さくらしめじ|“5年目の自己紹介”に込めた思い 2人の青春は新たなステージへ

さくらしめじが3月4日に2ndアルバム「改めまして、さくらしめじと申します。」をリリースする。

2018年11月発売の「うたはつづくよどこまでも」以来約1年半ぶりのCD作品、フルアルバムとしては2018年4月の「ハルシメジ」以来約2年ぶりとなる今回の作品は、結成5周年イヤーの集大成として作られたメモリアルな1枚。高校生活を終え、新たな1歩を踏み出すタイミングで今後の活動の核となるようなアルバムを作るべく、作詞作曲含め2人が一から制作に携わった13曲が収められる。

音楽ナタリーでは田中雅功と髙田彪我の2人にインタビューし、今作に込めたメッセージや楽曲制作のエピソード、高校卒業を控えて、音楽活動に抱く思いなどを聞いた。加えて最後のページには、さくらしめじの5年間の活動をニュースと共に振り返る記事も掲載する。

取材・文 / 三橋あずみ 撮影 / 斎藤大嗣

改めまして、さくらしめじと申します!

──今回のアルバムのタイトルが「改めまして、さくらしめじと申します。」という自己紹介の言葉になっていますが、なぜ……。

田中雅功 はい、その前にひと言いいでしょうか? 改めまして……。

さくらしめじ さくらしめじと申します!

──(笑)。いつもお世話になっております!

田中雅功

雅功 って(笑)、今のがアルバムタイトルなのですが。今回のアルバムを出すタイミングは、僕らが高校を卒業して大人への第一歩を歩むタイミングということで。さくらしめじとして、アーティストとしてもっと上に行けるように、僕らの代表となるような……これからの核となるような1枚を作ろうという気合いを込めて、このタイトルにしたんです。

──そうだったんですね。確かに今は結成5周年イヤーでもあるし、すごく節目のタイミングですよね。

髙田彪我 そうなんです。なのでいろんな思いが詰め込まれた、大切な1枚になったんじゃないかなと思います!

雅功 ほとんどの曲の制作に自分たちが携わっているし、やはり一から作ったからこそ感じる手応えがあって、前回のアルバム(2018年4月「ハルシメジ」)とは違った感覚があります。

──CDリリースで言うと2018年11月(「うたはつづくよどこまでも」)以来ですが、それ以降も配信リリースやライブでの新曲披露を重ねていたから、1stアルバム以降のさくらしめじの総まとめ的な感じもしますよね(参照:さくらしめじ「ハルシメジ」特集)。

雅功 そうですね。もちろん新曲もあるんですが、リード曲の「合言葉」を筆頭に、今までの僕たちが溜め込んできたものを一気に解放する作品にもなったと思います。

──「ハルシメジ」以降の2年間で、さくらしめじとして表現する音楽のジャンルや音色、ボーカルの幅もすごく広がりましたよね。

彪我 そうですね。すごく広がったと思います。

雅功 あと、それこそこれまでは、既存の曲をどう歌うか、どう表現するかみたいな部分を考えていたんですけど、今回のアルバムに入っている曲は「僕たちはこういう表現をしたいから、こういう曲にしよう」というふうに、自分たちが最初に発信する側に立って作ったんです。これは1stアルバムとはまったく違う部分だと思います。

彪我 作詞作曲から最後の調節の部分まで携わったのは、今回が初めてだったんです。“自分たち発信”というところは強く表現されているかなと思います。

雅功 1曲1曲、かなりこだわったよね? マスタリングまでずっと……。

彪我 そうだね。

雅功 ホントに、絶対聴いてほしいです……!

何を表現したいのかがより具体的になった

──ではまず新曲以外の収録曲で、2人にとって特に挑戦的だったと思う曲はありますか?

髙田彪我

彪我 僕は「My Sunshine」です。これは四つ打ちのリズムの中でそれぞれ違うリズムを取りながらギターを弾く、とても力強い印象の曲で。この感じは今までなかったので、皆さんの反応は楽しみでもあり、ドキドキでもあり……という感じでした。

──今や、ライブの大切な場面で歌われる曲になっていますよね。

彪我 そうですね。曲調はそれまでのさくらしめじの雰囲気とは違うけど、「夜が明けたらまた朝日が君を照らすんだ」というメッセージは、さくらしめじがずっと伝えてきた、伝えたい思いと一致していると思うので。この曲も本当に大切な曲です。

雅功 僕は「同じ雲の下」かな。この曲は僕たちの気持ちを思い切り曲にぶつけようというところから作り始めた曲だったのですが、この曲がきっかけで曲を作るときの思いのぶつけ方じゃないですけど……自分たちが何を伝えたいか、何を表現したいのかが、それまでよりも具体的になったなという感覚があって。

彪我 うん。

雅功 当時、一番思いをぶつけられた感覚があったんです。曲に対する向き合い方が変わった瞬間だったし、僕的には挑戦の曲だったと思います。

中途半端な僕らだから

──1曲目の「風とあるがままに今を歩こう」は2人で作った新曲ですが、この曲はどういった経緯で制作されたんですか?

雅功 このアルバム、最初は12曲入りの予定だったんです。12曲を並べたときに、このアルバムの核というか、骨格を作ってくれるような曲を最初に持ってきたいなと思って、“空欄の1曲目”を置いたのが始まりでした。この曲は、作家さんと一緒にブースに入って、ギターを鳴らしてピアノを鳴らして歌ってパソコンを使って……という作業を初めてしながら作った曲で。イメージ自体は、もともと僕らの中にあったんだよね。

彪我 そうだね。

雅功 去年の夏に青春をテーマにしたツアー(「ドッ!菌!青春18本ツアー」)をやったんですけど、そのときに「この楽しい時間って今しかないんだな」って思ったんです。今って今しかないんだなと思ったらその瞬間を大事にしたいし、そうやって感じてる人って、きっと同世代にもたくさんいると思うんです。僕らの世代って大学進学とか就職とかいろいろなことがあって、「これからが不安だな」と思っている人もいると思うけど……結局、僕らにあるのは今だけだから。怖いこともあるけど、とりあえず今を生きよう、がんばろうという思いを込めて、この曲を作りました(参照:さくらしめじの青春とは?“最後の夏休み”駆け抜けたツアーで雅功と彪我が見つけた答え)。

彪我 雅功も言っていたように、この曲は作家さんと話し合いつつ作詞作曲したんですけど、特に作詞の面で作家さんは僕らの悩みに的確なアドバイスをくれて、ボキャブラリーの豊富さも含めてめちゃくちゃ勉強になりました。“今”をテーマに歌っている曲なんですけど、完成したものを聴くと「歌う年齢やタイミングによって違った印象や思いが生まれる曲になるんじゃないかな」と思えて。これからライブで歌っていくのがすごく楽しみな曲なんです。

さくらしめじ

──作詞の面で特にこだわった部分などはありますか?

彪我 書いたものを1回全部崩して、書き直して……という作業をけっこうやったよね。

雅功 うん。

彪我 Aメロ1つ取っても、歌詞が違うものが4パターンくらいできました。その中でまた組み立て直して……という作業をしていったので、もう全部思い入れがあるんですけど(笑)、僕が気に入っている歌詞は「中途半端な僕らだから感じられることもあるのかな」っていうところと、ラストサビの「中途半端な僕らだから 感じられることもあったよね」というところです。この曲の歌詞は季節の流れを意識しているんですが、季節は変わっていくけど自分は自分のままで進んでいくというか。今高校3年生で大人とも子供とも言えない中途半端な僕らだから、季節が変わるだけでも物事の捉え方が変わったりすると思うので、大切にしたい歌詞だなって思います。

──では、歌を入れるときに意識したことは?

雅功 普段僕はライブを想定して歌うんですけど、今回は自分と曲との戦いだったなと思っています。1行1行ちゃんと世界観を表現したいと思って、基本的な歌のスキルアップをちゃんとしようと思って取り組んだのもそうですし、2人で書いた思いを余すことなく歌で表現して届けたいと思いながら歌いました。レコーディング当日まで歌詞を詰めていたので、できたての気持ちを乗せられたんじゃないかなと思います(笑)。

次のページ »
リア充爆発しろ