とにかく駆け抜けるように、とにかくさわやかに

──メロディのイメージは？

「子供たちがサビを覚えやすいように繰り返しを多くしたい」「さわやかな雰囲気にしたい」という思いがありました。「ポケモン」の歌といえばサトシ役の松本梨香さんの歌ったものが印象的ですけど、僕は一生懸命歌っても松本さんのような熱さはどうしても出せないんです。あの熱さは松本さんの素晴らしい才能があるから生まれるものだから僕はそこには遠く及ばない。「じゃあ、僕が出せる別の魅力ってなんだろう？」と思ったときに、さわやかさかなと。だから熱さをはらんださわやかさを表に出せる曲にしたかったんです。

──「ポケモン」が好きで、松本さんをリスペクトするからこそ、違う方向を目指す必要があった。

そうですね。こういう言い方はなんですけど、同じものを作っても勝てるはずがないので、僕なりの応援ソングを作ったつもりです。

──ちょっと話がそれちゃうんですけど「ポケモン」の主題歌をはじめ、アニソンって観ている子供たちも一緒になって歌うものですよね。

確かにそうですね。

──佐香さんからそういう子たちに「ゲッタバンバン」を歌うときのアドバイスってあります？

“駆け抜ける”ように歌ってみてください。Aメロの「進め、進め！ 考えてちゃ遅いから」の部分からとにかく軽やかに。この曲のサビのメロディって少しオシャレな感じだったりするんですよ。「まだ見ぬ未来へ」のところとか、半音上がって、半音下がったりして。だから少し歌いづらいかもしれないですけど、ここもAメロからの勢いのままに歌えば、小さい子たちもちゃんとクリアできると思います。とにかく駆け抜けるように、そしてさわやかに歌ってほしいですね。

「ポケモン」の先に見える佐香智久の姿

──カップリングの「キラキラ」もポケモン関係なんですよね？

「ポケットモンスター XY」でサトシと一緒に冒険している、シトロンのテーマ曲ですね。実は主題歌のお話をいただく前から、勝手に「ポケモン」をイメージした曲を書いていて。今回、その曲をアニメのスタッフさんに聴いてもらったら「ぜひシトロンのテーマにしてほしい」という話をいただいて、歌詞も書き下ろすことになりました。

──それはファン冥利につきますね。ご自分の作品愛が届いたわけですから。作品と幸福な出会いをされているんだなという気がします。

そうなんですよね。本当に光栄なことだと思ってます。

──そして通常盤にはもう1曲、「everyday」という曲も入りますね。

シングルのリリースが4月29日なので、新しく始まった生活の中で奮闘している、戦っている人たちに向けて少しでも僕の歌でできることがないかな？と思って作った曲ですね。みんなの繰り返される毎日、“everyday”に寄り添えるような音楽になったらいいなと思ってます。

──シングルリリースのあとにはツアーも控えていますが、どういうツアーになりそうですか？

今回「ポケモン」という大きなタイトルに関わらせていただいたことをちゃんとフィードバックできるツアーにしたいし、「ポケモン」と僕のこれからの音楽活動がどうやってつながっていくのか、自分でも楽しみにしています。あと、ずっと新曲製作をしているんですけど、それを初めてお見せできる舞台がこのツアーになるのかな、とも思います。これまで以上に自分が持てるすべてを昇華させて、魅せられる最高の舞台にしたいですね。「ポケモン」で初めて僕のことを知ってくださった方、このインタビューで知ってくださった方にも楽しんでもらえるようなライブにします！

アニメファンだから作りたい音楽

──「ポケモン」の主題歌を歌うという大きな夢を1つ叶えた今の目標って？

「ゲッタバンバン」を聴いてくれる子供たち、僕と同じ年代の人、年上の人たち……それぞれの立場にある人たちが、それぞれの今を駆け抜けてほしい。そういう気持ちを伝えられる歌をこれからも歌いたいなと思っています。あと僕、アニメがホントに好きなんですよ。「ポケモン」はもちろんなんですけど、そのほかの夕方放送しているメジャーな作品から、僕も含めて観ているみんながブヒブヒ萌えてるような深夜アニメまで（笑）。

──（笑）。

で、中でも特に好きなのがアニメ映画なんですね。新海誠さんの作品とか、細田守さんの作品とか。そういうアニメーション映画の主題歌も歌ってみたいなと思います。僕自身、これまでに観てきたアニメ映画の主題歌は、その1つひとつがとても心に残ってますから。