SawanoHiroyuki[nZk]|多彩なアーティストとのコラボが切り拓く[nZk]の新たな扉

09.Unti-Lby SawanoHiroyuki[nZk]:ASCA

──9曲目の「Unti-L」には、レーベルメイトでもあるASCAさんが参加しています。

澤野弘之

この曲は「Binary Star」と同時期に作曲していた曲で。ASCAさんはいろんな歌のアプローチをされる方だと思ったのでお願いしました。サビではけっこう強めに歌っていただいたんですけど、Aメロなんかでは彼女自身の持つ世界観を出してもらったところはあって。その結果、サビとの温度差がいい色合いとして出たと思うんですよ。

──もともとの持ち味と新鮮な表情が1曲の中で同居しているわけですね。

そうですね。ただ、レコーディングが終わったあとに、もしかしたらこの曲のAメロの感じでサビを歌ってもらうのもありだったのかもなと思ったんですよ。実際にご一緒してみて、ホントにいろんな表現ができる方だと感じたので、強さではない彼女の歌声の魅力、その見せ方を追求してみたいなと思ったりもして。

──じゃ、またコラボすることがあるかもしれないですね。

彼女に嫌がられなければ(笑)。いやホント、可能性をすごく感じさせてくれるボーカリストだと思います。

10.Cageby SawanoHiroyuki[nZk]:Tielle

──10曲目はおなじみTielleさんが歌う「Cage」。これもシングル曲です。

この曲はアルバム「2V-ALK」直後に作った曲なので、ある意味サウンドも前作の流れを汲んでいるところもあって。でも自分的には「2V-ALK」と「R∃/MEMBER」の架け橋というか、2枚のアルバムをつなげてくれる意味合いもあると思っているんですよ。曲自体、作りたいものがしっかり作れたという思いがあって好きなので、今回改めて収録できるのはすごくうれしいんです。

11.REMEMBER

──で、Tielleさんの歌声が11曲目の「REMEMBER」へのいい流れを作ってくれているところもありますよね。アルバムのラストナンバーは、これまで[nZk]に参加されてきたmizuki(UNIDOTS)さん、Yoshさん、Gemieさん、Tielleさん、naNamiさんが一堂に会するというプロジェクトのアンセムとも言える仕上がりです。

今回のアルバムはアーティストの方々とのコラボがメインになるので、これまでの[nZk]メンバーに1曲ずつお願いすることができなかったんですよ。だから、以前から「いつかできたらいいですよね」と話していた、メンバー全員が参加してみんなで歌える曲をやるのがいいんじゃないかなと。むしろ、それをやるタイミングはここしかないと思って(笑)。アルバム用の曲作りに関しては、この曲から取りかかった感じでした。

──気心の知れたメンバーとのレコーディングはいかがでしたか?

澤野弘之

ほかの曲に関しては今回、そうそうたる方々との作業だったので、緊張したり、いつも以上にエネルギーを使ったりする部分が正直あったんですよ。でも、この曲のときにはもう安心感しかないというか(笑)。家に帰ってきたかのようにホッとする自分がいて。そう思えるのも2枚のアルバムを作り、ライブを通して一緒にいろんな経験をしてきたからこそだなって改めて思いました。すごくありがたいなって。レコーディング自体もスムーズに進んでいきましたね。

──澤野さんにとってかけがえのない仲間なんですね。

そうですね。初めての方々とやる楽しさ、刺激はもちろん有意義なものなんです。でも、ずっと一緒にやってきたメンバーたちと曲作りをすると、そこにもまた新たな発見が常にあるんですよ。それは長く一緒にやってきたからこそ感じられるものだったりもして。そういう部分がすごく楽しいし、自分にとっては大事なものだなって思うんです。

──歌詞からは[nZk]としての未来への新たな決意も感じました。

今の自分が忘れずに覚えておきたいことはもちろん、子供の頃に大事にしていたことも忘れないで、未来に向けて進んでいきたいという気持ちですね。それをタイトルの“REMEMBER”という言葉に絡めて書きました。

──その思いはアルバムタイトルにもつながっているわけですよね。

そうそう。「REMEMBER」って言葉の響きがいいなという単純な思いもあるし、意味合いとして「覚えておく」「忘れない」というのは、僕が音楽を作るうえでも大事にしていることなんです。さらに、今回はいつもとはちょっと違ったメンバーともやったということで、「RE」「MEMBER」というふうに2つのワードにも読めるようにもして。

──本作はプロジェクトとしての広がりを感じさせるアルバムですけど、最後にしっかりこれまでの絆を再確認しているところにグッと来ました。

自分の曲に対してこんなこと言うのもアレですけど、最後の「REMEMBER」には少し感極まる感じもあって。全体の並びもそうだし、すべてにおいて思い入れの深い作品になったなと思いますね。

澤野弘之

──本作での多彩なコラボ経験は今後の澤野さんの活動にも大きな影響を与えそうですね。

今回のアルバムへの手応えは僕1人の力ではなく、さまざまなアーティストの方たちが参加してくれたからこそだと思うんです。でも、そこで味わった刺激や、自分の楽曲の新たな見え方みたいな部分はきっと今後に生きてくるだろうなって。今回だけが特別企画ということではなく、チャンスがあるならば今回のようなことにまたトライしたい気持ちもありますし。そういったコラボを経験することで、今までのメンバーともまたちょっと違った気持ちで向き合えるような気がします。

常に「これが最後」みたいな気持ち

──本作のリリース日である3月6日と、翌7日には豊洲PITでのライブも開催されます。

タイミング的には誰もアルバムを聴き込めていない状態で来る、みたいな感じですけどね(笑)。だから、試聴会感覚で遊びに来てもらえたらいいかなと思うんです。ライブを観たことが、「あ、アルバム買ってみようかな」と思ってもらえるきっかけになればうれしいですしね。

──6日には西川貴教さん、7日にはLiSAさんの参加がアナウンスされています。

そこは今までの[nZk]ライブにはなかった部分なので、どんな雰囲気になるのかなという楽しみはあります。もちろんこれまでのメンバーも集まってくれるので、いい意味でライブが広がりを持ってくれたらなという期待もあります。みんなでシンガロングもしたいですね。

──[nZk]名義でのライブは今回で3回目ですよね。スタイルが確立してきたところもあるのではないですか?

そうですね。徐々にそれは感じるようになってきました。同時に、[nZk]プロジェクトがスタートしてから今年で5年なので、ライブでもアルバムでも新しいトライをするタイミングでもあるのかなという気もしていて。

──今回のアルバムはその大きな一歩になりましたよね。

そうだと思います。これまで同様、今やりたいことをしっかりぶつけて制作することができましたし。前も言いましたけど、「これが出たから4枚目のアルバムも普通に出せるでしょ」なんてことは一切思ってないんですよ。別に閉店セールみたいなことを謳いたいわけではないですけど(笑)、常に「これが最後かもしれない」みたいな気持ちで向き合っていくのが自分にとってはいいことなんだろうなって。そういうエネルギーの使い方のほうが。

──余力を残さないということですよね。

はい。そういうほうが合ってる気がします。ここからも4枚目が出せるようにがんばりたいですね。

澤野弘之

ライブ情報

SawanoHiroyuki[nZk] LIVE "R∃/MEMBER"
  • 2019年3月6日(水) 東京都 チームスマイル・豊洲PIT
    <出演者>SawanoHiroyuki[nZk]
    ゲストボーカル:西川貴教 / Aimer / mizuki / Yosh / Gemie / Tielle / naNami
  • 2019年3月7日(木) 東京都 チームスマイル・豊洲PIT
    <出演者> SawanoHiroyuki[nZk]
    ゲストボーカル:LiSA / Aimer / mizuki / Yosh / Gemie / Tielle / naNami
SawanoHiroyuki[nZk]「R∃/MEMBER」
2019年3月6日発売 / SACRA MUSIC
SawanoHiroyuki[nZk]「R∃/MEMBER」初回限定盤

初回限定盤 [CD+Blu-ray]
4752円 / VVCL-1409~10

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SawanoHiroyuki[nZk]「R∃/MEMBER」通常盤

通常盤 [CD]
3456円 / VVCL-1411

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CD収録曲
  1. Glory-into the RM- by SawanoHiroyuki[nZk]:SUGIZO
  2. EVERCHiLD by SawanoHiroyuki[nZk]:Akihito Okano(ポルノグラフィティ)
  3. never gonna change by SawanoHiroyuki[nZk]:スキマスイッチ
  4. narrative by SawanoHiroyuki[nZk]:LiSA
  5. i-mage by SawanoHiroyuki[nZk]:Aimer
  6. NOISEofRAIN by SawanoHiroyuki[nZk]:Takanori Nishikawa
  7. Binary Star by SawanoHiroyuki[nZk]:Uru
  8. ME & CREED <nZkv> by SawanoHiroyuki[nZk]:さユり
  9. Unti-L by SawanoHiroyuki[nZk]:ASCA
  10. Cage by SawanoHiroyuki[nZk]:Tielle
  11. REMEMBER
初回限定盤Blu-ray収録内容
  • D + T / BLOOD oF thE DRAGON
  • The Brave
  • The Reluctant Heroes
  • friends
  • BRAVE THE OCEAN
  • Before my body is dry
  • Battle Scars
  • Grenzlinie / Re∀L
  • Tide Over / DOA
  • Light your heart up
  • Roller Coaster
  • Aesthetic <【emU】ver.>
  • RE:I AM
  • Next 2 U
  • ninelie
  • Cage
  • Amazing Trees
  • A/Z
  • aLIEz
  • Next of Kin
  • mio MARE <2v-alk_v>
  • sh0ut
  • Barricades
  • pf-[nZk]005
澤野弘之(サワノヒロユキ)
澤野弘之
1980年生まれ、東京都出身の作曲家、編曲家。「医龍」シリーズやNHK連続テレビ小説「まれ」、「アルドノア・ゼロ」「進撃の巨人」「キルラキル」「機動戦士ガンダムUC」シリーズなど、ドラマ、アニメ、映画など映像作品のサウンドトラックを中心に、楽曲提供や編曲をするなど精力的に音楽活動を展開している。2014年春からはボーカル楽曲に重点を置いたプロジェクト、SawanoHiroyuki[nZk]を始動。その第1弾作品として「機動戦士ガンダムUC」シリーズの楽曲も共作したAimerと、SawanoHiroyuki[nZk]:Aimer名義のアルバム「UnChild」を発表した。2015年9月にSawanoHiroyuki[nZk]の1stアルバム「o1」と、澤野名義のサウンドトラックベスト「BEST OF SOUNDTRACK【emU】」を発表した。2017年9月にSawanoHiroyuki[nZk]として2作目のアルバム「2V-ALK」、2018年4月にテレビアニメ「銀河英雄伝説 Die Neue These」のオープニングテーマ「Binary Star」と「実物大ユニコーンガンダム立像」のテーマソング「Cage」を収めたシングル、11月にLiSAと西川貴教をゲストボーカルに迎えた両A面シングル「narrative / NOISEofRAIN」を発表した。2019年3月に岡野昭仁(ポルノグラフィティ)やスキマスイッチといったさまざまなアーティストを迎えたSawanoHiroyuki[nZk]の3rdアルバム「R∃/MEMBER」をリリース。