ナタリー PowerPush - SCANDAL
傑作アルバムを経て完成 SCANDAL流女性ロックカバー集
SCANDALがカバーミニアルバム「R-GIRL's ROCK!」をリリースした。「ガールズロックへのリスペクト」を強く表現したこの作品には、1980年代から2000年代までの女性ボーカル曲のカバーを収録。JUDY AND MARYやZONEといった近年活躍したバンドから、山口百恵やアン・ルイスなど昭和を代表する歌手まで、バラエティに富んだアーティストの楽曲をSCANDALならではの熱い演奏とキュートな歌で楽しむことができる。
今回ナタリーでは、メンバー4人にインタビューを実施。新作についてはもちろんのこと、「TEMPTATION BOX」リリース後のバンドの活動状況、さらにはメンバーに訪れた意識の変化など、興味深い話題をたっぷり訊いた。
取材・文/西廣智一 インタビュー撮影/中西求
もっと新しくて楽しいことがしたいっていう欲が出てきた
──2ndアルバム「TEMPTATION BOX」発売から3カ月ほど経ちました。改めて振り返ってみて、あのアルバムはどういうものだと思いますか?
HARUNA(G,Vo) アルバムを出して、その後にツアーをやって、そこで初めて「TEMPTATION BOX」という作品が完成したような気がしてます。ライブのことを考えて作ったアルバムだったので、自分たちから発信するものとお客さんからもらったパワーが一緒になったときのあの気持ち良さが、まさに私たちが作りたかったものだったのかなって感じてますね。
──一度は完成したアルバムが、ライブを重ねていくことでどんどん進化していったということですか?
MAMI(G,Vo) そうですね。スタッフさんも含めてライブ後にミーティングしたり映像を観たりして、「ここはもうちょっと間を空ける」「ここは照明を工夫してもらう」「じゃあここにSE入れてみよう」と途中から変わっていって。アルバムだけじゃなくてライブでもいろんな挑戦があって、最後にはいいものができたなという達成感がありました。
──そして、矢継ぎ早に8thシングル「スキャンダルなんかブッ飛ばせ」がリリースされて。今までのSCANDALにはなかった、懐かしさを感じさせる歌謡曲調の楽曲ですね。
TOMOMI(B,Vo) 最初は音数が少なくシンプルで、「もっとこうしたいな」って意見を言っていく中で今の形になったので、すごく新鮮でした。この曲は自分たちで作詞作曲をしてないので、レコーディングは自分がその歌詞の中の主人公になった気分で歌って。それもまた新しい挑戦やなと思いましたね。
MAMI 学園祭でこの曲を演奏すると反応が良くて、イントロでウワーッとなってくれるんです。あとはTwitterでも「カッコいい」「ビデオクリップを観て振り付けを覚えたい」と言ってもらえて。アレンジもカッコいいものになったと思うし、自分たちのサウンド感も出てきたので、それで受け入れてもらえたのかな。
──アルバムで一区切りついて、そこを起点にどんどん新しい動きが始まっている感じがします。
HARUNA そうですね。もっと新しくて楽しいことがしたいっていう欲が、どんどん出てきてますし。
「何やってもいいから。もっと弾けていいよ!」
──「スキャンダルなんかブッ飛ばせ」を作詞した阿木燿子さんとは以前「KOSHI-TANTAN」(6thシングル「太陽と君が描くSTORY」収録)で一緒に仕事をしていますが、作曲の宇崎竜童さんとは今回が初めてでしたよね。
HARUNA 「スキャンダルなんかブッ飛ばせ」の原曲は宇崎さんが長年温めていた大切な曲なのに、自分たちと一緒に完成させようと思ってくれたのがまずうれしくて。一緒にご飯を食べながらミーティングしたときも、すごく気さくに話してくださったり、ライブDVDを事前に観てきてくださったりして、それもすごく感動しました。
──宇崎さんからは曲についてのアドバイスはありましたか?
TOMOMI バンド全体にスポットが当たるんじゃなくて、個人個人をフィーチャーするシーンが作りたいと言ってくれて。SCANDALは誰が中心というバンドじゃなくて、4人それぞれに個性やキャラがあって、それが合体してひとつのグループになってるので、「こういうところをもっと出したら面白いんじゃない?」「フロント3人で語尾が重なったような感じで歌ってみようか」って自分たちの特長を活かしてくれたんです。
HARUNA 「何やってもいいから。もっと弾けていいよ!」って言ってくれたから、すごくリラックスしてできましたね。
TOMOMI 自分なりに極端にやってたつもりなんですけど「もっともっと!」って言ってくれはって、最後のほうはこっちもすごいテンション上がりましたね。今までとまったく違う感じで、本当にレコーディングが楽しかったです。やっぱりこの曲は3人で歌ってるっていうのが大きくて、レコーディングも3人一緒にブースに入って、アイコンタクトしながら録ったんですよ。その生っぽさ、ライブ感がすごく出てるんじゃないかなと思います。
CD収録曲
※カッコ内はオリジナルアーティスト
- 六本木心中(アン・ルイス)
- 恋人がサンタクロース(松任谷由実)
- SINKY-YORK(JITTERIN'JINN)
- ロックンロール・ウィドウ(山口百恵)
- DAYDREAM(JUDY AND MARY)
- Sunny Day Sunday(センチメンタル・バス)
- secret base~君がくれたもの~(ZONE)
SCANDAL(すきゃんだる)
2006年8月に大阪のボーカル&ダンススクールで出会ったHARUNA(Vo,G)、MAMI(G,Vo)、TOMOMI(B,Vo)、RINA(Dr,Vo)の4人で結成したガールズバンド。結成直後から大阪城公園でストリートライブを始め、キュートなルックスと力強いバンドサウンドを武器に瞬く間に人気を急上昇させる。2008年3月にはタワーレコード限定のインディーズシングルを3カ月連続でリリース。春から夏にかけてはアメリカ、フランス、香港などでもライブを行い、海外のジャパンカルチャーファンから注目を集めた。同年10月、シングル「DOLL」でメジャーデビューを果たす。2009年末には「第51回輝く!日本レコード大賞」で新人賞を受賞。ライブツアーやイベント出演も精力的に行い、ファン層を拡大し続けている。2010年には劇場用アニメ「ルー=ガルー 忌避すべき狼」で主題歌、挿入歌、エンディング曲、アニメ出演の4役に挑戦。同年8月には2ndアルバム「TEMPTATION BOX」をリリースし、好セールスを記録した。