よし、コード直そ!
──笑いながら褒め言葉って言われても(笑)。歌詞は実体験に基づいたものが多いんですか?
けんと 僕は多いですね。西海岸のポップパンクってヘタレな学生が主人公の歌詞が多いじゃないですか。僕も学生時代は全然イケてなかったんで、「Runny Nose」とか「Bunny」はそういう内容になってます。「Nine Deadly Sins」はレコーディング直前に作ったんですけど、ちょうどその頃はお笑いとバンド、どっちもやることが多すぎてイライラしてたんで、「じゃあ、怒りの歌にしよう」と。
すざき 僕は実体験とまではいかないんですけど、「Successor」はカナダへ行くときに自分たちのことを止めた、周りの人らに向けた歌詞やったりします。「This is」は「バンドと芸人、どっちやねん」っていう声があったことを受けて書いた部分があったり。なので、経験と言うよりもそのときに感じたことをもとに書いていくことが多いですね。でも、「The Plan to be poor」は例外で、「ドラえもん」ののび太くんになった気分で遊びで書いてます。
けんと いや、すざきは昔いじめられてたから、これも実体験ですよ。
すざき 違いますよ! いじめられてはいたけど!
──いじめられてはいたんですか(笑)。
てつや ……お前らさあ、何か嫌なことがないと歌詞書けないの?
一同 (笑)
けんと 芸術家肌やからな!
すざき 今言われて思いましたけど、「なにくそ!」っていうタイプの曲は確かに多いですね。
──曲に関してはどうでしょう?
てつや 2人共最初に曲を持ってくるときの状態がひどいんですよ! コードがグチャグチャ! いつも弾き語りでデモを聴かせてくれるんですけど、曲の感想を言う前に「よし、コード直そ!」ですからね!
一同 (笑)
てつや でも、音楽理論と違うところはあるんですけど、彼らが好きで書いてきてる曲だから基本的にはいい曲ばかりです。ネガティブなイメージを持ったことはないですね。
こだま デモ段階でけっこう仕上がってる感じはありますね。
すざき=日本的、けんと=洋楽的
──2人が書く曲にはどういう違いがありますか?
てつや すざきは同じメロディックパンクでも日本的と言うか、耳に入ってきやすいメロディ。けんとも日本的なメロディを作るんですけど、基本的には洋楽的でカラっとしてるんですよね。だから、2人のことをよくわかってる人だったら、誰がどの曲を書いたか簡単に言い当てられると思いますよ。
──てつやさんとこだまさんは2人の楽曲をわりと客観的に見てるんですね。
てつや 歌詞とメロディに関しては外からのぞいてるようなところはありますね。その代わりという訳ではないですけど、アレンジメントに関しては僕ら2人がやってます。
──ああ、そういう役割分担があるんですね。すざきさんとけんとさんが感じたままに書いた曲と詞を、てつやさんとこだまさんが整えると。
けんと 曲に関しては「理論的におかしいねん!」ってよく言われてます(笑)。
てつや えげつないときあるからなあ! でもまあ、「それがパンクや」って言われたらそれまでなんやけど。
こだま こっちがいくら言っても全然折れないんですよ。
けんと そんなにゴネるかなあ?
てつや けんとは小節のことを考えないで、「この言葉を何回言いたい」みたいな感じなので、「それやったらむちゃくちゃおかしくなるやん?」ってなるんですよね。それで最終的にはその間を取るようなことになって。
──感性と理論の戦い。
けんと カッコよく言うと(笑)。さっき、てつやの話を聞いてて思いましたけど、確かに僕は西海岸のおバカなポップパンクが好きなんですよね。
──完全にそれで育ってるんですもんね。
けんと 僕はずっとパンクが市民権を得るべきだと思ってるんですよ。だからこうやって芸人の僕らをきっかけにパンクを好きになって、ライブハウスに足を運ぶ人が増えたらうれしいですね。
ブレへんからカッコいいんや
──最近、こういう正統派のメロディックパンクのバンドって以前に比べて少なくなっている印象がありますが、この現状をどう捉えてますか?
けんと カナダに住んでたときに「Warped Tour」(※アメリカで夏に開催されるロックフェスティバル)を観に行ったんですけど、そのときからすでに流行が変わりつつありました。メロコアはあまり盛り上がってなくて寂しかったですね。エモとかメタルのほうが流行ってて。
──だからこそ、今の日本でこういう音を堂々と鳴らしてるのはグッときます。
てつや 俺もそう思う。ブレへんからカッコいいんやと思う。
──なんの狙いもなく、純粋にやりたい音楽がこれだった。
すざき そうですね。「今、あえてこれをやってるぜ」って感じではなくて、ホンマに好きなジャンルです。
けんと これでまたこういうシーンが盛り上がったらいいですけどね。
──芸人とバンドの活動バランスって今はどうなってるんですか?
すざき 今は芸人としての活動が多いですけど、こうやってCDを出すことでライブも決まってきてるんで、いいバランスで両立できたらいいなと思ってます。
けんと まだツアーをやったことがないんでやってみたいですね。
──最近のライブのペースはどんな感じですか?
てつや 月2、3回です。
──もっとライブを重ねたい?
すざき 場数を踏んでない感は確かにあるんで、もっとやらないとなとは思います。ただ、お笑いの舞台もあるんでスケジュール的になかなか難しくて。
──ああ、たしかにそこは難しいですね。
けんと スケジュールをどううまく組んでいくかっていうのは今後の課題の1つなんやろうなと思います。だって、漫才の1時間後にRunny Noizeのライブっていうこともありますからね。
──それはすごい! では、今後の野望は?
けんと 自分ら主催のフェスをやりたいですね。お笑いもあって、バンドもあるっていう。僕らはホラーも好きなのでお化け屋敷も用意したり、ほかとはちょっと違ったフェスをやりたいですね。
──そういうハロウィンイベントをやったらいいんじゃないですか?
すざき 稲川淳二さんにも出てもらってなあ。
けんと それは最高やで!
- Runny Noize「We are Runny Noize」
- 2017年9月27日発売 / よしもとアール・アンド・シー
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[CD]
2000円 / YRCN-95285
- 収録曲
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- Successor
- Unsung Hero
- Runny Nose
- Nine Deadly Sins
- The Plan to be poor
- Bunny
- This is
- Runny Noize(ラニーノイズ)
- お笑いコンビ・ラニーノーズのすざき(Vo, G)、けんと(Vo, G)をメンバーに擁するメロコアバンド。2008年にすざきを中心に結成され、2009年にはカナダに移住。翌2010年に帰国し、2013年にすざき、けんと、てつや(B)、こだま(Dr)の現体制となった。ラニーノーズとしての活動はバンドと平行する形で2012年にスタートしている。楽曲は西海岸系メロディックパンクを基調としたサウンドを特徴とし、2017年に配信シングル「Bunny」「Successor -Old Mix-」を発表。同年9月にはバンドにとって初のミニアルバムとなる「We are Runny Noize」をリリースした。