澤野弘之×Jean-Ken Johnny(MAN WITH A MISSION)|共鳴し合う2人、ついに叶った最強コラボ

この歌声は確かに惚れる

──もう1曲の表題曲「CRY」では、mizukiさんがフィーチャーされていますね。

澤野 「銀英伝(銀河英雄伝説 Die Neue These)」がテレビシリーズとして再放送されることが決まったので、その主題歌として作ったのが「CRY」ですね。過去に「銀英伝」のオープニングとエンディングの2曲を作ったことがあるんですけど、それはどちらも英詞だったので、じゃあ今回は日本語詞にしてみたいなと思って。ボーカルは、日本語詞の表現のアプローチに対して信頼しているmizukiさんにお願いしました。

Jean-Ken 澤野さんの[nZk]プロジェクトって、圧倒的な歌唱力を持った西川貴教さんから、Yoshのようにバンドで歌ってる人、若手の女性シンガーまで、さまざまな強い個性を持ったボーカリストを迎えていますけど、最終的にはどの曲も澤野さんの世界観になっている。それってやっぱりクリエイターとしての圧倒的な体力があるということだと思うんですよね。だって、西川さんに歌われたら世界観が食われそうなもんじゃないですか(笑)。

澤野 あははは(笑)。食われてるところもあったかもしれないですけど。

Jean-Ken いやいや(笑)。澤野さんの音楽に体力があるから絶対に負けないんですよ。そのうえで、ボーカリストの方の個性もしっかり出ているわけで。僕は不勉強でmizukiさんのことを存じ上げなかったんですけど、曲を聴かせていただいた瞬間、「ああ、この歌声は確かに惚れる」と思いました。とてもいい声をしていますよね。同時に、そういった素晴らしい歌い手を選ぶ澤野さんのアンテナの鋭さもすごいなと思いました。僕も自分で選んだ楽器がギターとボーカルだったので、音楽の世界観を声でどれだけ支配できるか、もしくはどれだけ叙情的にできるかというところはすごく興味がある。なので、声に対してのアンテナはしっかり張り続けていたいなと思います。

──そしてカップリングには、GemieさんとTielleさんのツインボーカルによる「Bios-LaZaRuS」が収録されています。

澤野 この曲はもともと「ギルティクラウン」のメインテーマとしてドイツ語で作ったものだったんですけど、それを今回は英語バージョンにして、サウンドやリズムのアプローチも少し変えてみた感じですね。

Jean-Ken この曲はめちゃくちゃカッコいいです。「ギルティクラウン」を観ていた当時、自分にドンピシャな世界観だなと思って聴いていましたけど、今回の新たなアプローチもまたすごく新鮮で刺激的でした。女性2人のボーカルも最高ですしね。

澤野 こないだJean-Kenさんのラジオに呼んでいただいたとき、お互いにBOOM BOOM SATELLITESのサウンドが好きだ、みたいな話をさせてもらいましたけど、この曲はその影響も出てるかもしれないですね。バンドだけで作るロックサウンドももちろんいいんだけど、そこに打ち込みの要素が融合してくるサウンドもやっぱり好きだという。そういったサウンドに関してはずっと追求している感じがあります。

“澤野”と書いて“神”と読む

──2020年は澤野さんが作家活動15周年、マンウィズがデビュー10周年を迎える節目の年でもあります。それに対しての思いはいかがですか?

Jean-Ken あっという間の10年でしたけど、バンドとして音楽を作るという意味でも、メディアへの露出という意味でも、ものすごくバランスよく活動できたことが幸せだったなと思いますね。音楽的にはいろいろ変化もしてきましたけど、自分たちの芯はロックバンドなので、その根っこの部分は忘れずに、時代の潮流を感じながら、オーセンティックな精神性みたいなものを大事にここからも進んでいきたいと思います。

澤野 僕は劇伴作家として活動をスタートさせましたけど、当初から歌モノを突き詰めたい思いもあったんですよね。それが[nZk]というプロジェクトを始めたことで叶い、いろんな作品やいろんなボーカリストの方と出会うことができた。そういう環境の中で今も音楽を作り続けていられることは本当に幸せなことだなと思います。自分が願っていたJean-Kenさんとのコラボも叶えられたわけですし。これからも自分の好きなサウンドをもっと追求していきたいですね。

Jean-Ken 僕も10年やってきて、今回のようなコラボに対する思いに拍車がかかっているところもあるんです。自分自身の畑で、自分の好きなものを積み上げていくことは重要だけど、いろんな方とコラボレーションするといった外的な刺激の大事さも感じるんですよね。だから、今後はもっとやっていきたいなと思いました。今回のコラボを通じて、なんか欲が出てきちゃったところもあるんですよ(笑)。澤野さんはちょっとアンビエントな曲や、アンニュイなニュアンスの曲も作られるじゃないですか。僕としてはそういった音楽も大好物なので、今度はそっちでもご一緒できたらなという。

澤野 ぜひぜひ。今度はJean-Kenさんをより意識した曲を作ってみたい気持ちもありますし。意識しすぎるとマンウィズさんの音楽に引っ張られすぎて、コラボする意味がなくなっちゃいそうですけど(笑)。「Chaos Drifters」とは違った世界観を一緒に作ってみたいという期待はありますね。

Jean-Ken あとは僕、澤野さんのライブをまだ拝見できていないので、日本以外のアジアでのライブをお忍びで観に行きたいなと思っていますけどね。向こうの人の熱狂っぷりはものすごいという話を聞いているので。たぶん海外の人は“澤野”と書いて“神”って読んでるんじゃないかという(笑)。

澤野 いやいや(笑)。僕のライブはもちろん観に来ていただきたいですし、どこかのタイミングでは一緒にライブできたらいいなと思ったりもしてますけど。

Jean-Ken あー、いいですね。ぜひお願いします。この格好で出て、澤野さんの世界観を壊さないか心配ですけど……。

澤野 いや全然、まったく大丈夫ですよ(笑)。