ツインボーカルで面白さが2倍に
──今回、ツインボーカルの楽曲に取り組んでみていかがでしたか?
いやあ、面白かったですよ。同じサビであっても、例えばアクセントの持っていき方がそれぞれ違っていたりするんですよ。僕自身の中にも「ここでアクセントを入れてもらいたい」っていうイメージがあるんですけど、2人共自分が予想していなかったところにそれぞれ入れてくることも多くて。
──それを生かしていく感じですか?
そうですね。「あ、ここに入れるのも面白いな」って気付かされると言うか。これまでの楽曲でもそういうことは多々あったんですけど、今回はツインボーカルということでその面白さが2倍になった感じがしましたね。いつも以上に、ボーカリストの感覚を取り入れながらレコーディングできたような気がします。2人共「女性ボーカル2人で歌えて楽しかったです」みたいな感想をおっしゃっていたようなので、よかったなとは思います。
──ボーカリストとして刺激的な経験にもなったでしょうし。
そうなんですよね。普段、2人で仲よくしてる姿をよく見てますけど、一緒に歌うとなるとね、戦うとまではいかないにせよ、一方の声に埋もれることなく自分なりの声をしっかり残したいという気持ちになるものだと思うんです。そういう勢いやエネルギーが出たからこそ、今回の2曲はより熱い仕上がりになったんじゃないかなって。歌う順番なんかにしても、あとで歌う人は先に歌った人のアプローチを見つつ、それを汲みながらも自分なりのものをぶつけてきてたように感じましたし。これはまあ僕が勝手に感じたことではあるんですけど、そんなところも今回はすごく面白かったんですよね。
──「gravityWall」「sh0ut」共にそれぞれの世界観に合わせたツインボーカルの妙が味わえる仕上がりだと思います。
ちなみに「sh0ut」のサビのメロディは、劇伴のサントラに収録されている「AL:Lu」のメロディとリンクしてるんですよ。僕の中の順番としては、まず主題歌として「sh0ut」を作ったあとに、それを劇伴曲にした流れではあるんですけど、アニメを観ている方にとっては、劇中で使われていたインスト曲が第2期の主題歌になったっていう印象になると思うので、そのあたりも楽しんでもらえたらなと思います。
──そういうことができるのも劇伴曲と歌モノを同じ感覚で作っているという澤野さんのスタンスならではですよね。
ある意味そうかもしれないですね、うん。
もう1つの「Re:CREATORS」サントラ
──そして、シングルにはもう1曲。[nZk]ではおなじみのボーカリスト、mizukiさんを迎えた「oldToday」というナンバーも。先ほど歌詞の話をお聞きしましたけど、この曲の歌詞はものすごくリアルで、ストレートな内容になっていて。[nZk]としてはかなり新機軸の表現をされているなと思いましたが。
それ、皆さんに言われますね(笑)。これは別に自分の心境に変化があったとか、路線変更とかそういうわけではなくて、この曲がアマチュア時代にストックとして作っていたものだからなんです。当時はこんな感じのストレートな詞を書いてたんですよね(笑)。今回収録するにあたって多少の手直しはしてますけど、だいたいこのまんまな感じでした。
──上京するときの心境が描かれた歌詞ですよね。
故郷から離れる子供の気持ちを……勝手にイメージして書いたんですよ。僕自身はずっと実家に住んでましたから、故郷から離れるも何もないって言う(笑)。そういう意味では、自分が体験していないことを詞にした唯一の曲かもしれないです。とは言え、自分が子供だった頃の親父の年齢に近くなってきていたりもするので、そこで感じるいろんな思いみたいなものを散りばめてはいるんですけどね。
──それを今回、CDに収録しようと思ったのはどうしてなんでしょう?
実は、この曲のサビのメロディを「Re:CREATORS」の劇伴曲で使ってるんです。なので、せっかくだから[nZk]としてもとの曲に忠実な歌バージョンとしても収録しときたいなと思ったんですよね。カップリングとは言え、「Re:CREATORS」にまったく関係ない曲を入れるのはどうかなと思ったので。
──郷愁感のあるサウンドにmizukiさんの歌声がマッチしていますよね。グッと心に染みてきます。
僕は日本語詞に乗っかるmizukiさんの声がすごく好きなんですよ。なので、全編日本語詞のこの曲では彼女にボーカルをお願いしました。レコーディングのときにもディレクションはほとんどしませんでした。mizukiさんには「私のときはだいぶ適当になりましたね」って言われましたけど(笑)。「いやいやそうじゃなくって、パッと歌ってくれたのが本当によすぎるから」っていう。結果、2、3テイクしか録らなかったと思います。
──今回のシングルは収録される3曲共アニメ「Re:CREATORS」にしっかり寄り添ったシングルになりましたね。
はい。オリジナルサウンドトラックはすでにリリースされていますけど、このシングルもまた、もう1つの「Re:CREATORS」のサントラ的な意味合いで楽しんでいただけたらうれしいですね。
- SawanoHiroyuki[nZk]「gravityWall / sh0ut」
- 2017年6月28日発売 / SACRA MUSIC
-
初回限定盤 [CD+DVD]
1620円 / VVCL-1030~1 -
通常盤 [CD]
1350円 / VVCL-1032 -
期間生産限定盤 [CD+DVD]
1620円 / VVCL-1033~4
- CD収録曲
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- gravityWall
- sh0ut
- oldToday
- gravityWall(TV size)
- gravityWall(instrumental)
- sh0ut(instrumental)
- 初回限定盤DVD収録内容
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- gravityWall
- 期間生産限定盤DVD収録内容
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- TVアニメ「Re:CREATORS」ノンクレジットオープニング映像
- 澤野弘之「Re:CREATORS Original Soundtrack」
- 2017年6月14日発売 / アニプレックス
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[2CD]
3780円 / SVWC-70267~8
- DISC 1収録曲
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- God of ink
- rE:CRe@T0RS
- Re:3$penS
- 4GL4yu8RE:E
- Hey39-udn
- RE:3343
- HERE I AM
- 2109-a8Ru件
- AL:Lu
- 高度8b6n
- 8sawOGRE6
- Layers
- re:pianohi1tars
- ∞GodMachine
- ABYSSwaltz
- Pf:Creators
- 音:9RE:eita-zu
- BRAVE THE OCEAN
- DISC 2収録曲
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- E:verydaytor1
- Pf:Creators II
- E:verydaytor2
- Pf:Creators III
- SawElephant4ゅ
- Pf:Creators IV
- E:verydaytor3
- Pf:Creators Ⅴ
- God々-ground2SAY310
- Pf:Creators VI
- E:verydaytor4
- ○DA-world2HEN火90
- God of ink(RE:Instrumental)
- HERE I AM(RE:Instrumental)
- Layers(RE:Instrumental)
- BRAVE THE OCEAN(RE:Instrumental)
- 澤野弘之 / KOHTA YAMAMOTO
「『CRISIS 公安機動捜査隊特捜班』ORIGINAL SOUNDTRACK」 - 2017年5月24日発売 / SME Records
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[CD]
2700円 / SECL-2163
- 収録曲
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- 9a14s(澤野弘之)
- fire9d(澤野弘之)
- sisirc(澤野弘之)
- The Brave(澤野弘之)
- public-AN(澤野弘之)
- machine-motion-investigation-squad(澤野弘之)
- 10/9sawHALF(澤野弘之)
- undone(KOHTA YAMAMOTO)
- plastic pulse(KOHTA YAMAMOTO)
- KING KAJI(KOHTA YAMAMOTO)
- hypnotize(KOHTA YAMAMOTO)
- Trust you(KOHTA YAMAMOTO)
- KATSH(KOHTA YAMAMOTO)
- Ignore the Nation... Awake My Identity(KOHTA YAMAMOTO)
- into the deep(KOHTA YAMAMOTO)
- thinking out(KOHTA YAMAMOTO)
- Pessimism(KOHTA YAMAMOTO)
- H.I.ARMY(KOHTA YAMAMOTO)
- Trust you-pf re-(KOHTA YAMAMOTO)
- 澤野弘之(サワノヒロユキ)
- 1980年生まれ、東京都出身の作曲家、編曲家。「医龍」シリーズやNHK連続テレビ小説「まれ」、「アルドノア・ゼロ」「進撃の巨人」「キルラキル」「機動戦士ガンダムUC」シリーズなど、ドラマ、アニメ、映画など映像作品のサウンドトラックを中心に、楽曲提供や編曲をするなど精力的に音楽活動を展開している。2014年春からはボーカル楽曲に重点を置いたプロジェクト、SawanoHiroyuki[nZk]を始動。その第1弾作品として「機動戦士ガンダムUC」シリーズの楽曲も共作したAimerと、SawanoHiroyuki[nZk]:Aimer名義のアルバム「UnChild」を発表した。2015年2月にはSawanoHiroyuki[nZk]の新作「&Z」と、自身の手がけたアニメーションのサウンドトラックの中からボーカル曲のみをセレクトしたベストアルバム「BEST OF VOCAL WORKS [nZk]」をリリースしている。同年9月にSawanoHiroyuki[nZk]の1stアルバム「o1」と、澤野名義のサウンドトラックベスト「BEST OF SOUNDTRACK【emU】」を発表した。2016年5月にアニメ「甲鉄城のカバネリ」のサウンドトラックを、6月にはSawanoHiroyuki[nZk]名義でアニメ「機動戦士ガンダムユニコーン RE:0096」のオープニングテーマおよびエンディングテーマを収録したシングル「Into the Sky EP」をリリース。2017年6月には劇伴を手がけたアニメ「Re:CREATORS」のサウンドトラックと、同アニメの第1期および第2期のオープニングテーマを収録したシングル「gravityWall / sh0ut」を発表する。