もう怖いものはないですね
──サウンドも前作に続いて1990年代感のあるものに仕上がりましたね。
歌を出させていただくにあたって、やりたいことは100個ぐらいあったんです。その中でも大好きな80年代、90年代感のあるサウンドは軸としてあったから、まず1曲目に「Hands up!!~」を発表して。本当は2曲目のアプローチは全然違うものにしようと思っていたんですね。「Link」のアイディアは100個のうちに入っていなかったから。
──なるほど。
なんですけど、やっぱり自分の実体験からくる思いをリアルタイムで届けられる機会って、そうそうないなと思って。想像して書くんじゃなくて、リアルで起きてることを歌にできたので、しっかり中身のある歌になったかなって思います。正直、90年代のサウンドってマニアックだし、みんなが入って来やすいものではないと思うんです。でもそこに1曲目から挑戦できたことは、今思うとすごくよかったなって。最初にあそこまでこだわって作れたから、もう怖いものはないですね。
──レコーディングはリンクくんの誕生前にされたんですか?
レコーディングは生まれる前で、ミュージックビデオは生まれたあとの撮影でした。前作は「こういう歌い方が曲に合うかも」と楽曲に合わせて考えながらやったんですけど、「Link」はやっぱりどうしても“パパな気持ち”で歌う感じでしたね。でも、子供のことだけじゃなく、パートナーと出会えた喜びを見つめ直せる曲でもあると思うし、親の愛情にも気付かせてくれる曲だと思うから、みんなにも自分の経験と重ね合わせて聴いてほしいです。
仕事に対する考え方がすごく変わった
──今回のMVの舞台は、お二人がベビーシャワーを行った際の装飾をモチーフに作られたそうですね。監督は話題のDA PUMP「U.S.A.」のMVを手がけた多田卓也さん。交際当時からのプライベート写真約200点が飾られた背景が印象的でした。
付き合い始めた日から、テレビに出る前、出たあと、結婚発表したとき、結婚式、新婚旅行、今までの流れがすべて詰まっていて。改めて写真を見てウルウルしました。
──映像についても具体的な提案はされたんですか?
はい。青を基調としたセットとか、僕とダンサーさんのスーツも青にこだわって。ステージのデザインもちょっと昔っぽいんです。あとは今回、とにかくダンスが大変でした(笑)。「Hands up!!~」のときは全体の世界観を楽しんでほしかったから、振りも80年代のジャズダンスっぽい感じでやりやすかったんですけど、「Link」はメッセージ性のある曲なので振りが細かくて。レッスンが超大変でした。
──ベビーベッドを覗き込むシーンなど、RYUCHELLさんの優しい表情も印象的で。しっかりメッセージの伝わるMVになっていると思います。
よかった。今回はリンクに伝えたいことがたくさんあったから、僕の表情をメインに撮ってもらうことにもこだわったんです。
──先ほど「MVは誕生後に撮影した」とおっしゃっていましたが、実際にお子さんが生まれてからの変化はありますか?
仕事に対する考え方がすごく変わりましたね。とにかく、いろんなことに対して「まずはやってみよう」と思えるようになった。出産にも立ち会ったからこそ、初めて抱っこしたときは本当にリンクもぺこりんもがんばってくれたなって。ぺこりんのことを改めて大好きになった日でもあったし、ずっと二人でいろんなことを乗り越えて愛を育んできた中に、かわいいかわいい赤ちゃんが僕たちを選んでやってきてくれて……こんなに愛おしい存在ってあるんだなと思いました。「僕はこの子のためにがんばっていかなきゃいけない」って。
──父親としてしっかりしたところを見せていこうと。
いろいろ言ってくる人がいても、自分を曲げずに信念を貫いている姿を背中で見せてあげたいですね。やっぱりリンクには自分をしっかり持った子になってほしいので。
3作目はレゲエソング?
──逆に大変ではないですか? 世間の人々にとって、お手本になるパパにならなければいけないという使命感も生まれてしまって。
あはは! うーん、使命感と言うよりは、伝えたいことをちゃんと伝えられている喜びのほうが大きいです。「Link」の歌詞に「ありのままの自分を選び 僕は 愛を見つけたんだ」とあるんですけど、それって勇気がいるし、なかなかできないことだと思うんです。でも、僕は実際にそうやってしっかり愛してくれる人と出会えたから、みんなにもまずは挑戦してほしいなって。
──音楽でそういった思いが伝えられるのはいいですね。
僕もそう思います。やっぱりバラエティ番組とかだとなかなか伝えられないし、SNSにも限りがあるんですけど、歌は作品だし、残るものだから。
──ちなみに今作ではラップにも挑戦されていますが、やってみていかがでした?
そこまで難しくはなかったんですけど、ラップがあると思ってなかったので「えっ、ウケる!」って(笑)。メリハリがあって面白いし、ラップ部分の歌詞にもこだわらせてもらったので、中身のあるラップになったんじゃないかなと思います。「my baby」とか、かわいらしい感じも入れられたし。
──ライブで披露する際にはコール&レスポンスもできそうですね。前回の取材時も伺いましたが、この曲を聴かれたぺこさんの反応は?
初めて聴かせた時、大号泣して「ほんまやばい!」「早くみんなに聴いてほしいね」って言ってくれました。僕自身「Hands up !!~」のときは正直不安な気持ちもあったんですけど、「Link」は早くみんなに聞いてほしいなって素直に思います。僕もこの曲と“出会えた”っていう意識がすごくあるので。これに続く曲のアイデアも、どんどん膨らんでいます。これまで自分のプライベートを曲として出すつもりはなかったけど、やっぱりリアルな経験から生まれるものはみんなに届きやすいんだなと気付かせてくれた曲でもあるので、例えば友達の歌だったら友達をMVに出してもいいんじゃないかとか。自分の中の枠が広がりました。
──ラッパーは実生活で起きたリアルを歌うし、友達や仲間をMVに出演させることも多いですよね。
昔からレゲエが好きでよく聴くんですけど、なんで好きかって言ったらやっぱり実体験を歌う人が多いからだなって。それもリンクに出会わなかったら、たぶん思わなかったことですよね。
──次回作も楽しみにさせていただきます。次のシングルはレゲエナンバーがくるかもしれない。
あはは(笑)。どうだろう? がんばります!