背中を押してくれた歌詞

──ここまで曲順を無視して収録曲についてお聞きしてきましたが、アルバムとしての流れもいいですよね。例えば中盤、6曲目「空へ…」と、先ほど触れた7曲目「こころはタマゴ」は心が安らぐゾーンとでも言いますか。

束の間の休息ですね（笑）。私が歌うアニソンはアップテンポで激しい曲が多いんですよね。なので温かみのあるスローテンポな曲に憧れがあったのと、3拍子が大好きなので、この「空へ…」を選びました。というか、私は「世界名作劇場」（「ロミオの青い空」は同シリーズの第21作）の大ファンで、「『世界名作劇場』の曲の中から何曲プレゼンしようか？」くらいの勢いだったんですよ。中でも「空へ…」は本当にメロディラインやサビまでの流れが美しくてライブでもカバーしていましたし、リクエストも多かったので、満を持してという感じもあります。

──バックの演奏も生楽器で、体温を感じるアレンジになっていますね。

郷愁を感じていただけるように。正直、原曲の笠原弘子さんの透明感のある歌声がとても印象的なので、私らしく歌うのは難しかったんですけど、その生楽器の演奏に助けられた部分もありました。

──あと、特ソン枠として「ここタマ」と共に「Hands」が選ばれています。

「Hands」は2018年から2019年までの私を支えてくれた曲で。特に「決して明日を諦めない」という歌詞にものすごく背中を押されたし、救われました。その頃の私は「どうせ私はこの程度のことしかできないんだ」みたいに考えていて、簡単に言えば腐っていたというか（笑）。でも諦めなければ明日は必ず来ると、この曲に気付かせてもらったことで気持ちを切り替えられたんです。例えば8年ぶりに「アニサマ（Animelo Summer Live）」に出られたり……あと必ずしもその流れというわけではないのですが、私も「ウルトラマンタイガ」の主題歌を歌わせていただきまして。

──エンディングテーマの「ヒトツボシ」ですね（参照：「ウルトラマンタイガ」テーマ曲を寺島拓篤、佐咲紗花が担当）。

はい。これにもすごく不思議なご縁を感じていて。私が所属するランティスはウルトラシリーズの製作にこれまで関わっていなかったので、まさか自分が歌えるとは思ってなかったんです。なのですごく嬉しかったですし、驚きました。

喉の寿命が尽きるまで

──インタビュー冒頭に「SAYAKAVER.2」は10周年イヤーの皮切りというお話をされましたが、どんな1年にしたいですか？

まず2月8日から毎月アコースティックライブを開催するんですね。これはピアノ伴奏だけで、生歌をダイレクトにお届けするというスタイルで。そうやって毎月ライブしながら1年を過ごせるという貴重な機会をいただいたからには、その中で私もレベルアップしたいというか、しなきゃいけないし、レベルアップしていく姿を皆さんにお見せしたいです。

──7月には「SAYAKAVER.2」の発売記念ライブも予定されています。

リリースから少し間が空いちゃうんですけど、合いの手がある曲も多いので、予習期間だと思ってアルバムを聴き込んでいただけるとうれしいです。あと私のライブが12曲で終わることはないので、1枚目の「SAYAKAVER.」からも何曲か歌う……かも？

──楽しみですね。10周年のその先は見えています？

当面の私の目標は、還暦ライブをすることなんです。水木一郎さんの還暦ライブに感銘を受けてからそう思うようになって、折に触れて「それだけは必ずみんなで一緒に叶えよう」と言っていて。ファンの方からも「さや姉の還暦ライブまで健康に気を付けてがんばります」「スタンディングでも大丈夫なように今から足腰を鍛えておきます」といったメッセージをいただくんです。だからその頃はホールライブができていることが望ましいんですけど（笑）。

──しんどくなったら座れるように。

そうそう。で、その還暦ライブのあとも、古希も喜寿も傘寿も米寿も卒寿も白寿も紀寿も、喉の寿命が尽きるまでライブをしたいし、生涯現役でいたい（笑）。やっぱり水木一郎さんや堀江美都子さん、影山ヒロノブさん、ささきいさおさんのようなレジェンドの背中を追いかける自分でいたいし、大先輩たちが切り開いてきたアニソンシーンというものを引き続き盛り上げていける存在でいたいんですよね。

ライブ情報

佐咲紗花 ACOUSTIC LIVE passege

～February～
2020年2月8日（土）東京都 STAR PINE'S CAFE
～March～
2020年3月8日（日）東京都 STAR PINE'S CAFE
～April～
2020年4月12日（日）東京都 STAR PINE'S CAFE
～May～
2020年5月4日（月・祝）東京都 STAR PINE'S CAFE
～June～
2020年6月14日（日）東京都 STAR PINE'S CAFE

SAYAKAVER. LIVE 02

2020年7月18日（土）東京都 UNIT

佐咲紗花「SAYAKAVER.2」: 2020年1月29日発売 / Lantis; [CD] 税込3300円
LACA-15813

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収録曲

AMAZING BREAK（「テラフォーマーズ」より）［作詞：松山晃太、堀江晶太 / 作曲：堀江晶太 / 編曲：山本恭平（ArteRefact）］
真赤な誓い（「武装錬金」より）［作詞：福山恭子 / 作曲：福山芳樹 / 編曲：鈴木マサキ］
Get Over（「ヒカルの碁」より）［作詞：松室麻衣 / 作曲：BOUNCEBACK / 編曲：CMJK］
ウィッチ☆アクティビティ（「ウィッチクラフトワークス」より）［作詞・作曲・編曲：TECHNOBOYS PULCRAFT GREEN-FUND］
ダンバインとぶ（「聖戦士ダンバイン」より）［作詞：井荻麟 / 作曲：網倉一也 / 編曲：須藤賢一］
空へ...（「ロミオの青い空」より）［作詞：佐藤ありす / 作曲：岩崎琢 / 編曲：安瀬聖］
こころはタマゴ（「鳥人戦隊ジェットマン」より）［作詞：荒木とよひさ / 作曲：つのごうじ / 編曲：中土智博］
シュガーソングとビターステップ（「血界戦線」より）［作詞・作曲：田淵智也 / 編曲：三宅博文］
THE HERO!! ～怒れる拳に火をつけろ～（「ワンパンマン」より）［作詞・作曲：影山ヒロノブ / 編曲：IKUO］
Super Driver（「涼宮ハルヒの憂鬱」より）［作詞：畑亜貴 / 作曲：神前暁 / 編曲：エンドウ.］
Hands（「ウルトラマンR/B」より）［作詞：園田健太郎 / 作曲：伊藤翼、園田健太郎 / 編曲：宮崎京一（KEYTONE）、出口遼、飯田涼太］
Over The Future（「絶対可憐チルドレン」より）［作詞：六ツ見純代 / 作曲：佐伯高志 / 編曲：AstroNoteS］

佐咲紗花（ササキサヤカ）: 2010年1月発表の1stシングル「星彩のRipieno」でキャリアをスタートさせる。その後は国内フェスやアジア、北米、南米、中東など海外のコンベンションイベントにも多数出演。デビュー曲から作詞を担当し、現在は作曲も行う。主にテレビアニメやゲームの主題歌、挿入歌を担当しており、これまでに6枚のアルバムと16枚のシングルをリリースしている。今年デビュー10周年を迎え、2枚目のカバーアルバム「SAYAKAVER.2」をリリースした。