ナタリー PowerPush - SCANDAL
ロックバンドSCANDALの真の姿を紐解く「TEMPTATION BOX」
SCANDALが7thシングル「涙のリグレット」、2ndアルバム「TEMPTATION BOX」を連続リリースする。2008年のメジャーデビュー以降、着実に成長を重ねている彼女たち。初のバラードシングル「涙のリグレット」とバラエティに富んだ意欲作「TEMPTATION BOX」からは、短期間にさらなる飛躍を遂げたことをじっくり感じ取ることができる。
今回ナタリーでは、メンバー4人にインタビューを敢行。新作に対する手応えからバンドとしての在り方、さらにはメンバーそれぞれの個性についてまで、興味深い話をたっぷり訊いた。
取材・文/西廣智一 インタビュー撮影/中西求
作っていく過程でみんなの気持ちがひとつに
──「涙のリグレット」は初のバラードシングルですが、これまではバラードを作ろうっていう話はなかったんですか?
RINA(Dr,Vo) ずっとバラードはやりたいなと思っていて。ワンマンライブをやるようになってからは特にそういう思いが強かったんですけど、いつ出そうかなってタイミングをずっと見計らっていた感じです。
──この曲を最初に聴いたときの第一印象は覚えてますか?
MAMI(G,Vo) たぶんみんなそうだと思うんですけど、バラードが初めてだったので最初はあまりピンとこなかったんです。でもレコーディングが進むにつれて、だんだん気持ちが入っていって。苦労しながら何回も録り直した曲なので、作っていく過程でみんなの気持ちがひとつになった作品じゃないかなと思います。
──これまでとは演奏面での表現方法も変わりました?
HARUNA(Vo,G) 初めてっていうのもあるんですけど、まず感覚が掴めなくて。いつもテンポが速くてコードをかき鳴らしてみんなで暴れてっていう感じだけど、バラードでやるべきことって真逆じゃないですか。演奏が走りそうになると、それを食い止めるのが大変でしたね。歌詞を聴かせたいし、歌を立たせる演奏をするのが難しくて、いろいろ考えました。
RINA 歌や歌詞を聴かせるために楽器がBGMにならないといけない場合があるし、「音がカッコいいでしょ?」だけじゃダメやなって思いました。だから歌を立たせるドラムで、音で歌わなあかんなって考え直させられたというか。
TOMOMI(B,Vo) ほんまに歌を聴かせたい曲なので歌に集中してしまって、歌とベースの割合の調節がすごい難しかったです。
──6月のライブでもひと足先に披露してましたが、この曲がセットリストに入ることでまたライブの流れが変わってきそうですね。
TOMOMI 今まではアッパーな曲が多かったので、ライブの幅も広がると思いますね。
──バラードって、ロックはよくわからないという世代の人にも親しみやすいし、また新しいファン層が開けるかもしれません。
HARUNA そうですね。特に最近は結構上の年代の人からちっちゃい子までライブを観に来てくれて、幅広い年代の人に興味を持ってもらえるようになっていて。女の子のお客さんも増えていて、みんな「SCANDALを観て楽器を始めました」と言ってくれるんですよ。以前から「自分たちはお客さんにとって憧れの人になりたい」って思っていたんですが、ファンレターとかで「憧れています」とか書いてもらうことも増えて、とてもうれしく思っています。もっと憧れられる人に近づけるようにがんばります。
なんでもありなバンドになりたい
──カップリングの「Midnight Television」は劇場用アニメ「ルー=ガルー」の主題歌。みなさんはモーションキャプチャを使って映画に出演したり声優も担当したりしてますが、実際やってみてどうでしたか?
MAMI モーションキャプチャは面白かったですよ。全身タイツを用意されて(笑)、体中にいっぱい丸いの(マーカー)付けて振り付けをやって。実際にそれがアニメになるので、今の技術はすごいんだなって思いました(笑)。
RINA ぶっちゃけ全身タイツで恥ずかしかったですよ! 「うわー、なんやこれー」と思いつつ、ちょっと照れながらやりました(笑)。でも、みんなのクセや細かい動きを見る機会ってスタジオでの鏡越しぐらいしかないので、ライブにもつながるいい勉強になったんじゃないかなと思います。
HARUNA 普通に見てるとなんとも思わなかったけど、モーションキャプチャでただの線だけで見たときに「あっ、確かにいつもこうなってるかも」みたいな動きがはっきりとわかって、すごく面白かったですね。
──そういう経験が今後、いろんな活動につながっていくかもしれませんね。
RINA なんでもありなバンドになりたいんですよね。「そんなこともやっちゃうんや?」って、いい意味で周りからの期待をどんどん裏切り続けたいと思います。
CD収録曲
- EVERYBODY SAY YEAH
- 太陽と君が描くSTORY
- 瞬間センチメンタル
- 放課後1H
- 涙のリグレット
- Hi-Hi-Hi
- 少女M
- GIRLism
- プレイボーイ Part II
- Hello! Hello!
- 会いたい
- さよならMy Friend
初回生産限定盤
- DVD付2枚組
- 三方背BOX仕様
完全生産限定盤
- 超豪華フォトブック付
SCANDAL(すきゃんだる)
2006年8月に大阪のボーカル&ダンススクールで出会ったHARUNA(Vo,G)、MAMI(G,Vo)、TOMOMI(B,Vo)、RINA(Dr,Vo)の4人で結成したガールズバンド。結成直後から大阪城公園でストリートライブを始め、キュートなルックスと力強いバンドサウンドを武器に瞬く間に人気を急上昇させる。2008年3月にはタワーレコード限定のインディーズシングルを3カ月連続でリリース。春から夏にかけてはアメリカ・フランス・香港などでもライブを行い、海外のジャパンカルチャーファンからも注目を集めた。同年10月、シングル「DOLL」でメジャーデビューを果たす。2009年末には「第51回輝く!日本レコード大賞」で新人賞を受賞。ライブツアーやイベント出演も精力的に行い、ファン層を拡大し続けている。