですけど、「ここの宿は個室の露天風呂がついてていい!」みたいなところまでリサーチして送ってくれる。最近はいろんな場所の予約係ですね(笑)。いきなりアクティブになりました。
4人の中での私の役割
なんだろう……中和役かな。4人の中で意見が分かれたとき、私はどっちのよさもわかるから、それぞれの意見を聞いてまとめることが多いかもしれないです。最近自分が曲作りを多くしていることもその理由かも。みんなの意見をまとめて1つの作品にする、っていうことが多くなりました。
「YELLOW」制作にあたって意識したこと
ワールドツアーを回ったときに海外メディアの方に「SCANDALの音楽はハッピーロックですか? シリアスロックですか?」って聞かれて、そのときに「ハッピーロックだ」って思ったんです。その時点ではこのようなアルバムを出すっていうことは決めていなかったけど、その出来事をきっかけにみんなが「次の作品は幸福感のあるものを作りたい」って同じ方向を向いたような気がします。だから、集まって来る曲もハッピーなものが多くて、悩んだり苦労したりということもなく作品ができあがっていきました。
お気に入りの曲
1曲目の「Room No.7」です。「アルバムのプロローグになる曲が欲しいね」ってみんなで考えて候補曲を見たときに、ポップな曲はそろっていたから「ライブハウスでガツンとやれるような曲を入れない?」って話になって、じゃあそうしようか、と。フレーズ自体は自分の中に浮かんでいるものがいくつかあったんで、それを何パターンか並べてみんなにデモを送ったんです。そうしてスタジオに入ってみんなで音を出しながら作っていったんですけど、曲の構成がなかなか決まらなかった。結局最初に演奏したシンプルな構成のテイクが「一番いいね」ってことになったんですけど、このアルバム制作の中ではすごく悩んだところですね。だけどバンドのテンションがそのまま音源にパッケージできたと思うし、4人の音だけじゃない、スタジオ全体の熱い空気感みたいなものを閉じ込められたから、聴いていて楽しいなと感じてもらえると思います。
「YELLOW」の聴きどころ
音にすごくこだわりました。海外を回りながら、その土地で出会ったバンドの音楽に触れて「この音ってどうやって出すんだろう?」ってたくさん疑問が浮かんだんです。この作品では、そうやって気になった音を日本で表現してみようとチャレンジしました。ブースの気温をエアコンでぐっと下げて湿気を飛ばして、カラっとした音にしてみたり。真冬にマフラーやコートを着込んでスタジオの中に入って演奏したんですよ(笑)。楽器って、湿度によって木の鳴りだったりがすごく変わるんですよね。あとは、今までエフェクターをたくさん使ってきたけど、その“ケミカルさ”をいい具合に削ぎ落としたくて、エフェクターを使わずアンプのツマミを動かして音を作っていったり。全体を通してナチュラルな音色に仕上がっていると思います。今回は「この曲はこういう音でやりたい」っていうイメージが自分たちの中にすごくあったから、そこはローディーやアレンジャーとしっかり相談しながら取り組んでいきました。
SCANDALにとっての「YELLOW」
こうやって自分たちが作詞作曲した楽曲オンリーのアルバムが仕上がると「(曲を)作れるようになったんだなあ」って改めて思うんです。バンドにとって自作自演は当たり前のことかもしれないけど、私たちは10年目でやっとここまでできるようになったから。また、10年という区切りのいいタイミングで満足のいく作品ができたので、何か明確なラインがあるわけじゃないけど、ここからまた新たなスタートを切るんだ、って意識を持ってもいいのかなと思います。
SCANDALのこれから
何か1つの目標を決めて進んで行く、っていうことはないと思うんです。「行けるところまで行こうよ」って思っているから。これからも、たくさん曲を作っていろんなところでライブをしたいし……。まだまだ、やりたいことはいっぱいあります。
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- ニューアルバム「YELLOW」/ 2016年3月2日発売 / EPICレコードジャパン
- 完全生産限定盤 [CD+Tシャツ] / 5200円 / ESCL-4590~1
- 初回限定盤 [CD+DVD] / 3700円 / ESCL-4592~3
- 通常盤 [CD] / 3200円 / ESCL-4594
CD収録曲
- Room No.7
- Stamp!
- LOVE ME DO
- Morning sun
- Sunday Drive
- 今夜はピザパーティー
- ヘブンな気分
- SUKI-SUKI
- LOVE
- Sisters
- Happy Birthday
- ちいさなほのお
- Your song –English ver.-
初回限定盤DVD収録内容
- YELLOW OPENING MOVIE “Room No.7”
- YELLOW OPENING MOVIE “Room No.7”
~Making Clip~
- SCANDAL TOUR 2016「YELLOW」
- 2016年4月13日(水)宮城県 仙台PIT
- 2016年4月14日(木)宮城県 仙台PIT
- 2016年4月16日(土)新潟県 新潟LOTS
- 2016年4月17日(日)新潟県 新潟LOTS
- 2016年4月21日(木)福岡県 Zepp Fukuoka
- 2016年4月23日(土)広島県 BLUE LIVE HIROSHIMA
- 2016年4月24日(日)広島県 BLUE LIVE HIROSHIMA
- 2016年4月30日(土)香川県 高松festhalle
- 2016年5月1日(日)大阪府 なんばHatch
- 2016年5月3日(火・祝)愛知県 Zepp Nagoya
- 2016年5月4日(水・祝)愛知県 Zepp Nagoya
- 2016年5月8日(日)北海道 Zepp Sapporo
- 2016年5月11日(水)東京都 Zepp Tokyo
- 2016年5月13日(金)東京都 Zepp Tokyo
- 2016年5月14日(土)東京都 Zepp Tokyo
- 2016年5月19日(木)大阪府 なんばHatch
- 2016年5月20日(金)大阪府 なんばHatch
- 2016年6月4日(土)シンガポール The Coliseum
- 2016年6月9日(木)香港 Star Hall
- 2016年6月11日(土)台湾 台北 ATT SHOW BOX
- 2016年6月18日(土)タイ BCC Hall Central Ladprao
- SCANDAL 10th ANNIVERSARY FESTIVAL 「2006-2016」
- 2016年8月21日(日)大阪府 泉大津フェニックス
OPEN 13:00 / START 16:30
SCANDAL(スキャンダル)
2006年8月に大阪のボーカル&ダンススクールで出会ったHARUNA(Vo, G)、MAMI(G, Vo)、TOMOMI(B, Vo)、RINA(Dr, Vo)の4人で結成したガールズバンド。結成直後から大阪城公園でストリートライブを始め、キュートなルックスと力強いバンドサウンドを武器に瞬く間に人気を獲得する。2008年10月、シングル「DOLL」でメジャーデビューを果たし、2009年末に「第51回輝く!日本レコード大賞」で新人賞を受賞した。2012年3月に初のベストアルバム「SCANDAL SHOW」を発売。2013年3月にメンバーの念願だった大阪・大阪城ホールにてワンマンライブを開催し、2014年6月に神奈川・横浜アリーナにてガールズバンドとして23年ぶりとなる2DAYSのワンマンライブを成功に収めた。同年12月にニューアルバム「HELLO WORLD」をリリース。2015年1月からはバンド史上最多公演数となる全31公演の国内ホールツアーと、フランス、イギリス、アメリカ、香港、台湾、メキシコ、ドイツ、シンガポールといった国での初単独公演を含むワールドツアーを開催する。同年9月にはメジャー通算22枚目となるニューシングル「Sisters」をリリース。12月から2016年1月にかけて、東京・日本武道館2DAYSを含む東名阪ツアー「SCANDAL ARENA TOUR 2015-2016『PERFECT WORLD』」を実施した。3月2日に7枚目のオリジナルアルバム「YELLOW」を発表。結成10周年記念日となる8月21日には地元大阪で野外ワンマンライブを開催する。