小町まい、夏芽ナツ、藤井エリカ、西脇朱音からなる4人組ガールズグループ・サンダルテレフォンが、1月19日に新作音源「SYSTEMATIC」をリリースした。
昨年8月に初のミニアルバム「Step by Step」をリリースしたサンダルテレフォン。アルバムが発売されると、その楽曲のクオリティの高さから彼女たちの名はアイドルファンを中心に一躍注目の的となった。その後、初のワンマンライブや月に1回の定期公演などを経て、サンダルテレフォンが新たにリリースした「SYSTEMATIC」は、これまでのイメージを一新するような大人びた作品となっている。この作品の発売を受けて音楽ナタリーではサンダルテレフォンのメンバー4人にインタビュー。「Step by Step」リリース後の反響や、初のワンマンライブを終えた手応え、そして新作「SYSTEMATIC」について語ってもらった。
取材・文 / 石井佑来 撮影 / 臼杵成晃
メンバー1人ひとりを見てほしい
──ナタリーでのインタビューは、昨年8月の「Step by Step」リリースタイミング以来2回目です。前回のインタビューは「Step by Step」発売前でしたが(参照:サンダルテレフォン「Step by Step」インタビュー)、その後反響はどうでしたか?
夏芽ナツ 初めての全国流通盤だったので、いろんな人に届いた実感があります。ファンの方がほかのアイドルファンに広めてくれたりして、そのおかげで私たちの名前も知られるようになったかなという印象ですね。
藤井エリカ 特典会で「サンダルテレフォンのファンの方から聞いてライブに来ました」と言われることも多くて、徐々に広がっているような実感はあります。
小町まい 私も「『Step by Step』からファンになりました」と言われることが多いので、よりいろんな人に知ってもらえたんじゃないかな。
西脇朱音 CDショップなどの店舗でもたくさん展開していただいて、それを見て名前を知った人もたくさんいたみたいで、すごくうれしかったですね。
──アルバム発売以降、いわゆる“楽曲派アイドル”の注目株として徐々にアイドル好きを中心に浸透してきていると思うんですが、そういった扱いについてはどのように受け止めていますか?
夏芽 ひと口に楽曲派と言っても、サンダルテレフォンはいろんな系統のいい曲があるので、楽曲派というところからちょっとはみ出したい気持ちもあります(笑)。
藤井 曲を褒めてもらえることはもちろんとてもうれしいし、前回のインタビューではみんな「とにかく曲を聴いてほしい」と言ってましたけど、メンバー1人ひとりを見てほしいという思いもあって。「曲がよかった!」と言われると「えっ、ほかは?」みたいに思っちゃう(笑)。もっとメンバーのことやパフォーマンスも見てもらえるようにがんばりたいです。
小町 確かにSNSでエゴサーチしても、曲のことを褒めてくれてる人が一番多いかもしれないね。でもそれは素直にうれしいです。
初のワンマンライブで深まった絆
──「Step by Step」発売後には、ワンマンライブ「ありきたりで、特別な女の子が、大人になる前に」が開催されました(参照:サンダルテレフォン、大人になっていく姿を見せた1stワンマン)。こちらの手応えはいかがでしたか?
夏芽 こんなにたくさんの曲を披露して、何回も着替えて、MCも長時間あって……というライブが初めてだったんですよ。私が主にMCや煽りを担当しているのもあって、キャパオーバーでパンクしそうになっちゃって。そのときにメンバーが助けてくれたり、「ここは私がやるよ」と言ってくれたりして、絆が深まったと思います。
小町 なっちゃん(夏芽)はいつも焦りを見せないタイプなんですけど、この日のライブではMCでいっぱいいっぱいになっちゃって。ステージに出る3秒前まで着替えながら「どうしよう、どうしよう」ってすごい焦っていて。あんな焦ってる姿初めて見た(笑)。
藤井 私は早着替えで衣装を前後ろ逆に着ちゃったのを今でも気にしていて……気を付けないとって思っています……(笑)。
小町 私は本番ギリギリに詰め込んじゃうタイプなので、ライブ前日にソロ曲を完璧に覚えたつもりが本番で歌詞を間違えてしまって……もっとちゃんと準備してやればよかったですね。
──小町さんはステージ上でお客さんをつかもうとしている感じがすごく出てますよね。
小町 ありがとうございます(笑)。でもやりすぎてプロデューサーの井本(泰稀)さんに「レスしすぎ」って注意されました。「そっちがメインじゃないよ」って(笑)。
夏芽 でもまいちゃんの歌があるから安心できるし、パフォーマンス面に関してはいつも頼りにしています。
──ライブではカバーコーナーとして、小沢健二さんや松田聖子さんの楽曲も披露されました。このあたりの選曲はどのようにされたんですか?
夏芽 4人で歌った小沢健二さんの「ラブリー」はプロデューサーの井本さんが選んでくれました。実はだいぶ前にもほかの小沢さんの楽曲をカバーしているんです。松田聖子さんは、実は違う曲を歌うはずだったんですけど、急遽音源が使えなくなってしまって。直前に「カラオケで歌える曲何がある?」と聞かれて「『青い珊瑚礁』歌えます!」って(笑)。
──西脇さんと藤井さんは“凸凹シスターズ”として「夢をかなえてドラえもん」を歌いました。
西脇 ライブ当日に“凸凹シスターズ”という名前を付けたんですけど、思いのほか広まって(笑)。今でもたまにファンの方に言われます。
藤井 思ったより定着したよね(笑)。
──これからも“凸凹シスターズ”としてパフォーマンスすることはあるんですか?
西脇 どうだろう? 機会があれば(笑)。
「アイドルとして大人になる」とは
──このワンマンライブは、「大人になる」というのがコンセプトでしたが、ライブを終えて各々大人になったという実感はありますか?
夏芽 大人かあ……なれたのかな(笑)。まだなりきれてはないと思うけど、大人と子供の中間をステップアップしている最中だと思います。
小町 この公演はもともと私が20歳になる前に開催される予定だったんですけど、延期しているうちに20歳になってしまって。なので本当に大人になってからのライブだったというか……大人っぽくできたんじゃないかなと思ってます(笑)。
藤井 今までは自分のことで精一杯で周りが見えていなくて、そのたびにメンバーが助けてくれて。でも最近は自分のことだけじゃなくて、周りもちゃんと見るように意識していて、そこはちょっとずつ変わっているのかなと思います。
──そのあたりは皆さんから見てどうですか? 以前から変わってるなと思います?
西脇 エリカは前からみんなのことを見てる印象ですけどね。
夏芽 もとから一番気配りできてると思う。私含め気分屋のメンバーが多い中で、エリカはみんなが疲れてるときでも周りに気を使ってくれるので。
──西脇さんは大人になったという実感はありますか? 年齢的にはメンバーの中で一番大人ですけど。
西脇 自分としては、もとからメンバーの中で一番大人に近いんじゃないかと思っていたんですけど、端から見たらそんなこともないみたいで(笑)。公演を通して「アイドルとして大人になる」とはどういうことなのか考えたんですよ。結論としてはわからないんですけど、自分のことだけじゃなく関係者の方々を含めて周りをちゃんと見て率先して動けるようになるとか、ステージ上だけじゃなくて舞台裏でしっかりできるようにというのを意識するようになりました。規模の大きいワンマンライブをやったり、作品を出したりするごとに関わってくる人の数も増えてくるので、そういった関わりを経て大人になっていくんだろうなと思っています。
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パフォーマンスが曲に負けてる
2021年1月21日更新