音楽ナタリー Power Push - Salley
地盤を固めたSalleyが放つ、無限の可能性
うらら(Vo)、上口浩平(G)によるポップスユニット、Salleyが2月8日に3rdアルバム「Clear」をリリースする。2016年9月から3カ月連続で発売された配信シングル「kodama」「Home」「Winding Road」を含む本作は、Salleyらしいアコースティックテイストの楽曲から新機軸とも言えるダンスチューンまで、多彩な音楽が楽しめる作品に仕上げられた。生楽器の響きを生かしたサウンドメイクや表情豊かなボーカルなど、このユニットの個性と新たな可能性をバランスよく反映した充実作と言えるだろう。
今回音楽ナタリーでは2人にインタビューを実施。前アルバム「エメラルド」以降の活動スタンスの変化、本作「Clear」の制作過程などについて語ってもらった。
取材・文 / 森朋之 撮影 / 竹中圭樹(D-CORD)
2人でミーティングを始めた
──3rdアルバム「Clear」が完成しました。前作「エメラルド」から2年7カ月ぶりのアルバムとなりますが、この間、活動のスタンスにもかなり変化があったとか。
うらら(Vo) そうですね。前作をリリースしたあと、自分たちで企画ライブを始めたんですけど、それまでスタッフに任せっきりだったところをすべて自分たちで確認するようにしたんですよ。細かい部分も自分たちでやるようになって、「こういうところが大変なんだな」ということもわかるようになって。その中で「活動の目標、理念などを見失ったまま、目の前にあることだけを消化していてはいけないな」と思うようになって、2016年の夏頃から毎週1回、2人でミーティングを始めたんです。月曜の午前中に集まって、お互いに議題を持ち寄って話し合うっていう。
上口浩平(G) デビューから3年経って、タイミング的にも自分たちが中心になってやらないといけない時期だったと思うんですよね。うららと会話する時間も、それまではあまりなかったし。
うらら 当たり前なんですけど「自分がこういうふうに行動しているんだから、相手もわかっているはず」というのはよくないんですよね。口に出して言わないと前に進まない事柄も多いし、「これを言ったらケンカになっちゃうかもな」と思うようなこともちゃんと伝えないといけないので。だいぶいろんなことを言えるようになりましたね、今は。「私はこういうイメージで動いてます」ということを伝えるだけで、かなり違うので。
上口 この3年は自分たちなりにガムシャラに走ってきたんですけど、Salleyとしての目標もはっきり定めていなかったし、うららがどんなことを考えてステージに立ってるかということも理解してなくて。ミーティングでいろいろと話をすることで共有できる部分も増えたし、それがライブにもつながってきたんですよね。「ライブでこういう曲をやりたいよね」とか、いろんな可能性が広がってきて。
うらら 目の前のことだけではなくて、例えば「次のアルバムの制作に入る前に、準備できることはないかな」とか「ツアーをやるためには、今すべきことはなんだろう?」という先のことも話すようになったし。あと自分たちとお客さんの関係性みたいなことも見えてきて、ライブにも自信が持てるようになったんですよ。私はライブの経験が少なくて、「今日はいいライブだった!」という感覚がなかなかつかめなかったんです。それどころか「理由はわからないけど、絶対にうまくいってない」ってヘコむことも多くて。そういうコンプレックスが少しずつなくなってきたんですよね。フェスにも出たいんですよ。「絶対にアゲてみせる!」という気持ちもあるので……って、ちょっと強気なこと言っちゃいましたけど(笑)。
ずっと宙に浮いてたSalleyが地上に降りてきた
──デビューから3年経って、やっと仲良くなったというか。
上口 ハハハハハ(笑)。でも、そうかもしれないですね。
うらら (笑)。去年の秋に初めて仕事以外のことで上口くんに会ったんですよ。スタッフも一緒にみんなで深大寺に遊びに行って。
上口 最終目標は2人でディズニーランドですね。
うらら それは絶対に嫌です(笑)。でも、コミュニケーションはすごく密になったし、ようやく地盤がしっかりしてきたのかなって。ずっと宙に浮いてたSalleyが地上に降りてきて、地面を踏みしめて歩けるようになったというか。それが一番の変化でしょうね。
上口 大事なことはLINEじゃなくて電話で話したほうがいいことも学びました(笑)。
──2人のコミュニケーションが密になったことは、音楽性にも影響してるんですか?
うらら 音楽性や楽曲に関しては、ずっと変わらないんですよ。私はわりと猪突猛進タイプで、上口くんは慎重派っていう違いはありますけど(笑)、曲作りは最初から自然体でやれているので。上口くんが新しい曲を作るたびに「本当に嫌な音を鳴らさない人だな」って思うし、そこは全然ブレないですね。
上口 楽曲は継続して作ってるし、そこでぶつかることはほとんどなくて。特に今回のアルバムは音作り、アレンジに時間をかけられたのもよかったですね。
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- 3rdアルバム「Clear」 / 2017年2月8日発売 / Victor Entertainment
- 初回限定盤 [CD+DVD] 3780円 / VIZL-1089
- 通常盤 [CD] 3240円 / VICL-64692
CD収録曲
- kodama
- Wonderland
- Winding Road
- 小さな嘘
- 真昼の月
- SPECTRUM
- カノジョとカレシ
- 言い訳ガール
- スカイライン
- Home
- Clear
初回限定盤DVD収録内容
- kodama(Music Video)
- 流星ラヴァー(Music Video)
- キスしてbaby(Music Video)
- 冬が来る(Music Video)
- キスしてbaby(Live at Shibuya www on July 10, 2016)
- きみのヒーロー(Live at Shibuya www on July 10, 2016)
- OFF SHOT
「Clear」リリース記念ミニライブ&ジャケットサイン会
- 2017年2月11日(土・祝)
東京都 タワーレコード新宿店
START 15:00 - 2017年2月12日(日)
大阪府 タワーレコード梅田NU茶屋町店
START 13:00 - 2017年2月12日(日)
愛知県 タワーレコード名古屋近鉄パッセ店
START 18:00
Salley(サリー)
大阪出身のうらら(Vo)と福井出身の上口浩平(G)により2012年に結成された男女デュオ。2013年5月にフジテレビ系アニメ「トリコ」のエンディングテーマ「赤い靴」でデビュー。うららの透き通るような歌声と哀愁を帯びたロックサウンドで描くオリジナルの世界観が話題になり、同作は「2013上半期USEN HITランキング」のJ-POP部門で1位に輝いた。2014年4月に1stアルバム「フューシャ」を、2015年7月に2ndアルバム「エメラルド」を発表。2017年2月にはニューアルバム「Clear」をリリースする。