クロネコが語る「君は僕の宇宙」
「摩天楼と臨界点」ホログラムMVについて
前のアルバムに収録されている「放課後てれぽ~と」という曲のMVでVR技術を使ったんですが、そのMVのコンセプトが「もし、あの頃の放課後に今、テレポートできるなら」というもので、放課後の学校で、女子高生たちと過ごしてるような体験ができるMVを作ったんです(笑)。
その延長と言うか「最新の技術を使って懐かしい体験をする」というのをやりたくて、今回は昔の懐かしいレトロゲームをホログラムで観れる、というコンセプトになりました。「ホログラムとゲーム」で真っ先に思いついたのが1995年に発売された任天堂の「バーチャルボーイ」だったんですが、偶然にも今回のMV監督である大橋くんから最初にもらったMVの企画書にも「バーチャルボーイ」の名前が真っ先に書いてあって(笑)。こんなにセンスが合う人もなかなかいないので、あとはもう完全にお任せです。「こんなさよポニのゲームがあったらやりたい!」をビジュアル化してくれたので本当に満足しています。
- さよならポニーテール「君は僕の宇宙」
- 2018年2月14日発売 / T-Palette Records
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初回限定盤 [CD+ホロボックスキット]
3240円 / TPRC-0189 -
通常盤 [CD]
3024円 / TPRC-0190
- 収録曲
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- センチメンタル
- 壁をぶちこわせ!
- ありふれた奇跡
- せかいのむこう
- 遠い日の花火
- 約束、おぼえてる?
- さよなら夏の少年
- 恋はほうきに乗って
- 摩天楼と臨界点
- きみのたからもの
- のに
- 青春ノスタルジア
- メッセージ
- 初回限定盤特典
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ホロボックスキット
- さよならポニーテール
- みぃな、なっちゃん、あゆみんの3人の女の子たちを中心に、謎に包まれた“さよポニワールド”の住人たちで構成されたグループ。これまでに一度もライブを行わず、MyspaceやTwitterといったソーシャルメディア上のみで活動を続けている。2011年4月、自主レーベル「音楽と魔法」から1stアルバム「モミュの木の向こう側」をリリースし、同年10月にはアルバム「魔法のメロディ」でメジャーデビュー。同時に初のマンガ作品「きみのことば」を刊行し、マンガ家としても同時デビューを果たした。正体不明のグループながら、2015年5月にはタワーレコードが運営するアイドルレーベル・T-Palette Recordsに移籍。またグループにはTwitter公式アカウントなどを受け持つ“神さま”が存在していたが、初代ゆりたんから二代目ちぃたんに引き継がれたあと、2016年末には“神さま”不在のシーズン3に突入した。2017年6月にはシーズン3の幕開けを飾るアルバム「夢みる惑星」をリリース。同年11月には配信シングル「遠い日の花火」、12月には7inchアナログ盤「センチメンタル」、2018年1月には8cm CDシングル「青春ノスタルジア」を連続でリリースし、2月に最新アルバム「君は僕の宇宙」を発表した。
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アルバム「君は僕の宇宙」の制作意図、テーマ
さよポニのアルバムで「青春ファンタジア」っていう青春をテーマにした作品があるんですけど、今回のアルバムの根底にあるのは、ああいうキラキラした青春時代に対してのアンサーというか「時間は決して戻らないし、大人になることは避けて通れない」みたいなことをいろんな方法で描いてるアルバムです。
ドナルド・フェイゲンの「The Nightfly」のインナースリーブに「このアルバムの曲は1950年代後半から60年代のはじめ、アメリカ北東部の郊外で育った若者なら誰もが抱いたであろうあのファンタジーを表している」っていうのがあって、そういうモチーフが僕にとっては「80年代後半から90年代の東京郊外」なんです。
例えば、今回のアルバム1曲目「センチメンタル」のイントロはThe Style Councilの「Shout To The Top」のオマージュなんだけど、僕がThe Style Councilのこの曲を知ったのは、当時、友達から「Corneliusの『The Sun Is My Enemy』のイントロの元ネタだよ」というのを聞いたからで、今の自分たちがそういう循環の連鎖を下の世代につなげられたら面白いのかな、っていう気持ちもあるのかも。
そういう意味では、アルバム最後の「メッセージ」っていう曲も、The Beatlesへのオマージュが強いんだけど、1994年にリリースされたOasisの「Whatever」でもあると言うか、つまり「青春の呪縛」ってそういうことなのかなと思っています。
なので、その呪縛から逃れることもできずに今も音楽をやり続けてしまっている、という事実そのものがアルバムのテーマだし、リスナーへのメッセージでもあるのかなと。