佐々木彩夏(ももいろクローバーZ)が自身初のソロシングル「My Cherry Pie(小粋なチェリーパイ)/ My Hamburger Boy(浮気なハンバーガーボーイ)」をリリースした。シングルに収録される「My Cherry Pie(小粋なチェリーパイ)」「My Hamburger Boy(浮気なハンバーガーボーイ)」は、どちらも前山田健一が作詞作曲をしたナンバー。佐々木発案による“50's”をコンセプトにした作品で、往年のミュージカル映画を彷彿とさせるレトロでポップな雰囲気に仕上がっている。
音楽ナタリーでは、佐々木に単独インタビューを実施した。彼女自身の思いが詰まったシングルや、8月25、26日に東京・両国国技館で行われるソロコンサート「AYAKA NATION 2017 in 両国国技館」について話を聞いた。
取材・文 / 田中和宏 撮影 / 草場雄介
- 佐々木彩夏「My Cherry Pie(小粋なチェリーパイ)/ My Hamburger Boy(浮気なハンバーガーボーイ)」
- 2017年8月23日発売 / EVIL LINE RECORDS
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初回限定盤 [CD+Blu-ray]
2000円 / KICM-91779 -
通常盤 [CD]
1500円 / KICM-1780 - CD収録曲
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- My Cherry Pie(小粋なチェリーパイ)
- My Hamburger Boy(浮気なハンバーガーボーイ)
- キューティーハニー
- My Cherry Pie(小粋なチェリーパイ)(off vocal ver.)
- My Hamburger Boy(浮気なハンバーガーボーイ)(off vocal ver.)
- キューティーハニー(off vocal.ver.)
- AARIN ULTRA REMIX 2017 ※通常盤のみ
- 初回限定盤Blu-ray収録内容
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- My Cherry Pie(小粋なチェリーパイ)MUSIC VIDEO
- My Cherry Pie(小粋なチェリーパイ)メイキング ドキュメンタリー
※初回生産分のみプレイパスコード封入
男あーりん 女あーりん
──アーティスト写真で佐々木さんは男女2役を演じていますね。
気付いたら自分で男性役もやることになってました。本当はカッコいい外国人の方とご一緒したかったんですけど(笑)。男の子はシルエットとか肩だけがあって、それに寄り掛かる女の子が自分になる予定だったんですけど、話が進んでいくうちに男も女もあーりんでやろうということになって。でも「もういいよ、お腹いっぱいだよ、あーりん」って胃もたれしてしまうくらいあーりん尽くしになってるのは、私っぽくていいかなと思ってます。
──佐々木さんの中で「あーりんっぽい」というイメージがあるんですね。
私の中のあーりんは、女の子も男の子も受け入れてくれるかわいい女の子なんです。そこにモノノフさんがいろいろ色付けしてくれるので、あーりんはみんなで作っている感じがします。
──ソロシングルは1950年代のアメリカが舞台の学園ミュージカル映画「グリース」を彷彿とさせる内容になっていますが、これはどういった経緯で?
50'sをテーマにしたいってプロデューサーと話してコンセプトを決めていきました。
──その年代の文化などにもともと興味があったんですか?
「グリース」とか「ウエスト・サイド・ストーリー」とかは小さい頃にダンスを習ってたこともあってなじみがありましたし、「ヘアスプレー」も好きでよく観てたんです。そういう作品で女の子が着ている、腰のあたりはきゅっとしていて、ボリューミーなスカートの派手なピンクの衣装を着てみたかったというのもあって。
──「My Cherry Pie(小粋なチェリーパイ)」のミュージックビデオも、ミュージカルテイストに仕上がっていますね。男装した佐々木さんが主人公として登場しています。
もともとは女の子をMVのメインキャラクターにする予定だったんです。両A面のうち、女の子のことを思う歌(「My Cherry Pie(小粋なチェリーパイ)」)のMVを作ることになったから、男の子がメインになってましたけど(笑)。
──佐々木さんが演じる男の子には、かわいさがありつつも男らしさを感じました。
周りで踊っていたのも男装した女の子のダンサーだったので気分がすっかり男の子になっちゃって。気付いたら座ってるときに脚が開いてました(笑)。ダンサーさんたちと一緒にどうやったらカッコよく男の子役を演じられるのか話しながら、ノリノリで撮影しました。
──初めてではないと思うんですけど、男装をしてみて正直どうでした?
私が男装することってももクロだとほとんどないんですよね。でもたまにする機会があると「カッコいい」って言ってもらえることが多かったので、男装もイケるってことを見せてやろうと思いました(笑)。今回の現場でも、アー写を見たスタッフさんから「最初(男の子役が)あーりんだと思わなかった」とか、「全然イメージが違う」って言ってもらえたのでうれしかったです。
男あーりんのコーラスは1人6役だった
──曲名が英題と邦題という並びなのが昔の映画みたいな雰囲気ですよね。
洋楽じゃないのに邦題を付けようっていうのは、レコーディングを進める中で決めていったんです。私はジャケットのアートワークに英語を入れたかったんですよ。でも「『My Cherry Pie』じゃちょっとカッコ付けすぎてるよね」って前山田(健一)さんとか宮本(純乃介)さんと話をしていくうちに、邦題を付けることになりました。でも読み方は英語だけで大丈夫です。日本語のほうはあくまで邦題なので意味と言うかニュアンスが伝われば。
──なるほど。初シングルのタイトルに食べ物の名前が入っている時点で、あーりん“らしさ”は感じました。
「だってあーりんなんだもーん☆」を思い出しますよね(笑)。でも今回、絶対に「あーりん」は入れないでってお願いしたんです(笑)。だから前山田さんが考える最大のあーりんぽさがこのタイトルに出てきているんだと思います。
──「My Cherry Pie(小粋なチェリーパイ)」は男の子目線、「My Hamburger Boy(浮気なハンバーガーボーイ)」は女の子目線の楽曲ですね。
2曲で1つの物語を描くのはさすが前山田さんだなって思いました。昔のアメリカ映画に出てくる男の子って、ちょっとヤンチャだけど好きな女の子の前ではカッコ付けすぎちゃってカラ回ってるみたいなキャラクターが多いですよね(笑)。そういう典型的でわかりやすい世界観を自分なりに表現したかったんです。
──歌詞には50'sにちなんだフレーズが散りばめられています。例えば「プロムパーティ」はアメリカの高校で行われる卒業パーティのことですが、日本だとなじみがあまりないですよね。
プロムパーティは知ってたんですけど、歌詞に出てくる「ジャイブ」とか「チークタイム」とかどういうものかわからなかったので意味を教えてもらいました。「次はジャイブをみんなで踊るよ! 次はモンキーダンス!」みたいにミュージカル映画でみんなが一斉に踊り出すにぎやかなシーンを歌で表現してます。
──佐々木さんが男の子っぽく歌うのはこれまでになかったですよね。
そうですね。「My Cherry Pie(小粋なチェリーパイ)」は挑戦の曲でした。ブリブリとかわいらしい歌い方は今までの経験もあるから何回か歌入れしているうちに前山田さんのイメージに近付けることができるんです。だけどカッコいい歌い方っていうのはやったことがなかったので、「もっとキザに! もっとイケメンぽく! もっとうなる感じで!」とかそういう指示に対して、どう表現しようかなってけっこう考えました。
──ももクロだとストレートな歌い方は有安杏果さんがすごいと思うんですけど、佐々木さんはピッチとか抑揚とか声のコントロールが的確だなと思いました。
いやいやそんなことないです!
──そうですか?
語尾を上げて雰囲気で誤魔化しているだけで。みんなの耳が慣れただけですって!(笑)
──(笑)。レコーディング中、ほかにはどんなディレクションを受けたんですか?
「My Cherry Pie(小粋なチェリーパイ)」では「Oh yeah」とか掛け合いをそれぞれキャラクターを変えて6人ぶん録ったんですよ。歌の中だと私がリーダーで、いっぱい子分を引き連れているみたいなイメージありきでレコーディングを進めてたんですけど、メインの歌入れのあとに本当に掛け声を6人ぶん入れることになって。1人ひとりキャラを決めて、“ガタイのいいボブ”とか“お調子者のマーク”みたいに名前を付けて、ぜんぶ私が声を入れたんですよ。そういう細やかさはさすが前山田さんだなと。
──6人ぶんのキャラ設定があると、ミュージカルらしさが増すような気がします。
そうですね、ちょっと声優さんみたいな気分でした。シングルでは1人2役ですけど、この曲ではそれ以上を演じてるという。で、「My Hamburger Boy(浮気なハンバーガーボーイ)」は女の子同士で一緒にいるイメージなので、こっちでは4人ぶんの掛け声を歌っています。
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「だってあーりんなんだもーん☆」から7年
2017年10月6日更新