ナタリー PowerPush - SCANDAL
傑作アルバムを経て完成 SCANDAL流女性ロックカバー集
音色を自分たちの好きな感じにしたかった
──そして、今度は初のカバーミニアルバム「R-GIRL's ROCK!」。夏からたたみ掛けるようにリリースが続きますね。
HARUNA もうね、今出せるものはどんどん出していきたいなと。
──なるほど。カバーアルバムを作ろうというアイデアはいつ頃からあったんですか?
RINA(Dr,Vo) 以前JUDY AND MARYのトリビュートアルバムで「DAYDREAM」をカバーしたり、今年の春に「secret base ~君がくれたもの~」をカバーしたりっていう流れで、もっといろんな曲をカバーしてみたいとずっと思っていて。だから、改めてやろうというよりは、これまでの流れで自然と作ることが決まったんです。
──SCANDALってオリジナル曲で勝負してるイメージが強かったので、今回のミニアルバムには意外な印象があったんです。でも、「スキャンダルなんかブッ飛ばせ」からの流れで考えると、懐かしさを感じさせる選曲や内容にスッと入っていけるんですよ。
HARUNA はい。なのでこのアルバムも、「TEMPTATION BOX」同様に新しい挑戦なんです。
──選曲はみなさんの好きな曲が中心なんですか?
HARUNA そうですね。そこに、スタッフさんから勧められた曲も入ってます。
TOMOMI 候補曲はもっとたくさんあったので、最初は7曲じゃ収まらなかったですね。
──具体的には、今回初めて聴いた曲ってどれですか?
MAMI JITTERIN'JINNの「SINKY-YORK」は最初知らなくて、スタッフさんが「いい曲だよ」って教えてくれたのがきっかけでした。歌詞にキュンキュンしたし、曲調もやったことないジャンルだし、みんなで「いいよね」って言ってやることにしたんです。各アーティストに名曲がいっぱいあるから、選曲は本当に迷いましたよ。山口百恵さんは最近いろんな番組で特集されていて、この曲も歌ってたんだ、あの曲も歌ってたんだって知ることもあったし。
──どの曲もそうですけど、ちゃんと「SCANDALの音」になってますよね。
MAMI やっぱり音色を自分たちの好きな感じにしたいというのがあったし、ライブ感を出したいというのもあったし。例えば、「恋人がサンタクロース」は去年のクリスマスライブで一度演奏したことがあるんですけど、そのときはコードをただなぞっていく感じだったのが、今回は全然違う形になったと思う。「六本木心中」や「ロックンロール・ウィドウ」はメタル化してるし(笑)。基本的にすごく歪んでいて重い音のギターや、ズシズシくる音が好きなので、そういうところでうちららしさを出したいと思ってました。
今回は特に自分たちの意見を最大限に出せた
──カバーする際に一番気をつけたのはどういうところですか?
HARUNA アレンジする上で、1曲1曲の良さを残しつつ私たちらしさを大事にできたらと。そこは一番気をつけました。
──その「SCANDALらしさ」というのは、どういった点でしょう?
MAMI メンバー全員が歌えるところですね。今回はどの曲でも今まで以上にハモっていて、原曲ではハモってない部分にもガンガン入れてるんですよ。10声ぐらい入ってるところがあったり、原曲ではハモってるけどあえてHARUNAだけが歌ってたり、いろいろ試しました。ハモリに関しては、難しかったというより大変でしたね。HARUNAとTOMOMIがボーカルを録ってる時間よりも長くかかるときもあって、むしろハモリのほうがメインなんじゃないかって曲もあったくらい(笑)。
──演奏面で何かこだわった部分はありますか?
RINA 以前は木製のドラムキットにアクリルのスネアを使ってたんですけど、スネアも木製の素材に変更して、キット全体に一体感を出すようにしました。たぶん昔の音源も木製のキットを使ってたやろうなあと思って。あとは、あとは、JITTERIN'JINNの曲はスカの要素が強いので、この曲に挑戦して初めてスカのリズムが理解できた気がします。
──そういえば、RINAさんは初めてリードボーカルにも挑戦してますよね。
RINA はい。「Sunny Day Sunday」で初めてボーカルを取ったんですよ。今までも歌ってみたいなっていう気持ちはあったんですけど、なかなか機会がなくて。だから、今回はめっちゃ緊張しました。そして、改めてみんなすごいなって思いましたね(笑)。
──本当に楽しんで作ったっていう雰囲気が、アルバム全体に出てると思います。
HARUNA 今回は特に自分たちの意見を最大限に出せたと思っていて。今までは歌の振り分けってレコーディング中にディレクターさんと決めたりしてたんですけど、「Sunny Day Sunday」に関しては自分たちで「RINAに絶対歌ってほしい」って言って、スタッフさんを説得して決めたんです。
CD収録曲
※カッコ内はオリジナルアーティスト
- 六本木心中(アン・ルイス)
- 恋人がサンタクロース(松任谷由実)
- SINKY-YORK(JITTERIN'JINN)
- ロックンロール・ウィドウ(山口百恵)
- DAYDREAM(JUDY AND MARY)
- Sunny Day Sunday(センチメンタル・バス)
- secret base~君がくれたもの~(ZONE)
SCANDAL(すきゃんだる)
2006年8月に大阪のボーカル&ダンススクールで出会ったHARUNA(Vo,G)、MAMI(G,Vo)、TOMOMI(B,Vo)、RINA(Dr,Vo)の4人で結成したガールズバンド。結成直後から大阪城公園でストリートライブを始め、キュートなルックスと力強いバンドサウンドを武器に瞬く間に人気を急上昇させる。2008年3月にはタワーレコード限定のインディーズシングルを3カ月連続でリリース。春から夏にかけてはアメリカ、フランス、香港などでもライブを行い、海外のジャパンカルチャーファンから注目を集めた。同年10月、シングル「DOLL」でメジャーデビューを果たす。2009年末には「第51回輝く!日本レコード大賞」で新人賞を受賞。ライブツアーやイベント出演も精力的に行い、ファン層を拡大し続けている。2010年には劇場用アニメ「ルー=ガルー 忌避すべき狼」で主題歌、挿入歌、エンディング曲、アニメ出演の4役に挑戦。同年8月には2ndアルバム「TEMPTATION BOX」をリリースし、好セールスを記録した。