音楽ナタリー Power Push - ROLAND Stream Station UA-4FXII meets テンテンコ
宅録にライブに生配信に 手軽で本格的なオーディオインターフェース
ROLANDから最新のオーディオインターフェース・Stream Station UA-4FXIIが登場した。入力はXLRタイプのマイク入力、マイク / ライン切り替え入力、ライン入力を備えており、ライン出力はステレオ1系統。ヘッドセットも使用できるヘッドフォン出力はプラグインパワー対応で、USB端子はHi-Speed USB対応となっている。小型軽量なボディながら、24bit / 96kHzでのレコーディングに対応し、コンデンサーマイクを使った歌や楽器の録音、アンプシミュレーターや内蔵エフェクターを駆使してのギター録音などが可能。また、ループバックスイッチやオンエアスイッチ、さまざまなレベルのソースを適切な音量で出力するオートレベル機能など、ネット配信に最適な機能も多数備えている。
今回の特集では、メジャー第1弾作品となるミニアルバム「工業製品」を12月14日にリリースしたばかりのテンテンコが、普段愛用している楽器やパソコンでUA-4FXIIでのレコーディングを体験。独学による宅録作品を意欲的に発表しているテンコに、本機のさまざまな機能を試してもらった。
取材・文 / 臼杵成晃 撮影 / 佐藤類
めっちゃ軽いのに本格的
──今日はROLANDのStream Station UA-4FXIIを使っていろいろ試してもらいました。まずは率直な感想を聞かせてください。
内蔵のエフェクトが面白いですね。けっこう劇的にかかるし、手元のつまみでパッとかかり具合を変えられるのはすごく便利だなって。ライブのときは瞬時に音色を変えたいので、片手で簡単に操作できるのはいいですね。これがあればパソコンを通したりせずダイレクトにエフェクトがかけられるので、私の中ではポイントが高いです。ライブ中にパソコンを使うのは、見え方的にあまり好きじゃなくて、システム的にも面倒なんですよね。これならパソコンを経由しなくて済むし、アナログな操作感もいいですね。
──ライブでの実践に向いてそう。
はい。パソコンでかけたエフェクトよりも生っぽくて、自分の声がより生かされている感じがします。あと、めっちゃ軽い! 最初に箱を渡されたとき「中身入ってないのかな?」って心配になりました(笑)。
──「いい音で音楽を」特集でV-MODAのヘッドフォンXSを試してもらったとき(参照:「いい音で音楽を」特集 テンテンコ meets ヘッドフォン)、「いつも荷物が重くて大変」とおっしゃってましたよね。
そうなんですよ。ライブのときは荷物が多いからむちゃくちゃ重くて。これだけ軽くてエフェクターとかいろんな機能が詰まっているのはすごく助かります。私、今までなんとなくイメージで「重い機材=いい機材」と思っていて(笑)。
──ああ、わかります。重い機材だとそれだけで格式高い雰囲気があって。
そうそう。軽いとおもちゃっぽい感じがしちゃうんですけど、これはまったくそんなことなくて。ライブでもレコーディングでも本格的に使えそうだなと思いました。
多彩なエフェクト機能
──ボーカル録りをしてみての使用感はいかがでしたか?
すごくダイレクトというか、クリアに感じます。エフェクトをかけたときも、自分の声の感じがしっかり伝わってきて。
──リバーブのかかり具合はじっくり試してましたね。
私はリバーブがすごく好きで、お風呂の中みたいなモワンモワンした音を出したいんですよ。今までいろんなリバーブを試したんですけど、これはかなり好きな音色ですね。あとピッチを変えて男声にできるエフェクトも面白かったです。自分の声自体を変えてライブをやったことはないので、ちょっと試してみたいです。ちなみにこの機能って、なんで付けたんですか?
ROLANDスタッフ VT-3という声専用のエフェクターがあるんですけど、これがものすごく売れているんです。あれは面白いということで、ちょっとその機能を加えてみました。
──遊び心で?
ROLANDスタッフ はい(笑)。あとUA-4FXIIは生配信に特化した機能を備えているので、配信番組などで地声を隠したりするのにも使えるんですよ。マイク入力にVT-3の要素を加えたり、エフェクトはBOSSのマルチエフェクターの技術を持ってきたり、いいとこ取りなんです。
なるほどー。この「TUBE SIMULATOR」ってなんですか?
ROLANDスタッフ これは真空管アンプのシミュレーター機能で、ギターの歪み方が変わります。ギタリストさん向けの機能ですね。
わけもわからずギャーンと弾いてみたけど楽しかったです(笑)。UA-4FXIIとギターがあれば、もっといろんな曲が作れそう。私、ずっとギターが弾きたいと思ってたんですけど、こんなに手が小さいので、弦が全然押さえられなくて。私は基本的に電子音メインで曲を作ってますけど、ほかの人の曲を聴いて「カッコいいなー」と思うと、だいたいギターが入ってるんですよ。だから、いつか自分に合うギターを手に入れようと思って、こまめにネットでチェックしてるんです。子供用のギターなら大丈夫かなあとか。今日ちょっと弾いてみてギター欲が高まったので、本気で導入を考えます。
1枚丸々UA-4FXIIを使った作品を
──テンコさんならUA-4FXIIをどのように使いますか?
配信に便利なんだったら、ちょっと生配信もやってみようかなと思いました。あとはやっぱりギターですね。ギターにドライブをかけて歪ませてビャーッと鳴らしながら、ボーカルエフェクトで男声と女声を混ぜると新しいものが生まれそう。
──いよいよ本格的にギターを取り入れて。
はい。今すでに目を付けているギターが2本あるんですよ。帰ったらさっそく検討します(笑)。あと、私は自分への課題として毎月CD-Rで新曲を発表しているので、レコーディングにも取り入れてみたいと思いました。1枚丸々UA-4FXIIを使った作品とか。初めて触ったギターと、エフェクトをかけた声だけで30分ぐらいの作品を。
──作品タイトルも「Stream Station」で。
あー、いいですね!
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- 「ROLAND Stream Station UA-4FXII」2016年12月15日発売 / オープンプライス
- ROLAND Stream Station UA-4FXII
主な仕様
- オーディオ録音再生チャンネル数
- サンプリング周波数:44.1、48、96、192kHz
- 録音:2チャンネル
- 再生:2チャンネル
- サンプリング周波数
- AD / DAコンバーター:48kHz
- 出力インピーダンス
- LINE OUT L、R端子:660Ω
- PHONES / HEADSET端子:20Ω
- コントローラー
- ADVANCED EFFECTボタン
- エフェクトつまみ×4
- SELECTボタン
- ON AIRボタン
- LOOP-BACKボタン
- MIC / GUITARつまみ
- LINE INつまみ
- OUTPUTつまみ
- 接続端子
- MIC端子:XLRタイプ(バランス、ファンタム電源DC 48V、6mA Max.)
- MIC / GUITAR端子:標準タイプ(ハイインピーダンスに対応)
- LINE IN端子:ステレオミニタイプ
- LINE OUT L、R端子:RCAピンタイプ
- PHONES / HEADSET端子:4極ミニタイプ(マイク付きイヤフォン、プラグインパワーに対応)
- USB端子:MICRO USBタイプB
- インターフェース
- Hi-Speed USB
- 電源
- USB端子から取得
- 消費電流
- 400mA
- 付属品
- 取扱説明書、USBケーブル、保証書、ローランド ユーザー登録カード
- 外形寸法・質量(本体のみ)
- 幅 146mm / 奥行き 110mm / 高さ 42mm / 質量240g
収録曲
- くるま
[作詞:テンテンコ / 作曲:D.N.A.INSTRUMENTAL / 編曲:∈Y∋(BOREDOMS)] - 放課後シンパシー
[作詞:テンテンコ / 作曲:D.N.A.INSTRUMENTAL / 編曲:Illicit Tsuboi] - 次郎
[作詞:テンテンコ、JINTANA / 作・編曲:JINTANA] - 星の電車
[作詞:テンテンコ / 作・編曲:LOGIC SYSTEM(Hideki Matsutake & Jun Irie)] - くるま~助手席 school~
[作詞:テンテンコ / 作曲:D.N.A.INSTRUMENTAL / REMIX:のっぽのグーニー] - Good bye, Good girl.
[作詞:テンテンコ / 作・編曲:Papico] - 流氷のこども
[作詞:テンテンコ / 作曲:七尾旅人 / 編曲:エズミ・モリ]
テンテンコ
1990年8月27日生まれ、北海道出身。身長142cm。2013年にBiSに加入し、2014年のグループ解散とともにフリーランスとして活動を始める。2016年にTOY'S FACTORY / MIYA TERRACEとマネージメント契約。オーバーグランドとアンダーグランドを自由に行き来し、コメンテーターからバラエティのひな壇、ポップスからインダストリアル、朝から真夜中まで型にはまらない活動を行っている。2016年8月にファーストデジタルシングル「放課後シンパシー」をリリース。12月にソロとしては初のミニアルバム「工業製品」をリリースした。