SALTY'sは「あかんやろ」を気にしない
──そんなSALTY'sは結成5年目を迎え、ついに1stフルアルバム「塩」でCDデビューをされますね。
塩村 今回は2形態作りまして。自分で言うのは気持ち悪いかもしれないですけど、「塩盤」はホンマに好きな曲ばっかりを詰め込んだアルバムになりました。曲順はみんなめっちゃ悩んで決めたので、ぜひ頭から順に聴いてもらいたいです。
──もう1つの「盛塩盤」は楽曲に加えて、ライブMCやコントが18トラックも収録されてますね。
塩村 ライブ中の雰囲気をCDでも楽しんでいただけたらと思って作りました。これもほかのアーティストさんにはない、僕らならではの武器かなと。「盛塩盤」でライブの雰囲気を楽しんでもらって、「塩盤」で曲を無限リピートで聴いてもらえたらいいですね。僕らの4年が詰まってます。
──塩村さんがおっしゃったように、「塩」は結成初期から現在までの楽曲が収録されている集大成的な1枚だと思うんです。アルバムが完成した今、改めてSALTY'sってどんなアーティストだと思いますか。
塩澤 それこそ、エンタテインメントな4人だなって。僕と塩野くんは楽器を弾いてないけど、お芝居をやったり、ライブでコントをやったりできるんです。それは芸人だからこそできることで。「弾いてないけど、楽しいバンドだな」と思われたいですね。
塩村 お笑いの人もアーティストも、それぞれ「こんなことをしたらあかんやろ」と考えてしまうことがたくさんあると思うんですよ。だけど僕らは気にせずできるので、そこが大きな強みだなって。
──アーティストが「あかんやろ」と思うことってなんですか。
塩村 例えば作詞において、アーティストやったら「思ったことをストレートに書いたらダサいな」と考えて、難しい言い回しに変えて書くことがあると思うんです。でも僕らにはそういうことはないので、まっすぐシンプルに書けるんです。僕、歌詞を書くうえで「わからへん言葉は使わんとこ」って決めていて。そこは一番こだわってますね。
お客さんを楽しませることが一番の正義
──楽曲「塩顔ジェネレーション」をプロデュースした武井優心(Czecho No Republic)さんが「シンプルになんの邪念も雑念もなく只々楽しかった。なかなかないよなー」とブログに書いていましたけど(参考:Czecho No Republic 公式ブログ - 塩 - Powered by LINE)、塩村さんが「まっすぐな気持ちのまま歌詞を書ける」とお話しした通り、きっと武井さんは純粋無垢に音楽を楽しんでいる4人の姿勢に感化されたんじゃないかなと思いました。
塩澤 優心さんはアーティストでありながら、僕らと感覚が近いと思うんです。プライベートでも仲よくさせてもらっているからわかるんですけど、芸人さんのことをすごくリスペクトされているんです。そもそもCzecho No Republicのライブ自体が音楽だけじゃなくて、急にお芝居をすることもあるし、エンタテインメントとして面白いじゃないですか。だからこそ、感覚が芸人寄りというか。きっとエンタテインメントとして、音楽を楽しんでもらいたい気持ちがある人じゃないかなと思いますね。それに普通のバンドさんなら、仲がいいからといって簡単に曲は作ってくれなかったと思うんです。優心さんは「楽しそうだから」という気持ちだけで、「塩顔ジェネレーション」のプロデュースを引き受けてくださったんじゃないかなと。
──音楽とかお笑いとかに関係なく、表現の根幹が近いんですかね。
塩澤 さっき塩村さんが言った「アーティストだから、これはダサい」「芸人だから、あれはダサい」という概念が、僕らと同じく優心さんもあまりない気がします。「こんなことをやってみたら楽しいんじゃない?」と枠に縛られずに取り組めるタイプだと思いますね。
──ただ周りにそれを受け入れてもらえるかは、難しい問題ではありますよね。世間は“お笑い芸人がやっているバンド”という認識を、最初はどうしても持ってしまうと思うんです。そこに関してはどのように向き合ってますか。
塩村 アーティストさんの中には「芸人がこっち側に来るなよ」と心の中で感じている人はいるやろうなと思うんです。だけどお客さんからすれば、同じステージであることに変わりない。だからこそ、僕らはほかの出演者の方と違う角度で楽しんでもらいたいし、そういう積み重ねをしてきたからこそLIQUIDROOMでライブをやることができたんじゃないかと。芸人さんも1000人規模のライブをできずに辞めていく人、バンドさんもLIQUIDROOMまで届かずに解散する人がほとんどやと思ってて。僕らはそこでライブをやったからこそ責任と自信を持てたので、これからもお客さんをガッカリさせないように、1回1回のライブをめちゃめちゃ大事にやっていきたいですね。
塩チョ 塩村さんの話を聞いて「肩書きをなくしたい」と思いました。最近は「こうあるべきだ」という考えに対して、「どうでもええやん」と感じるようになってきて。個人的には目の前にいるお客さんを楽しませたり、感動させたりできることが一番の正義だと思っているので、「芸人がこんなことするのはいかがなものか」という美学に縛られず、僕たちはSALTY'sとしてやっていきたいです。
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関係者4名によるお祝いコメント