斉藤朱夏|1stシングルで歌う、真っすぐなラブソング

“応援”ってなんだろう?

──36℃盤と通常盤に収録されているカップリング曲「ハイタッチ」はファンファーレのようなブラスから始まる応援歌になっています。資料によると“応援”というテーマは斉藤さんの案だそうですが、これはどういう思いから?

1stシングルの収録曲を考えていく中で、ラブソング、ライブで盛り上がる曲、あとは人を応援する楽曲を作りたいなと。なんでそう思ったのかというと、そのときOfficial髭男dismさんの「宿命」を聴いていて、すごく素敵な曲だなと思ったんです。私も誰かを応援したいなって。

──「宿命」にインスパイアされたんですね。

もともと歌を通して人の背中を押したり、生きていくためのお手伝いができたらいいなという気持ちがあったから、そういう思いがあるんだったら歌にしたいなと思ったんです。それで「応援の曲を作りたいです」と言ったら、ケイさんがすごく悩んでました(笑)。

──ケイさんによる「ハイタッチ」のライナーノーツには、誰かを応援することに苦手意識があったことが書かれていますね。「誰かを励ますときにどんな言葉をかければいいかとても迷ってしまいます」と。

ケイさんにそういうことを言われて、確かに「応援ってなんだろう?」とすごく考えたんですよ。

──いろんな応援の仕方がありますからね。

そうなんです。「がんばれ」だったり「がんばらなくていい」だったり、いっぱい応援の形があるからこそ、どういう応援歌にしようかなと。この曲も私がメモを書いてケイさんに渡して、それをもとにたくさん悩みながら書いてもらいました。

後ろから見守る応援歌

──世の中、「私が付いているよ」と相手に寄り添ったり、「一緒に行こう」と前に向かって引っ張っていくような応援歌がたくさんある中で、この曲は「もうひとりで平気だね」とハイタッチで相手を送り出す応援歌になりました。その人を信頼しているからこそできることですよね。

メモの時点で“僕は後ろでしっかりと見守ってるよ”というようなことを書いていましたね。その人ががんばってる姿を近くで見てきたからこそ、隣で「がんばれ」と言葉をかけるよりも、“君”のがんばりを理解したうえで、その先どうするかを応援することが一番大切だなと思ったんです。その人の人生はその人が決めるものだし、私が決めるわけじゃない。でも後ろにはいるし、何かあったら振り向いてもいいよという。そういう私の価値観が反映された応援歌になっていると思います。

──メモには“ハイタッチ”という言葉を書いていたんですか?

書いてました! 私は人を応援するときに何をするかなと考えたときに、ハイタッチとか、まず手を使うなと思ったんですよ。いろんなことができる手ってすごく大切ですよね。「やったー!」ってハイタッチしたり、「初めまして」って握手したり。この曲はケイさんがそんな手に視点を置いてイメージを膨らませていってくれました。

──手と手を合わせるハイタッチというのは、日頃から人とのつながりを大切にしている斉藤さんならではの視点だと思いました。

大人になるとハイタッチをする機会は少ないと思うんですが、私は人との距離感がすごく近いんですよ。友達と街に行ったりすると、はぐれないように腕を組んで歩くくらい(笑)。昔からダンスの発表会が終わったあととかに「イェーイ!」ってハイタッチをしていた記憶があるし、今でもライブが終わったらみんなとハイタッチをする機会が多いです。

──そしてこの曲では「未来に向けた いつまでも消えない約束」と約束を交わして相手を送り出していますね。

私が応援される立場だったら、応援してくれる人との未来の約束があったらすごくうれしいなって。未来に何か約束や目標があれば、それに向かって前進できると思うから。私の視点と、人を応援することが苦手なケイさんの優しさが合わさってできた曲ですね。

斉藤朱夏

悪ノリで作られた「しゅしゅしゅ」

──期間生産限定盤に収録されている「しゅしゅしゅ」はアップテンポのポップチューンです。サビで「しゅしゅしゅ」と歌う、かなりユニークでハジけた1曲になっていますね。

これは「ライブでタオルを回して盛り上がれるような曲がほしいね」とスタッフさんたちと話して生まれた曲なんですけど、その話し合いの中で斉藤朱夏の「しゅ」というワードが出てきて。それでどういうわけかスタッフさんが「『しゅしゅしゅ』みたいな曲作ればいいんじゃない?」ってノリで言ったら、そのままタイトルにも歌詞にもなったという。完全に悪ノリで作られた楽曲でございます(笑)。

──「パパパ」と「しゅしゅしゅ」(笑)。

デビューミニアルバムで疲れたわけじゃないですよ?(笑) 改めてタイトルだけ見ると、インパクトありますよねえ。

──でも言葉で遊んでいるだけではなくて、悩みなんて宇宙規模で考えたら大したことじゃないということが書かれた、しっかりと意味のある内容になっていると思います。聴いた人の心が軽くなるんじゃないでしょうか。

そうですね。ケイさんに「今考えてることって宇宙に比べたらちっぽけだよね」と言われて、「ああ、確かにそうだな」と。レコーディングでは何も考えないで、ただ楽しんで歌ったんですけどね(笑)。この曲は考えて歌ったらダメだなと思って。めっちゃ楽しいレコーディングでした。

──サウンドのほうも、跳ねるような鍵盤や突然入ってくる歪んだギターの音がにぎやかで面白いですね。

「しゅしゅしゅ」というぶっ飛んだタイトルの曲なのに、メロディとアレンジがすごくおしゃれだなと思って。私、この曲大好きなんですよ。これからどんどんライブでやっていきたいです!

──3月には東名阪Zeppツアーが決まっていますね。

詳しい内容はまだ全然決まっていないんですけど、この1stシングルを携えて東名阪を回らせていただきます。まさかデビューしてこんなにすぐZeppツアーをやらせてもらえるとは思っていなかったので、びっくりしていて。初めてのワンマンライブで私のパフォーマンスを観たいと言ってくれる方がたくさんいたから実現できることだと思います(参照:斉藤朱夏、信頼するファンに素顔見せた初のワンマンライブ)。本当にありがたいですよね。

──少し先にはなりますが、どういうツアーにしたいですか?

会場が大きくなるぶん、いろんな人に観てもらえると思うから、初めてソロアーティストとしての斉藤朱夏に触れる人にも楽しんでいただけるようなツアーにしたいな。3月って寂しい気持ちになったり不安になったりする時期だと思うから、私のライブでそういうものが吹っ飛んでくれたら、すごくうれしいなと思います。

ツアー情報

斉藤朱夏「朱演 2020『タイトル未定』」
  • 2020年3月8日(日)大阪府 Zepp Osaka Bayside
  • 2020年3月18日(水)愛知県 Zepp Nagoya
  • 2020年3月21日(土)東京都 Zepp Tokyo