音楽ナタリー Power Push - 澤野弘之
[nZk]プロジェクトの1年と劇伴作家の10年
澤野弘之サントラに見る「アニメファン」の多様性
──そのファン層の変化を実感することってありますか? もともとドラマや映画の劇伴からキャリアをスタートさせていて、ここ数年はアニメの劇伴も手がけていらっしゃるわけですけど。
ドラマや映画の劇伴だけ書いていた頃にはライブを1回しかやったことがないので、自分の音楽のファンという存在を実感することがそこまでなかったんですよ。ただそれだけにファン層の違いを感じられたというか。もちろんどちらのファンが「熱心だ」とかって話ではないんですけど、映像作品を観ていて劇伴作家の名前にまで注目してネットなんかで話題にしてくれたのはアニメファンのほうがより多かった気がするんですよね。そのアニメファンの声のおかげで、その後ボーカルプロジェクトの名前にもなる[nZk]っていうライブシリーズもできるようになったし、逆にドラマや映画の劇伴を担当するときに皆さんに自分の名前を気にしてもらえるようになったっていう面はありますね。
──今回のサントラベストにも入っているNHK連続テレビ小説「まれ」の楽曲をきっかけに澤野さんを知ったっていう方は?
まだお会いしたことはないですね。というか「まれ」を観ていて僕の名前に注目する人っているんですかね?
──「花子とアン」のサントラを手がけた梶浦由記さんは、番組放送以降ライブに年配の方もいらっしゃるようになったっておっしゃってました。
じゃあ、知ってもらえるといいなあ(笑)。むしろ自分としては、そのとき放映されているアニメ作品によってファン層の変化を実感することのほうが多いんですけどね。
──あっ、そうか。「青の祓魔師」だったら女性ファンが多いだろうし……。
「進撃の巨人」も、もちろん男性も観ていたけど、女性ファンの多い作品ですしね。
──その一方で「ガンダムUC」であればやっぱり男性ファン、それもどっちかっていうと大人のアニメファンが多いんだろうし。
だからひと口に「アニメファン」って言っても、いろんな方に聴いてもらえている印象はありますね。
──9月12日と13日にはそういう幅広いファンの方が集うライブ(参照:澤野弘之ライブ「[nZk]003」2DAYS開催、CD購入者招待企画も)があります。
どういうライブになるんだろう?
──いや、もうさすがにセットリストも演出も決まってますよね?(笑)
まあそうなんですけどね(笑)。Zepp Tokyoっていうオールスタンディングの会場で、しかもAimerさんであったり、mizukiさんであったり、Gemieさんであったり、いろんなボーカリストさんが出てくるライブなので、基本的には盛り上がる曲が中心。さっきの「みんなに楽しんでもらいたい」って話と同じで、そういう曲でみんなで楽しめたらいいな、とは思っています。去年のライブもそういう構成、演出でやったんですけど、皆さんから好感触をいただけたので。その去年のライブに来てくれた方もいらっしゃるでしょうし、今年初めて来る方もいらっしゃるでしょうから、去年とまったく同じことを繰り返したりはしないんですけど、ちゃんと定番曲もありつつ、でも新規性もある、どちらの方にも楽しんでいただけるライブにしたいと思っています。
- SawanoHiroyuki[nZk] 1stアルバム「o1」2015年9月9日発売 / SME Records
- 初回限定盤 [CD+DVD] 3799円 / SECL-1760~1
- 通常盤 [CD] 3200円 / SECL-1762
CD収録曲
- [nZk]o1
- Pretenders / mica & Gemie
- X.U. / Gemie
- A/Z / mizuki
- scaPEGoat / Yosh
- oI / mizuki
- Song of ..<AM> / Aimer
- Saving Us / Gemie
- aLIEz / mizuki
- Rise Above / Yosh
- Summer Tears / mica
- &Z / mizuki
- s-AVE / Aimer
- out01nzk
初回限定盤DVD収録内容
- A/Z(MUSIC VIDEO)
- &Z(MUSIC VIDEO)
- X.U. (MUSIC VIDEO / short ver.)
- scaPEGoat(MUSIC VIDEO)
- s-AVE(MUSIC VIDEO)
- βios ~ Before my body is dry(from STUDIO LIVE [nZk]002.5)
- BRE@TH//LESS(from STUDIO LIVE [nZk]002.5)
- &Z(from STUDIO LIVE [nZk]002.5)
- Keep on keeping on(from STUDIO LIVE [nZk]002.5)
- 澤野弘之 ベストアルバム「BEST OF SOUNDTRACK【emU】」2015年9月9日発売 / SME Records
- 初回限定盤 [CD3枚組]3799円 / SECL-1755~7
- 通常盤 [CD2枚組]3600円 / SECL-1758~9
DISC 1収録曲
- BLUE DRAGON <'07 Ver.>
- 81DIVER
- LiVE/EViL
- from sunset to sunrise
- MARKS
- 80$$
- PRISONER
- Climb to the Top
- Tang
- α≠a
- Back to the Starting Point
- BLOOD oF thE DRAGON
- musica
- motherhood ~me & my mom~<Vocal ver.>
- tragedy
- Grey to Blue
- FUNK PUNKY MONKEY
- HONEST
- DRAGON RISES
DISC 2収録曲
- MAIN THEME
- BLAZE [ZERO-TWO Ver.]
- at'aek ON taitn
- fiore
- U & Cloud
- Ω
- ON YOUR MARK
- Perfect Time
- i-AM
- 鬼龍G@キLL
- Big Break
- zai
- This is a Fight to Change the World
- 1st-Mov. : S
- BLUE
- BRE@TH//LESS
- UNICORN
- Missing Piece
DISC 3(初回限定盤付属ボーナスディスク)収録曲
- Aesthetic<【emU】ver.>
- PF-【emU】1
- PF-【emU】2
- 3594εMT
- ThreeFiveNineFourε
澤野弘之(サワノヒロユキ)
1980年生まれ、東京都出身の作曲家、編曲家。「医龍」シリーズや、「アルドノアゼロ」「進撃の巨人」「キルラキル」「機動戦士ガンダムUC」シリーズなど、ドラマ、アニメ、映画など映像作品のサウンドトラックを中心に、そのほか、アーティストへの楽曲提供、編曲を手がけるなど、精力的に音楽活動を展開している。2014年春からはボーカル楽曲に重点を置いた新プロジェクト、SawanoHiroyuki[nZk]を始動。その第1弾作品として、「機動戦士ガンダムUC」シリーズの楽曲も共作したAimerとの、SawanoHiroyuki[nZk]:Aimer名義のアルバム「UnChild」を発表し、オリコン週間アルバムランキングトップ10入りを果たす。また同年夏にはイツエの瑞葵(Vo)がmizuki名義で歌うSawanoHiroyuki[nZk]名義のシングル「A/Z | aLIEz」を、2015年2月には同じくmizukiを迎えたSawanoHiroyuki[nZk]の新作「&Z」と、自身の手がけたアニメーションのサウンドトラックの中からボーカル曲のみをセレクトしたベストアルバム「BEST OF VOCAL WORKS [nZk]」をリリースしている。さらに春には、NHK連続テレビ小説「まれ」やWiiU用ゲーム「XenobladeX」のサウンドトラック、テレビアニメ「終わりのセラフ」の音楽プロデュースも担当。また「終わりのセラフ」のオープニングテーマとエンディングテーマをパッケージしたシングル「X.U. | scaPEGoat」と「XenobladeX」を5月にリリースした。そして9月、SawanoHiroyuki[nZk]の1stアルバム「o1」と、澤野名義のサウンドトラックベスト「BEST OF SOUNDTRACK【emU】」を発表した。