小町まい、夏芽ナツ、藤井エリカ、西脇朱音からなる4人組ガールズグループ・サンダルテレフォン、通称ダルフォンが、活動開始から1年4カ月を経て初のミニアルバム「Step by Step」を完成させた。既発のシングル曲に新曲「Step by Step」「Shape the Future」を加えた全8曲で、シティポップやファンク、ハウスの要素を取り入れながらキャッチーで親しみやすい1枚に仕上がっている。音楽ナタリー初登場となるこの特集では、サンダルテレフォンのメンバー4人とグループのプロデューサーである井本泰稀氏にインタビュー。本人たち曰く“バラバラ”だという個性的な4人が織りなすグループの魅力に迫った。
取材・文 / 石井佑来 撮影 / 臼杵成晃
とにかくアイドルになりたかった
──もともと終演後物販卍というアイドルグループで活動していた夏芽さんと小町さんに、藤井さんと西脇さんが合流する形でサンダルテレフォンが結成されたとのことですが、お二人はどういった経緯で加入することになったのでしょうか。
西脇朱音 終演後物販卍はもともとメンバーが5人いたんですけど、そのうちの3人が脱退して、(夏芽)ナツと(小町)まいだけになっちゃったんです。そのタイミングでサンダルテレフォンのオーディションがちょうどあって、私と(藤井)エリカが合格して今の4人になりました。
──メロコア中心だった終演後物販卍から音楽性はだいぶ変わりましたが、なぜ今の音楽性になったのでしょうか。
井本泰稀(プロデューサー) 終演後物販卍はアイドル横丁のプロデューサーの方がプロデュースで入っていて、僕はマネージャーだったんですよ。終演後物販卍は「少女たちにメロコアを歌わせる」というコンセプトがあったんですけど、今の体制になるタイミングで僕がプロデュースすることになって。そのタイミングで全く違うコンセプトの別グループを作るためにオーディションをして2人が加入しました。
──メロコアからシティポップやファンク、ハウスを中心とした音楽性に変わることで、メンバー的に戸惑いはありませんでしたか?
夏芽ナツ 曲調に合わせて歌い方も変えないといけないし、最初は苦戦しました。でも曲調が変わった分、自分の声のバリエーションも広がったと思います。
小町まい 今のほうが歌っていて楽しいです(笑)。最初は戸惑いもあったけど、私は今のほうが好きです。
──あとから加入した西脇さんと藤井さんとしては、むしろ「メロコアを歌うつもりだったのに」みたいな思いもあるんでしょうか。
西脇 終演後物販卍がメロコアを土台にしたグループだということは知っていたんですけど、オーディションのときに音楽性を変えることはお聞きしていたので、変更後に期待して加入しました(笑)。
藤井エリカ 私は終演後物販卍のライブを観に行ったときに「カッコいいな」と思って、気合いが入っていたんですけど、どんな音楽性であれとにかくアイドルになりたかったので、メロコアみたいな曲を歌えるのも、今みたいな曲を歌えるのもどっちも楽しいです。
──そもそも皆さんはアイドルになりたくてこの世界に入ったんですか?
夏芽 私はもともとアイドルオタクで、小学生ぐらいからアイドルになりたいと思っていて。特にハロー!プロジェクトさんに憧れていたので、歌やダンスが本格的なグループに入りたいとずっと思ってました。
西脇 私は坂道グループ、特に乃木坂46さんが好きで、高校生のときにオーディションも受けたんです。そのあとにいわゆる地下アイドルの方を観るようになって、「近い距離でファンの方と接することができるのもいいな」と思って、今のグループのオーディションを受けました。
藤井 私はフェアリーズさんが大好きで、関東の公演は全部行っていたくらいなんです。ファンサービスをいただいたときに本当に感動して、自分もファンサを受ける側からする側になりたいといきなり思い立って受けたのがここのオーディションでした。
小町 私は子供の頃から歌うのが好きで、ZARDさんみたいなテレビで歌っている方に憧れていたんです。そこから虹のコンキスタドールさんなどのアイドルも好きになって、自分もやってみたいと思うようになりました。
バラバラだからこそ
──アイドル群雄割拠の時代で、ほかのグループにはないサンダルテレフォンならではの武器ってなんだと思いますか?
夏芽 私たちはいい意味で4人ともバラバラだと思うんですよ。雰囲気や顔の系統、声質がそれぞれ違うので、パッと見ただけで各メンバーの個性が伝わるし、声を聴いただけで誰が歌ってるかわかると思います。バラバラだからこそいろんな意見が出るし、自分にはないような発想も出てくるので、そこがグループの強みだと思います。クラスが一緒だったらたぶん誰とも仲良くなってないと思う(笑)。それぐらい、いい意味でバラバラです。
西脇 バラバラだからこそいろんな人に刺さると思うので、そこは確かに武器かもしれない。
小町 とりあえずみんな顔がかわいいので、そこが強みです。
一同 ははは(笑)
──ファンの方はどんな人が多いですか?
藤井 特定のメンバーが好きというよりは、グループ全体が好きな人、いわゆる“箱推し”の人が多いと思います。
西脇 確かに箱推しの人は多いかもしれないね。あとは「楽曲がいい」と言ってくれる方がたくさんいますね。楽曲から入ってくれる人が多い印象です。
夏芽 自分で言うのもなんですけど、楽曲は本当にすごくいいと思うので、そこは私たちの強みの1つだと思っています。
──グループとしての具体的な目標は決まっていたりするんでしょうか。
西脇 ライブについての目標だと、Zeppでのツアーと武道館での公演を達成すること。メディアの目標は、アニメのタイアップ獲得とファッション誌の表紙を飾ること。あとは音楽番組への出演ですね。
夏芽 目標を達成するためにはいろんな人に知ってもらわないといけないので、自分たちの発信力を伸ばしていかないといけないですね。まずはトークスキルを上げないと……(笑)。
──目標とは別に、「こういうアイドルになりたい」という理想像はありますか?
夏芽 アイドルに詳しくない人からも好きになってもらえるようなグループになりたいです。アイドルを好きじゃない人でもサンダルテレフォンの曲は知っているというのが理想です。
西脇 私もナツと同じで、アイドルを好きじゃない人にも「サンダルテレフォンの曲いいよね」と思ってもらいたい。「サンダルテレフォンって知ってますか?」と聞いたら「知ってるよ。あのグループでしょ」って当たり前のように言ってもらえるような、そんなグループになりたいです。
小町 曲を聴いて、CDを買って、会いに来て、好きになるみたいな……ダメだ、伝わらない……!(笑) とにかく私たちの曲を聴いてほしいです!(笑)
藤井 結成から最初の1年間はあまりお客さんも来なかったんですけど、ミュージックビデオを公開したりCDをリリースしたりするうちにいろんな人に知ってもらえたので、これからもたくさんの人に知ってもらえるようにがんばっていきたいです。
──「とにかく楽曲を聴いてほしい」という思いはメンバー共通なんですね。
夏芽 そこはみんな一緒だと思います。チャートに常に入っていて、新曲を出すたびにみんなにチェックしてもらえるようなアイドルになりたいです。
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「みんなにこのアルバムを届けていくぞ」