音楽ナタリー Power Push - 青龍「AO-∞」対談

Ryu☆×sampling masters MEGA、sampling masters AYA

青龍の原点となった2人との邂逅

「少し斜め上を行く」ボス曲を

──青龍名義の楽曲は「BEMANI」シリーズの“ボス曲”としてゲームに収録されることが多いのですが、ボス曲のように重要な局面で使われるような曲を作るときに意識していることってありますか?

Ryu☆

Ryu☆ 僕は「お祭りにできるかどうか」っていうのをいつも意識しています。具体的に言うと、Twitterでつぶやきたくなってしまう要素を組み込むって感じですね。例えば声ネタが個性的だったり、それこそ難易度がメチャクチャ高いとか。僕、マンガの「レベルE」に出てくる「少し斜め上を行く」って言葉が好きなんですよね。ただ予想通りではなく、「ああ、こうきたか! でもいいね」っていうところを狙いたいんです。ボス曲では特にその要素をどう盛り込むかを考えますね。

AYA ゲーム音楽をやってるとボス曲ってけっこう大変なんですよね。例えばオーダーシートに「派手に」「もっと派手に」「もっともっと派手に」とか書かれていて(笑)。「もう派手なのはいいよ、普通の曲作らせてよー」って思うときがあります。

MEGA ゲームの展開に合わせてどんどん派手さが要求されるから、最初から派手な曲を書いちゃうと「もうこれ以上派手にできない」ってなるからね。あと「BEMANI」の曲で言うと、どれくらい休み時間を許容できるか、みたいなところは考えますね。

Ryu☆ なるほど。2分の中に休める部分って必要ですからね。

MEGA うん。ボス曲だから難しいのは当然なんだけど、ずっと難しいと疲れちゃうから休めるポイントも用意しておく。

sampling masters AYA

Ryu☆ 難しさはありつつ、適度に気持ちよさ、プレイしたときの楽しさを用意しないといけませんからね。

AYA そうそう。ゲームとしてプレイして楽しいのが前提で、曲としてもちゃんと成立しているっていうのが一番理想的ですよね。

末恐ろしい若者たち

──「AO-∞」には、かめりあさんやBlackYさんといったRyu☆さんより下の世代のクリエイターとのコラボ曲も収録されています。Ryu☆さんは、彼ら若手のクリエイターに対してどういう印象を持っていますか?

Ryu☆ いやあ、ホント末恐ろしいですよ。何より彼らはモチベーションが高いし、仕事が速いんです。

AYA それは私たちと一緒に働いている若者も同じですね。何より仕事が速い。

Ryu☆ インプットして自分のフィルターを通して音として出す。若者はそのスピードがものすごく速いんですよ。腸が短いというか。

一同 (笑)。

sampling masters MEGA

MEGA けっこう難しい曲を淡々と作って出してきますよね。

Ryu☆ そうですね。例えばダブステップっぽい音を作るときのプログラミングってめちゃくちゃ面倒なんですけど、それを軽くやってくるんですよね。しかもいい音で。

MEGA 僕らからしたら、若いクリエイターのやっていることって未知の世界なんですよね。ものすごいどぎついサウンドを飄々と作る人もいますし、クリエイターなのに大きいイベントでステージに立ってお客さんを沸かせることができる人もいる。若い人たちってすごいなあ、おじさんは付いて行けないわって感じ(笑)。

AYA TwitterとかYouTubeとか、いろんなものがあるから、自分の作品をちゃんと外に向けて発信できているのがすごいですよね。自分の見え方とかをちゃんと計算して作品を世に送り出している姿を見ると、こちらとしてはもう「勉強させていただきます!」って感じで(笑)。皆さん自己アピールが上手ですよね。

感謝の気持ちが伝わるようなパーティに

──3月18日に東京・新木場STUDIO COASTで、Ryu☆さんをはじめとする「BEMANI」シリーズに縁のあるアーティストが多数出演するイベント「EDP×beatnation summit 2017 -beatnation 10th Anniversary-」が開催されます。イベントに出演するRyu☆さんの意気込みはどうですか?

Ryu☆ 音ゲー系の音楽が流れるイベントって、全国各所でチラホラあるんですけど、その中でも「『EDP』は最高峰ですよ」っていうのをしっかり見せられればと思っています。ぜひMEGAさんとAYAさんもお越しください。

AYA 私たちが知ってる人もいますかね?

Ryu☆ あ、大丈夫です。それこそ僕より上の世代の方も出演しますから。きっとMEGAさんやAYAさんが知ってる曲もたくさんかかりますよ。

──昨年は「BEMANI」シリーズの楽曲が150曲以上披露されましたからね(参照:「EDP」でBEMANIシリーズ150曲披露、音ゲーファン歓喜の1日)。新旧問わず、さまざまな楽曲がかかるのもこのイベントの強みだと思います。

Ryu☆ そうですね。特に今年は「BEMANI」20周年、beatnation Recordsが10周年なので、お客さんたちにも感謝の気持ちが伝わるようなパーティにしたいなと思っていて。本当ならMEGAさん、AYAさんにも出てほしいくらいです(笑)。

MEGA 僕らも「BEMANI」シリーズにはお世話になりましたから、当日は会場でお祝いしたいですね。

Ryu☆ ぜひぜひお越しください。観応えのあるイベントにしてみせますから。

※「リッジレーサー」「F/A」「ドラゴンスピリット」「余命検索サービス X-DAY」は旧ナムコ、現バンダイナムコエンターテインメントの製品です。

青龍 ニューアルバム「AO-∞」 2017年3月1日発売 / 2700円 / EXIT TUNES / QWCE-90007
「AO-∞」
収録曲
  1. AO-1(AO-∞MIX) / 電龍
  2. VOX RUSH / 青龍×sampling masters MEGA & sampling masters AYA
  3. Eclipse Zero(AO-∞MIX) / tūmahaB
  4. 3!dolon Forc3 / 青龍×Eagle
  5. 檄(AO-∞MIX) / Ryu☆ feat. 青龍
  6. 256*256 / 青龍×t+pazolite
  7. Ultra Funktion(Ryu☆ VS 青龍 Remix) / lapix
  8. Castle on the Moon(AO-∞MIX) / 青龍
  9. Genesis at Oasis(AO-∞MIX) / 白龍
  10. STARLiGHT(AO-∞MIX) / 星龍
  11. AO-0 / 青龍
  12. 8a55 / 青龍
  13. Deus ex Machina / 青龍×BlackY
  14. Dimension Sword / 白龍
  15. ra'am(AO-∞MIX) / 雷龍
  16. 3y3s(かめりあ's "0p3n Ur 3y3s" remix) / 青龍 remixed by かめりあ as "BLUE TURTLE"
  17. Girl on Data / 青龍×E.G.G.
  18. MOONLiGHT(AO-∞MIX) / 月龍
  19. Rave*it! Rave*it!(AO-∞MIX) / 機龍
  20. AO-∞ / 青龍

青龍×ナタリーストア コラボグッズ販売中

EDP×beatnation summit 2017
beatnation 10th Anniversary-

2017年3月18日(土)
東京都 新木場STUDIO COAST
OPEN 14:30 / START 15:30

Ryu☆(リュウ)
Ryu☆

男性トラックメーカー。2000年、KONAMIの音楽ゲーム「beatmania IIDX 3rd style」の公募に送った楽曲が同ゲームに採用され、以来「beatmania」シリーズの主力クリエイターとして活躍。2009年にRyu☆名義の1stアルバム「starmine」を発表して以来、ゲームのサントラを多数手がけている。またその一方でトラックメーカーStarving Trancerとプロデューサーユニット、Another Infinityを結成。「beatmania」シリーズに楽曲を提供するほか、女性ボーカリストDaisy×Daisyの歌うテレビアニメ「FAIRY TAIL」のオープニングテーマ「永久のキズナ」を制作し、Another Infinity feat. Mayumi Morinaga名義でアニメ「ゆゆ式」エンディングテーマ「Affection」を発表した。2016年2月、ベストアルバムとして「Ryu☆BEST -STARLiGHT-」「Ryu☆BEST -MOONLiGHT-」の2作品を同時リリース。また同年4月には自身が主宰する新レーベル・EDPを新設した。2017年3月には青龍名義のニューアルバム「AO-∞」を発表した。