SawanoHiroyuki[nZk]|[nZk]の本質を浮き彫りにする両A面シングル

[nZk]はやっぱりサウンド重視

──カップリングには「Felidae」という新曲も。

澤野弘之

この曲に関しても「Trollz」と同様に、洋楽からの影響を受けつつ、それを吸収して今の自分がやりたいものとして形にした感じですね。サビにある程度、盛り上がる要素は入れてるんですけど、全体としてはちょっと淡々とした雰囲気のサウンドがカッコよく展開していくということをやってみたくて。そういった要素が今回のシングルの曲にはけっこう出ていると思います。「Tranquility」にも少なからず入っている気もしますし。

──ボーカルはおなじみのGemieさんとTielleさんです。この2人の歌の絡みはやっぱり最高ですよね。ものすごくカッコいい。

ホントにそうですね。以前、海外でやったイベントのとき、GemieさんとTielleさんの2人を派遣して[nZk]のライブをやってもらったことがあるんですよ。

──澤野さんは出ず?

そうですね。そのときのライブでは[nZk]の曲以外に、サントラの曲を2人にカバーしてもらったんですけど、それがものすごくカッコよかったんですよ。この2人だからこそのサウンドになるなと強く感じたというか。だから今回は改めて彼女たちをフィーチャーした曲を作りたいと思ったんですよね。Gemieさんはハイトーンで抜けのいい声、一方のTielleさんはハスキーさという独特のアプローチを持っている2人なので、1曲の中でそれぞれの声の存在感をしっかり感じることができるし、なおかつそれが混ざったときにはまたものすごくいい相乗効果になるという。おかげでカッコいい仕上がりになったと思いますね。

──そしてシングルにはもう1曲、「Binary Star」のリアレンジバージョンも収録されています。タイトルには「moll(モール)」という言葉が掲げられていますね。

ポップスだと曲調の明るい / 暗いは、メジャー / マイナーで表現しますけど、クラシックだとドゥアー、モールと言うんですよ。なので「Binary Star」をマイナー調に、暗くリアレンジしたということですね。

──かなり原曲とは聴き心地が違いますよね。

澤野弘之

そうですね。コード進行もけっこう変えちゃったので、より暗く感じるというか。もともとの「Binary Star」はサビで明るさ、希望を感じさせる曲でしたけど、こっちはサウンドだけ聴いてると悲しい別れの曲にも聞こえてくるというか。歌詞の内容は変わってないですけど、それくらい違った聞こえ方にすることを意識はしてましたね。

──この曲も含め、本作はすべてが英詞の曲になりましたね。サウンド的にも洋楽からの影響が如実に感じられますし、実に[nZk]らしい作品だなと。

シングル1枚として全部が英詞の曲っていうのは初めてですね。日本の方は歌詞を大事にして聴くから日本語のほうが伝わりやすいっていうのはわかってはいるんですけど、[nZk]としてはやっぱりサウンド重視で行こうとちょっと開き直ったところがあったのかもしれない(笑)。「僕が今やりたいのはこれだから」という。日本で活動していますけど、SpotifyやApple Musicなどでは海外の方に聴いていただける機会もありますからね。そういった[nZk]の方向性が、日本以外の方にも届くきっかけになったらありがたいなっていう思いはありますしね。

今までとはちょっと違った[nZk]をいい形で

──先日発表になりましたが、11月17日にはBillboard Live OSAKAで、11月30日と12月1日にはBillboard Live TOKYOでライブが開催されることが決定しましたね。

そうなんですよ。ちょっとまだ時期としては早めですけど、[nZk]としての新たな試みとしてクリスマス的な内容にしたいとも思っているんです。普段のライブだと同期を使ってCDに忠実なサウンドをお聴かせしているんですけど、今回は同期を使わずに生の演奏だけで、その場で鳴っている音だけで完結するつもりです。そういうライブをすること自体がけっこうひさびさだから、自分自身もすごく楽しみですね。

──編成としてはストリングスが加わったりもするんですかね?

いや、基本は普段から一緒にやっているメンバーを集めたシンプルなバンド編成になると思います。ただ、ギタリストがチェロを弾けたりもするのでそれを盛り込んでみたり、ベースをウッドベースにしたり、そういうことはやってみてもいいかなとは思ってますけど。

──参加するボーカリストも含め、どんなライブになるのか楽しみです。

そうですね。Yosh(Survive Said The Prophet)さんやLacoさん、mizuki(UNIDOTS)さん、Tielleさんに参加してもらえることは決まってます。Billboad Liveという初めての場所で、今までとはちょっと違った[nZk]をいい形で表現できればいいなと思います。

ライブ情報

SawanoHiroyuki Billboard Live 2019
澤野弘之