Ryu☆×古川未鈴（でんぱ組.inc）対談

「未鈴ちゃんの声をたくさん使ってもらえますか？」

──ベスト盤「Ryu☆BEST -MOONLiGHT-」に、でんぱ組.incの楽曲「でんでんぱっしょん（Ryu☆Remix）」（2013年5月発売のシングル「でんでんぱっしょん」古川未鈴盤の収録曲）が収録されていることもあり、今回は対談相手として古川さんに来ていただきました。「でんでんぱっしょん」のリミキサーとしてRyu☆さんを指名したのは古川さんだったんですよね？

古川未鈴　はい。私がもともと音ゲーが好きなこともあったので「Ryu☆さんがいいです」ってスタッフに希望を出したんですよ。このときはシングルのソロ盤でのリミックスのお願いだったので、私の個性を思いっきり引き出せる人にお任せしたいなと思いまして。

──ただ当時Ryu☆さんはでんぱ組.incのことを詳しくは知らなかったと伺っています。

Ryu☆　そうなんです。お仕事をいただいて、ボーカルトラックのパラデータをもらったんですけど、当時は誰がどのパートを歌っているか判別がつかなかったんです（笑）。とりあえず自分の感性で面白そうな歌詞の部分をピックアップして作ったら、どうやらピンキー（藤咲彩音）ちゃんの声ばっかり使っていたみたいで「古川未鈴盤なんで、未鈴ちゃんの声をたくさん使ってもらえますか？」と連絡をいただきまして……。

古川　その節はお世話になりました。

Ryu☆　その後、いろいろライブに呼んでいただいたりしましたので、今はバッチリ聴き分けられます（笑）。だからまたリミックスしたいですし、もしできるなら新曲を書きたいですね。

ビーマニはクラブ系音楽の入り口

──古川さんは、でんぱ組.incとしてデビューする以前から音楽ゲーム「beatmania」のプレイヤーだったんですよね？

古川　はい。でんぱ組.incの楽曲「W.W.D」で「ゲーセンだけが私の居場所だった」と歌っているんですけど、開店から閉店までゲームセンターに入り浸っている時期がありまして。そこでよくやっていたのが音ゲーなんです。

Ryu☆　もともと、どのゲームをやってたの？

古川　最初は「Dance Dance Revolution」でした。実は「W.W.D」のソロパートで、「DDR」のステップを踏んでるんですよ。「DDR」のバーを持つポーズを取って、上下左右に足を動かして。

Ryu☆　え、知らなかった！

古川　「DDR」のあとは「DrumMania」にハマりまして、マイスティックを持ってゲーセンに通っていた時期もありました。

Ryu☆　当時はなんの曲にハマってた？

古川　佐々木（博史）さんの曲で「Concertino in Blue」です。当時プレイしてたネットゲームで、私が所属してたチームの名前が「Concertino in Blue」で。これってなんのことだろうと思って調べてみたことがきっかけで、この曲のことを知ったんです。

Ryu☆　コンチェ！ 超名曲だ！

古川　この曲をクリアしたくてゲーセンに通い詰めるようになったんです。それで「DrumMania」をやっていたらビーマニに「Speedy Cat」というユーロビートの曲があることを知りまして。今度はその曲がクリアしたくなって、ビーマニをやるようになりました。

Ryu☆　なるほど。そんな流れで。

古川　私、音ゲーをやるようになっていろんなジャンルの曲に触れるようになったんですよね。ゲームをやるまではクラブミュージックのことを全然知らなかったんですけど、プログレッシブハウスとかユーロビートとか、ゲームをやるうちに自分の好みがわかってきて。

Ryu☆　日本はどうしても歌モノが強いから、インスト系の曲の入り口が本当に狭いんだよね。そんな中でビーマニはクラブ系の音楽への入り口になってると思う。ビーマニから音楽に興味を持ってコンポーザーになった方って、意外と多いんですよね。ありがたいことに僕のことをリスペクトしてこの業界に入って来てくれた方もいますし。

古川　憧れてもらうことって、表舞台に立つ身としてはすごくうれしいことなんですよね。その人の人生に影響を与えたってことですから。

Ryu☆　そうそう。ユーザーだった人がいつの間にかクリエイターになって、肩を並べて仕事をするようになるのって、ビックリするし、本当に感動するんだよね。