音楽ナタリー Power Push - 青龍「AO-∞」対談
Ryu☆×sampling masters MEGA、sampling masters AYA
青龍の原点となった2人との邂逅
青龍×AYA=雷龍
──今作「AO-∞」には、青龍とMEGAさん、AYAさんのコラボ曲「VOX RUSH」が収録されています。このコラボはどういう経緯で?
Ryu☆ もともと「青龍」という名義は「beatmania IIDX 13 DistorteD 」の四神ボスイベント「CARDINAL GATE」の一環として生まれたものだったんですけど、僕はこれまでプレイしてきたゲーム音楽へのリスペクトを入れた楽曲を青龍として発表したいなと思ったんですよ。それで真っ先に思い付いたのが「リッジレーサー」でした。
MEGA・AYA (笑)。
Ryu☆ 「ドラクエ」(「ドラゴンクエスト」)とかほかのゲームへのリスペクトも入ってますけど、主に土台になっているのは間違いなく「リッジレーサー」です。それで青龍として楽曲を発表してみたら、これがユーザーにも好評で。「『リッジレーサー』でMEGAさん、AYAさんから受け継いだハードコアテクノ魂はここに生きてるぞ」って勝手に思っていたんです。
MEGA ありがたいことです。
Ryu☆ もう1つ。青龍だけじゃなくて、雷龍とか機龍とかいろんな名義で楽曲を発表しているんですけど、実はこれの元ネタって「仮面ライダー電王」にあって。
AYA えっ!? 私も「電王」大好きなんです!
Ryu☆ AYAさんが「電王」好きっていうのはうれしいですね。「電王」って主人公に「イマジン」と呼ばれる精神体が憑依して、フォームチェンジをしながら戦うんです。この発想、面白いなと思って、青龍をフォームチェンジさせた姿が「雷龍」「機龍」といった名義で。これらの名義のときは自分がリスぺクトしているアーティストを憑依させているつもりで書くんですけど、「雷龍」のときにイメージしているのがAYAさんなんです。
AYA おー! だから雷龍の曲はレイヴサウンドなんですね。
Ryu☆ そうです。憑依と言うより、疑似コラボって感じですね。自分1人で曲を書いているんだけど、AYAさんとコラボするとしたらどんな曲になるか、イメージしながら書いている。
AYA すごい! まさか自分のイメージで曲を書いていると思っていなかったので、ビックリです。
「これだあ!」って声が出た
──今回のコラボ曲「VOX RUSH」の制作はいかがでしたか?
Ryu☆ 実は言えないぐらい曲を渡すのが遅くなってしまいまして……。
MEGA お送りいただいたデータはすでに曲が完成してるんじゃないかってくらいしっかりしてました。
AYA 「もう何も入れなくてもよくない?」って話をしたんですよ(笑)。ただそういうわけにもいかないので、レイヴ系のサウンドを意識してフーバー音を盛り込みました。
Ryu☆ 僕が作ったサウンドは「リッジレーサーっぽい音」だったんですけど、AYAさんに手を入れてもらってからは完全に「リッジレーサーの音」に変わったんですよ。「これだあ!」って声が出ましたもん。
MEGA (笑)。で、彼女が音を入れてから僕のところにデータが来たわけなんで、さらにギッチリ音が詰まっていたんです。これはちょっと抜いていかないとダメかな、と思って仮で一部の音をミュートさせていただいて。ピアノのところとかをちょっといじったのかな。
Ryu☆ ピアノのフレーズとか、本当によくなりました。ありがとうございます。実はMEGAさんとは一度「VOX UP」という曲で一緒に曲を作らせていただいたんです。そのときはユーザーさんにも喜んでもらえて「次はぜひAYAさんも一緒に」と考えていたので、今回お二人にお願いできて本当によかったです。曲をお渡しするのが遅くなってしまい、すみませんでした。
MEGA いえいえ。こちらこそいつも面白い経験をさせてもらってありがたい限りです。
自分たちと違うスピード感
──お二人から見てRyu☆さんはどういうトラックメーカーですか?
AYA 音ゲーユーザーの心をしっかり理解して曲を作っている人って感じです。曲を聴いてると「あ、音ゲーの人が好きそう」っていうのがわかるんです。
MEGA 自分たちとはちょっと違うスピード感を持っている作り手だと思います。
AYA そうそう。スピード感が違う。
MEGA BPMがまったく同じでも、不思議なことに聴いたときの感覚としてのスピード感が違うんですよね。「あ、これは僕には作れない曲だ」って感じることがあります。
Ryu☆ いえいえ、そんなことないですよ(笑)。なるべく速く聴こえるように、ベースとキックを細かく調整している感じです。
MEGA あとRyu☆さんが運よく同じシーケンサーを使っていたので、今回のコラボで音作りの裏側が覗けたのは面白かったですね。
Ryu☆ 人のシーケンサーを見るの楽しいですよね。料理人の下ごしらえを見てる感じと言うか。
AYA そうそう! 「下味はこれとこれなんだ!」みたいな(笑)。
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収録曲
- AO-1(AO-∞MIX) / 電龍
- VOX RUSH / 青龍×sampling masters MEGA & sampling masters AYA
- Eclipse Zero(AO-∞MIX) / tūmahaB
- 3!dolon Forc3 / 青龍×Eagle
- 檄(AO-∞MIX) / Ryu☆ feat. 青龍
- 256*256 / 青龍×t+pazolite
- Ultra Funktion(Ryu☆ VS 青龍 Remix) / lapix
- Castle on the Moon(AO-∞MIX) / 青龍
- Genesis at Oasis(AO-∞MIX) / 白龍
- STARLiGHT(AO-∞MIX) / 星龍
- AO-0 / 青龍
- 8a55 / 青龍
- Deus ex Machina / 青龍×BlackY
- Dimension Sword / 白龍
- ra'am(AO-∞MIX) / 雷龍
- 3y3s(かめりあ's "0p3n Ur 3y3s" remix) / 青龍 remixed by かめりあ as "BLUE TURTLE"
- Girl on Data / 青龍×E.G.G.
- MOONLiGHT(AO-∞MIX) / 月龍
- Rave*it! Rave*it!(AO-∞MIX) / 機龍
- AO-∞ / 青龍
EDP×beatnation summit 2017
beatnation 10th Anniversary-
2017年3月18日(土)
東京都 新木場STUDIO COAST
OPEN 14:30 / START 15:30
Ryu☆(リュウ)
男性トラックメーカー。2000年、KONAMIの音楽ゲーム「beatmania IIDX 3rd style」の公募に送った楽曲が同ゲームに採用され、以来「beatmania」シリーズの主力クリエイターとして活躍。2009年にRyu☆名義の1stアルバム「starmine」を発表して以来、ゲームのサントラを多数手がけている。またその一方でトラックメーカーStarving Trancerとプロデューサーユニット、Another Infinityを結成。「beatmania」シリーズに楽曲を提供するほか、女性ボーカリストDaisy×Daisyの歌うテレビアニメ「FAIRY TAIL」のオープニングテーマ「永久のキズナ」を制作し、Another Infinity feat. Mayumi Morinaga名義でアニメ「ゆゆ式」エンディングテーマ「Affection」を発表した。2016年2月、ベストアルバムとして「Ryu☆BEST -STARLiGHT-」「Ryu☆BEST -MOONLiGHT-」の2作品を同時リリース。また同年4月には自身が主宰する新レーベル・EDPを新設した。2017年3月には青龍名義のニューアルバム「AO-∞」を発表した。