サビの最初の3秒で仕掛けてる

──SANDAL TELEPHONEはまず楽曲のジャンルやクオリティの面で注目を浴びて、そこから評価されるパターンが多いですよね。メンバーは以前インタビューで「楽曲に負けたくない」というような話をされていましたが、いどみん先生としてもダンスやパフォーマンスにもっと注目してほしいという思いがあるんでしょうか？

いどみん　そうですね。曲だけ評価されていると、「曲ばっかりチヤホヤされて。楽曲派ってホントに曲にしか興味がないのかな」「振りはなんでもよくて、メンバーは誰でもいいっていうことじゃないでしょ」って悔しい気持ちになります。だからフロアが一体になるような、音楽を体ごと楽しめるような振り付けを意識していますし、音楽が評価されているアイドルの界隈の中で、そこがSANDAL TELEPHONEの秀でている部分だと感じています。SANDAL TELEPHONEには「音楽で世界を笑わせたい、泣かせたい、踊らせたい」というコンセプトがありますが、そのうちの「踊らせたい」というコンセプトをメンバーがフロアを巻き込んで体現していて、曲がいいなと思ってライブに来てくれた人もいつの間にか踊ってるという。

──なるほど。

いどみん　あと、このグループ、セトリに曲を詰め込むじゃないですか。ライブでは曲と曲がシームレスにつながってるので、初見の人にしたら今どの曲をやってるのかわかりづらかったりするんですけど、指の動作とか、全部の曲に覚えやすい振りを1つ入れてるんですよ。それがきっかけで曲を覚えてもらえるし、曲、振り付け、メンバーがしっかり合致するとSANDAL TELEPHONEの音楽をより好きになってもらうことにつながるんだなと最近改めて感じています。

夏芽　確かに、初見のお客さんは特典会で「こういう振り付けの曲がよかった」と印象的な振りで覚えて伝えてくれることが多いですね。

いどみん　そのキャッチーさはほかのグループに負けてないなと思います。どの曲もだいたいサビの最初の3秒で仕掛けてるんですよ。TikTokも最初の3秒で引っかかる要素がなかったらすぐに飛ばしちゃう人が多いし、CMも頭の3秒のインパクトが重要じゃないですか。それと同じで、SANDAL TELEPHONEの振り付けではサビの最初の動きでどの曲かわかるようにしています。

──今まで音にばかり気を取られていた人も、そこに注目することでSANDAL TELEPHONEのライブの見方が変わるかもしれませんね。

夏芽　私も今の話を聞いて驚きました（笑）。

藤井　「へー」って（笑）。

──ただ、今回の新曲は音楽のジャンルやサウンド面も新境地と言えるものですし、ダンスの難易度も上がったということで、キャッチーさへこだわりや「踊らせたい」の意味合いにも少し変化があったんじゃないですか？

いどみん　今までは「踊らせたい」というコンセプトをフィジカルな意味で捉えていたんですよ。だからお客さんも一緒に踊れるような振り付けにしていたんですけど、今回の新曲でやってるムーブは“感情を踊らせる”ことだと考えていて。メンバーが踊っているのを見て、感情を踊らせてほしい。今までのフィジカルなところから、1つ向こうのフェーズの「踊らせたい」を3人はできているんじゃないかなと思います。だから、今回は一緒に踊るのが楽しいグループではなくなってしまいました（笑）。じっくり堪能してもらえたらっていう。

夏芽　フロアで真似して踊ったら、ほかのお客さんとぶつかっちゃうと思います（笑）。

今のSANDAL TELEPHONEを確かめに来てほしい

──今回、いどみん先生が崖から突き落としても最終的にメンバーはしっかり登ってきたわけですが、それによって3人に求めるもののハードルがこれからどんどん上がっていくのでは？

夏芽　それは私も薄々感じていたんですけど、「Lightsurfer」で確信しました。毎回難易度を上げてきてるなって（笑）。

いどみん　そこに関してはフロアの盛り上がり具合を見ながら、その都度相談していきましょう（笑）。

小町　でも、最終的には毎回できるようになってるよね。

夏芽　私たちががんばってできることの範囲内でハードルを用意してくれてるんだと思います。

いどみん　楽曲を書いているちばけんいちさんが本気だから、こっちも本気になっちゃうんですよね。どんどん音を詰め込んでくるもんだから、試されているような気持ちになって。ちばさんが作った音を1音も残さず拾おうと思って、メンバーにも「こんなふうに拾われるためにちばさんは音を作ったんじゃない！」と怒ったりしました（笑）。それくらいみんな1つの音に対して真剣に向き合ってます。

──フォーメーション的には1つの塊としてきれいにまとめる形になったという話がありましたが、この先ライブ会場がどんどん大きくなっていったら、広いステージでどう見せるかという悩みも出てきますよね。

夏芽　先生もよくそういう話をしてますよね。

いどみん　私としてはヘッドセットを試したいんです。マイクを握ってるほうの手がかわいそうだなと思っちゃって。

藤井　私もヘッドセットでライブをやるのが目標なんです。実は小学生の頃に工作でヘッドセットを作ったことがあるんですよ。

夏芽　へー、そうなんだ！

いどみん　あと、今初めて言うけど、センターステージでライブをやらせてみたいです。360°お客さんがいて、ウエディングケーキみたいにステージがせり上がっていくやつ。

小町　“埼玉のPerfume”だ。

いどみん　それ、SANDAL TELEPHONEの裏テーマなんだよね。埼玉出身のメンバーは1人もいないんですけど、手に届くPerfumeを目指してるんです（笑）。

──（笑）。メンバー的には現体制になって新たに見えてきた目標などはありますか？

小町　前までは大きな目標しか言ってこなかったけど、目先の目標ができたよね。

夏芽　あー、そうだね。今まで「いつかはこうしたい」というふわっとした目標しかなかった中、次の作品で絶対にチャート1位を獲るとか、ワンマンのチケットをソールドアウトさせるとか、近い目標をメンバー同士で話すようになりました。

──直近のワンマンライブだと、4月30日に東京・WWW Xでツアーファイナルが開催されますね。

いどみん　4人体制のときのライブまでしか観ていない人に、今のSANDAL TELEPHONEがどうなっているかを確かめに来てほしいね。それに、やっぱり曲だけに注目している人にパフォーマンスもちゃんと観てもらいたいです。こんなにがんばってるかわいい子たちがいるんだから。

夏芽　家で私たちの曲を聴いてる人も一歩おうちを出てライブに来てね、という気持ちです。今のステージを観たら何かが変わると思います。