「体操みたいじゃない?」
横山 こんなこと聞いていいのかわかんないですけど……私は音楽を聴くとき、1曲いいなと思うとそれしか聴かなくなっちゃうんです。お二人はいろんな曲をご存知だと思うんですけど、新しい曲に出会う方法を教えてください。
清浦 私は仕事でラジオをやっていたこともあって、新譜をよく聴くようにしていたら習慣化しちゃったんです。沖井さんは実郁ちゃんと同じように大好きなものをずっとずっと聴いてるから、最近は私が教えたりしてる(笑)。メンバーそれぞれ好きな音楽を教えあったりとか。
沖井 「最近どんな曲聴いてる?」を挨拶代わりにするのもいいかもね。Cymbals(沖井が土岐麻子、矢野博康と共に1997~2003年に活動していたバンド)はそうだったな。会うとだいたい「今どんなの聴いてるの?」から話が始まってた。いわゆるポップスとして世の中に流れているものだけじゃなく、CM音楽とか映画音楽とかゲームミュージックとか。いい音楽ってそこらじゅうにあるから、聴き逃さないようにしているし、気になったらすぐ調べてる。そこは逃さないようにしているかな。お店で流れている音楽からヒントを得ることはけっこうあるから。
佐藤 私はお悩み相談なんですけど、リズム感を鍛えるにはどうしたらいいですか?
清浦 それは私たちも……。
沖井 最近気付いたんですけど、レコーディングのときってクリックが鳴ってるじゃないですか。僕はあれ聴いてない。
佐藤 えっ?
清浦 聴いてください(笑)。
沖井 無意識にキューボックスのクリック音量を下げてる。「青空シグナル」でもドラムを叩いているゲンちゃん(原“GEN”秀樹)はすごくクリックを聴いているけれども、それ以上に歌を聴いているドラマーなんですよ。だから彼は歌がないとリズムが悪くなる。リズムに合わせて歌おうとするよりは、曲の中の気持ちいい抑揚を探して、それが体に入ってきたら、それは曲のリズムがつかめているということだと思うんですよ。ジャストなのがすべていいリズムではないので。
清浦 ここはもったりしたほうがいいムードが出る、とかありますもんね。
沖井 それを「もったりさせよう」と思ってやるんじゃなく、気持ちよくやったらもったりするところを見つける、ということなんじゃないかな。
──アイドルだと歌のリズムに加えてダンスのリズムもあるから、一定のテンポというのをより意識する必要があるのかもしれないですね。ダンスにも4人それぞれのズレが生むグルーヴがきっとあると思いますけど。
清浦 そっかー。4人で歌うから、ある程度合わせていくということも意識しているのかな。私はソロで伸び伸び歌っているから、あまり考えてないですね。4人で合わせる作業ってどんなふうにやるんですか?
宇野 前は「腕の角度は45度」とかキッチリ決めてたんですけど、「体操みたいじゃない?」って言われて(笑)。
五十嵐 パシッ、パシッ、って動きが硬くなっちゃうので、最近はダンスを柔らかく見せるためにフリーの部分、好きなように踊る振りも多くなりました。
佐藤 新しいダンスの先生が、1人ひとりの得意な部分、個性が出るところを増やしていこうと言ってくださって、そこから少しずつ変わってきました。
どんな大人になりたい?
清浦 みんなはどんな大人になりたいですか? すごく考えるんですよ。清浦先輩27歳、どんな三十代を迎えようかとすごく考えていて……。いち女性として聞きたいです。
横山 私は周りをちゃんと見て気の使える大人になりたいです。
清浦 全然できてるよ今(笑)。
横山 自分のことで精一杯になってしまうことがたくさんあるので……大人な大人? 素敵な大人になりたいです。
沖井 それに今気付いている時点で僕よりもちゃんとしてる(笑)。
五十嵐 私は女性に憧れられる女性になりたいです。もっと女性のファンが増えたらいいなって。
沖井 大事なことですよね。アイドルって男の人にかわいいなと思われることも大事ですけど、女の子がアイドルを見て感じる「キラキラしてる」という思いは、男性にはわからないものだと思うんですよ。
宇野 私は……毎日楽しく生きる大人になりたいです。
沖井 大事大事。とっても大事。それができなくなってくる大人はたくさんいるので。
清浦 目に光がなくなっていくんですよ(笑)。
佐藤 私は心にゆとりがある大人の女性になりたいです。いっぱいいっぱいになっちゃうと周りは見えなくなるし、思いやりの気持ちも薄くなっちゃうと思うんですよ。常に心にゆとりを持って生きていきたいと思います。
沖井 ゆとりって自信から来るものだけど、自信を持つのってすごく難しくて。自分で言い聞かせるだけでもダメで。とにかくがんばるしかないんですよ。ここまでがんばったから大丈夫だと言い切れるまでがんばる。そうなるためには何が必要かって、楽しむこと。楽しめないことはがんばれないから。僕もがんばります。
清浦 いろいろとハッとさせられますね、今日は。
沖井 来てよかったあ。
- RYUTist「青空シグナル」
- 2018年5月15日発売 / PENGUIN DISC
-
[CD] 1080円
PGDC-0007
- 収録曲
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- 青空シグナル[作詞:清浦夏実 / 作・編曲:沖井礼二]
- 無重力ファンタジア[作詞:清浦夏実 / 作・編曲:ikkubaru]
- 青空シグナル(Minus RYUTist)
- 無重力ファンタジア(Minus RYUTist)
- RYUTist HOME LIVE
~7th Anniversary Live~ -
- 2018年8月18日(土)新潟県 NIIGATA LOTS
- RYUTist(リューティスト)
- 新潟県新潟市在住の佐藤乃々子、宇野友恵、五十嵐夢羽、横山実郁からなる4人組アイドルグループ。2011年5月の結成以来、新潟を拠点に精力的な活動を行っている。結成当初は5人で活動していたが、2012年11月に木村優里が卒業。2016年4月には大石若奈の卒業を受け、それまでソロで活動していた横山が加入し、現在の4人体制となった。2012年4月にデビューシングル「RYUTist! ~新しいHOME~」を発表。以降も自主レーベルよりコンスタントに作品を発表し、2015年8月には1stアルバム「RYUTist HOME LIVE」、2016年8月には2ndアルバム「日本海夕日ライン」をリリースした。2017年8月にタワーレコード内のレーベル・PENGUIN DISCより3rdアルバム「柳都芸妓」を発売。2018年1月にはPENGUIN DISCのレーベルメイトであるハコイリ♡ムスメとのコラボユニット・柳♡箱として、シングル「ともだち」を発表した。同年5月にはニューシングル「青空シグナル」をリリース。8月には地元新潟のライブハウス・NIIGATA LOTSで結成7周年を記念したワンマンライブ「RYUTist HOME LIVE ~7th Anniversary Live~」を行う。
- TWEEDEES(トゥイーディーズ)
- シンガー清浦夏実と作曲家・音楽プロデューサー沖井礼二によるバンド。2015年1月にバンド結成を発表し、同時にオリジナル楽曲「KLING! KLANG!!」を配信限定シングルとしてリリースした。同年2月には東京・Future SEVENにて初ライブ「TWEEDEES Premium Show」を行い、3月に1stアルバム「The Sound Sounds.」を発表。その後は自主企画イベントや音楽フェスなどへの出演を重ねる。11月には初のシングル「Winter's Day e.p.」をアナログ7inchで発表。同時に1stアルバム「The Sound Sounds.」のアナログ盤も発売された。2016年7月に2ndアルバム「The Second Time Around」、2017年6月にミニアルバム「a la mode」をリリース。沖井は作・編曲、清浦は作詞で、RYUTistや星野みちる、尾崎由香といった外部アーティストへの楽曲提供も積極的に行っている。