Sakurashimeji「明日を」特集|10年の歩みのその先へ “まだ何者でもない”2人が願い進む明日 (3/3)

髙田彪我、田中雅功 ソロインタビュー

髙田彪我が語る田中雅功との10年

──10年間雅功さんとともに活動してみて、今の思いを聞かせてください。

はたから見たら「すごいな」と思うだろうし、年頃の子たちが学生時代に10年間ずっと一緒にいるっていうのもすごいことだとは思うんですけど、僕にはそれ以外の選択肢がなかったという側面があって(笑)。勉強が得意なわけではないし、スポーツも経験がない。高校生のときに軽音部だった父親が持っているギターがもともと家にあったから、ギターには馴染みがあって好きだった。ただ好きで続けていった結果、さくらしめじとして10年が経ったという感じなんですよ。雅功と僕は根本的な性格は似ているんですけど、細かいところが全然違う。どっちも基本“陰”ではあるんですけど、僕は完全なる“陰”で、雅功は“陽”にもなれる。聴く曲の好みも違いますし。そういう、細かいところの違いに刺激を受けて、ここまで来たのかなあと思います。

髙田彪我

髙田彪我

──2人組という“最小人数のグループ”の楽しさは、どういったところにありますか?

いっぱいあるんですよ。きっと僕は3人以上になるとしゃべれないんで(笑)、そういう面ではデュオでよかったなと思います。もともとそういう、人数の多いグループに憧れはあったんですけどね……。実際やってみると2人って気が楽だし、意見交換がしやすいのがいいなと思います。1対1でしかないので、お互い包み隠さず話せるから。そこは2人組ならではの強みだし、楽しさでもありますね。

──では逆に、難しさを感じるようなところはあるのでしょうか。

最初の頃は特にそうだったんですけど、MCですね。大きなグループだとMC担当のメンバーが率先してしゃべってくれると思うんですけど、2人だからどちらもしゃべらざるを得ない。だけど、僕がまあ話し下手でうまくできなくて……そういうところは難しい部分だなと思うこともありました。最近はもう割り切っちゃう部分もあって、雅功に任せたりもしているんですけどね(笑)。

──彪我さんから見た雅功さんは、どんな人ですか?

「暴走列車」ですかね。とにかくずっと突き進んでます。止まらないです、本当に。最近特にそうで、勢いがすごい(笑)。でもそれだけいろんなことに興味を持っているから、引き出しが多いなということも感じます。あと、すべての物事に対して抱く熱量が高いというか、誰よりも熱い男だと思います。情に厚くて……1つひとつの事柄に、しっかりと向き合って取り組んでいるんですよね。僕は情が薄いほうなので、そういうところはすごいな、感受性が豊かだなと。さすが小説を書かれるだけあるなって思いますね。

──そんな雅功さんに対して、彪我さんがシンパシーを感じる部分は?

なんだろう。2人組でいてくれること、かな。僕だけが思ってることかもしれないけど。「ホントは3人組、4人組がいい」とか思ってるかもしれないけど(笑)、今のところ「2人がいい」というような話は聞いているので、そこが雅功にシンパシーを感じる部分ですかね。(遠くで聞いていた雅功の様子を見て)あ、なんか違うみたいです。首かしげちゃった(笑)。まあとにかく、言葉にするとあれですけど、運命的な出会いだなとも思いますし。ここまで自分と2人でやってくれる人がいるだろうか?って思います。そこはやっぱり、感謝もありますね。

──この先、彪我さんはどんなふうに雅功さんと進んでいきたいと思っていますか?

それで言うと、今のままがいいですね。今のまま、お互いに何事も包み隠さず意見を言い合っていきたい。プライベートのことも雅功にはずっと話しているんで、ずっとこのままでいてほしいなと思いますし、自分もこのままでいたいなと思います。

──では最後に、雅功さんの今後に期待すること、もし「こうなってほしい」と思うところがあれば教えてください。

うおー。そうですね。ちょっといろいろあるんですけど……彼、笑いに厳しくて。僕が例えツッコミとかを軽く言ったとするじゃないですか。それに対して、採点してくるんですよ。「芸人目指してるの?」ってくらい、しょっちゅう言ってくるから。もうちょっとこう、そのあたりを柔らかくしてほしいなという気持ちはありますね(笑)。

田中雅功が語る髙田彪我との10年

──10年間彪我さんとともに活動してみて、今の思いを聞かせてください。

それで言うと、10年、やるべくしてやったなという思いがあるんですよ。彪我と僕の2人ならば「そりゃまあ、10年くらいはやるよね」という感じではあります。

田中雅功

田中雅功

──その理由って?

決して相性が悪いわけではないし……でもそれで言うと、当たり前の存在すぎてちゃんとした理由がわからないかもしれない。キャラクターも価値観も好きなものも違うし、学校にいたら絶対友達にはなっていないと思うから不思議です。でも全然、「この2人でよくここまでやれたな」という感じではないんですよね。

──2人組という“最小人数のグループ”の楽しさは、どういったところにありますか?

すっごい単純計算ですけど、フロントマンが2人いる状態なので、ボーカル力は2倍になっていると思うんです。そこでボーカル1人の体制よりも音楽的に面白いことがたくさんできると思うので、面白いな、楽しいなと思います。

──では逆に、難しさや大変さを感じるところは?

なんだろうなあ。2人組という観点だけで言うと、意見が対立したときはきっと大変なんでしょうけど、だいたい彪我が折れてくれるからあんまりそういう経験もないし(笑)。あ、それで言うと、僕らは足並みがそろいすぎるのが大変なところかもしれないです。ほかの意見や視点といった要素が入りづらいので、そこはスタッフの皆さんを頼りにしているかなとは思いますね。

──雅功さんから見た彪我さんは、どんな人ですか?

僕が知っている人の中でコイツが一番難しいと思います(笑)。ひと言で表現するなら“職人”かな。すごく職人肌だと思う。1つのことを極める能力に長けているんです。あと、天才肌だなとも思いますね。なんでも器用にできるし、パッと行動に移す瞬発力もある。そして何より、彪我は途中であきらめず、“できるまでやれる”人なんです。これってすごいことだよなと思う。職人肌であり天才肌であるという、すごいハイブリッドですね。

──そんな彪我さんに対して、雅功さんがシンパシーを感じる部分は?

人間的な面で言うと、何から何まで違いすぎるんです。思っていることを言う、言わないの線引きも彼のほうがシビアだし、あまり感情を出さないし。ただ、熱は意外と同じくらいなんですよ。彪我のほうが一歩引いて冷めているふうに見られますけど、なんなら僕より熱い瞬間があるくらいの人間。だから仲違いしないんだろうなとは思います。

──では、雅功さんが思う彪我さんの一番の魅力は?

魅力? なんだろう?(笑) ああ、これは助かっているところなんですけど、本当に“NO”なときは「NO」と言ってくれるんですよ。普段は僕の意見を飲んでくれることが多いんです。「雅功がそう思うならそれでいいんじゃない」と言ってくれるんですけど、本当に違うなと思ったときは「NO」って言うから、それがわりと僕の指標になっているというか。彼のラインを超えたら自分はダサいことしてるんだと思える。それはすごくいいですね。スイッチを押すまでの“遊び”の部分は大きいんですけど、しっかり押すときは押す。芯の強さは誰にも負けないし、譲れないところがある人だと思います。意外と頑固ですよ。

──この先、雅功さんはどんなふうに彪我さんと進んでいきたいと思っていますか?

ずっと“一番近い人間”でいるのかなとは思います。プライベートのことも、なんでも話すんで。

──彪我さんも同じことをおっしゃっていました。

言ってました? でも、彼はそんな別に言わないんですけどね。彪我! お前、別に自分のこと話さないだろ?

(髙田) (遠くから)言うよ!

言わないでしょ(笑)。とにかく、「昨日何してたの?」みたいな話も全然するし。仕事だけの関係ではないですから。例えば……実際したことないから正しい例えかどうかわからないですけど、もし僕が結婚するとなったら、身内として紹介されるんじゃないですか。

──親族席に座っている。

あはははは! そうですね。そんな感じだと思います。親族席に座っている人。そんな関係性が正解だと思います(笑)。

──では最後に、彪我さんの今後に期待すること、もし「こうなってほしい」と思うところがあれば教えてください。

直してほしいところは、すぐに僕を悪者にすることですね!(笑) 例えば、いつもはタメ口なのに、初めて出るメディアや番組のときは、なぜかアイツだけ敬語でしゃべるんですよ! そうなったら、初対面の方は「あれ、同い年なのに上下関係あるの?」ってなるじゃないですか。そうやって僕を陥れようとしてくるんです。それは本当に直したほうがいいと思う! あとは好きなことをしてたらいいと思いますよ。好きなことをしているときが一番パワーを発揮する人間なので、ギターを弾きたいんだったら弾けばいいし、曲を作りたいんだったら作ればいいと思います。僕を悪者にすること以外に直すべきところはないです(笑)。

──雅功さんから見て、何をしているときの彪我さんが一番楽しそうですか?

ギターを弾いているときですね。特に最近は。もう、本当に気持ち悪い顔してます(笑)。幸せそうに弾いていて、頼もしい相方です。

Sakurashimeji

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ツアー情報

Sakurashimeji Live House Tour 2024 心音

  • 2024年11月24日(日)東京都 UNIT
  • 2024年12月5日(木)愛知県 ElectricLadyLand
  • 2024年12月6日(金)大阪府 Shangri-La
  • 2024年12月8日(日)福岡県 LIVEHOUSE OP's
  • 2024年12月14日(土)東京都 渋谷ストリームホール

プロフィール

Sakurashimeji(サクラシメジ)

田中雅功、髙田彪我によるギターデュオ。2014年6月にガク&ヒョウガとして結成され、11月にユニット名を「さくらしめじ」として1stシングル「いくじなし / きのうのゆめ」をライブ会場限定で発表。2015年3月に同作が全国流通盤としてリリースされる。2017年3月に初のミニアルバム「さくら〆じ」をリリースし、2017年8月にはTBS系アニメ「トミカハイパーレスキュー ドライブヘッド~機動救急警察~」のエンディング主題歌を表題曲とするシングル「あやまリズム」を発売した。2018年4月に初のフルアルバム「ハルシメジ」をリリースし、7月には日比谷野外大音楽堂でワンマンライブを開催。2020年3月には2ndアルバム「改めまして、さくらしめじと申します。」をリリースした。田中は2020年に「プリ小説 byGMO」で小説家デビュー、髙田は2021年にNHK連続テレビ小説「おかえりモネ」にレギュラー出演するなど、音楽活動以外でもそれぞれの才能を発揮している。2023年10月には3rdアルバム「ゆくえ」を発表。結成10周年を迎えた2024年、8月に「明日を」を配信リリース。同時にアーティスト名表記を「さくらしめじ」から「Sakurashimeji」に変更した。