──ダイノジさんは今年の「ビクターロック祭り」では“宴会場アクト”として、2回パフォーマンスされました。どちらもすごい盛り上がりでしたね。

大谷ノブ彦　ホント人が集まってくれてよかったです。イベントが「ロックなお花見」というテーマでステージに花びらが舞う演出があって、景色がキレイでしたね。ただ、CDJの上に花びらが積もって大変なことになってました（笑）。

大地洋輔　リハーサルのときはステージの前に柵がなかったんですけど、予想以上に人が集まったからって急遽柵を作ったりして。予定外のことが起きると燃えるんですよ、僕。

大谷　正直ビクターと言えば、やつい（いちろう）の領域だと思ってたんで、今回お呼びがかかってビックリしました。ちなみにあいつはライバルじゃなくて天敵で。「やついがいたら逃げろ！」ってなります（笑）。

大地　やついくん、このインタビューを読んでいたら次回の「ビクターロック祭り」には出演を志願しないようにしてください！

大谷　それはさておき、会場歩いてたらいたるところにニッパーくん（※ビクターのマスコットキャラクター）がいて、試聴会をやったり、グッズを販売していたり、ビクターにまつわる催しもやってて。イベント全体がビクター一色でしたね。

──さてここからは各アクトをお2人と一緒に振り返っていきたいんですが……まずはトップバッターのレキシから。

大谷　いやあ楽しかったですね。キックが強くてBPMが速い曲だと盛り上がるのはわかるけど、レキシってけっこうゆったりしたファンクミュージックをやりながらもちゃんとお客さんを盛り上げてるじゃない。トークでも場の空気を作ってて。特に今日のライブはトークを含めて面白かった！ DJでトークを含めてそのまま流したいくらい。

──2番手のKEYTALKはどうでしたか？

大谷　かなり先に行かれちゃった感はありますね。かつてのオリラジ（オリエンタルラジオ）のような勢いを思い出しました。ああいうスピードで売れちゃうとね、僕らはもう乗っかれない（笑）。とにかく終盤で披露された「MONSTER DANCE」が圧倒的で。ロックバンドが振り付きのダンスをやって、お客さんを楽しませるっていうのはいいですよね。

──3番手のスガさんはかなり濃厚なステージでした。

大谷　特に中盤のファンクブロックが熱くてよかったですね。スガさんってビクターに入る前はインディーズで活動してて。自分でライブハウスをブッキングしたりして、1人で戦っていたわけじゃないですか。そこで培ってきたタフな一面が、パフォーマンスからもにじみ出てましたね。アドリブのセッションも素晴らしかった。

──スガさんから一転して、ハナレグミは穏やかな雰囲気でした。

大谷　かなりいいライブだったんですけど、個人的には「オアシス」が聴きたかったなあ。だからワンマン行かなきゃっていう気持ちになりました。

大地　イベントって、全部やりすぎちゃうとダメなのかもね。

大谷　そうだね。とにかくあの声は日本の宝だよね。生まれ変わったらあの声になりたい！ それくらい味のある声ですよ。特にライブだとその素晴らしさが味わえますね。

──そしてキュウソネコカミのアクトは、とにかくすさまじい熱気でした。

大谷　俺、お客さんが15人くらいしかいない時代に1回観てるんですよね……なんでそのとき乗っからなかったんだ（笑）。客席にダイブしたときにお客さんが支える感じとか、昔の銀杏BOYZを彷彿とさせるよね。色気もあるし、サブカル好きな女の子ってセイヤくん好きでしょ。だって、あんな歌詞歌う子、ほっとけないもん！……って楠瀬誠志郎の曲名みたいになっちゃった。

大地　キュウソネコカミは「ほっとけないよ」ってことで。とにかく僕は「良いDJ」と「DQNなりたい、40代で死にたい」が好きですね。

大谷　大地もヤンキー怖いもんね（笑）。キュウソは共感する部分が多いんですよね。

──木村カエラさんのライブはいかがでした？

大谷　セットリストがとにかくすごかった！ イベントがなんなのかわかってるよね。もはや暴力的ですよ、このセットリスト。ヒット曲のオンパレードだし、「BEAT」「TREE CLIMBERS」「マスタッシュ」っていうロックチューンで固めた流れもすごかったし。「若い者に目にもの見せてやる」っていう気概を感じたんですよね。あと個人的なことを言えば、中打ちで一番会いたくないですね……自分たちの下等生物ぶりを認識せざるを得ないんで（笑）。

──次の斉藤和義さんもキラーチューンだらけでした。

大地　「やさしくなりたい」のイントロが鳴った瞬間に、わーっとお客さんがステージに向かって走ってて。あの光景はすごかった。

大谷　和義さんは僕の中ではビクターの顔ですよ。“ビクトー和義”って改名しちゃっていいんじゃないですかね。自分たちのDJイベントでよく和義さんの「ベリー ベリー ストロング～アイネクライネ～」をかけてるんですけど、あの曲って「歩いて帰ろう」と同じモータウンビートなんですよね。何気に和義さんって、モータウンビートの申し子なんじゃないかなって思ってます。

──「ビクターロック祭り」2年連続出演のDragon Ashは？

大地　もう、どの曲がいいとか選べないレベルですべてが圧巻でした。

大谷　昔の曲も盛り上がるし、カッコいいんだけど、新しい曲もいいんだよね。それでお客さんをすごい盛り上げるし。さすがでした。いつかDragon Ashのラテンナンバーで、ダンサーをやらせてもらうっていう夢があるんですよね。浅草サンバカーニバルみたいな格好してステージに出ていきたい。来年の「ロック祭り」に出させてもらえないかな。

──そして今年のトリは星野源さんでした。

大谷　もうね、僕、星野源くんになりたいですから！

大地　僕もなりたいよ！

大谷　クレイジーキャッツが好きで、ユニコーンが好きで、大人計画にも入ってて、インストのバンド（SAKEROCK）もやってて……。年齢は違うけど佇まいを含めて、民生さんをイメージさせるよね。「君は薔薇より美しい」のカバーとかもツボを突いてるし。もう嫉妬ですよ。だから星野くんは見ていて不愉快です（笑）。

大地　おいっ！ 同じ「ゲン」で言ったら、大谷さんはアゴなしゲン（※平本アキラのマンガ「アゴなしゲンとオレ物語」のキャラクター）のほうですからね。

大谷　ライブでもやってたけど、「くだらないの中に」は真理をついてるよね。僕たちがやってる漫才とかエアギターもそうだけど、一見くだらないものの中にこそ愛とか大切なものがあるから。トリが彼だったことで、すごく幸せな気持ちになったし。改めてビクターの個性っていうのがわかりました。

──次回の「ロック祭り」にも期待がかかるところですが、お2人が観たいアーティストはいますか？

大地　僕が観たいのはサザンオールスターズですね！ 「ロック祭り」で観れたら最高だなあ。

大谷　僕はgo!go!vanillasですね。メンバー2人が、僕らと同じ大分出身なんですよ。大分ってロックバンド不毛の地とも言われてたんで、バニラズが出てきて本当にうれしくて。彼らが幕張のでっかいステージでやってたら泣いちゃうかも。あとヒステリックパニックも注目してます。「いいなあ」って思う新人が最近どんどんビクターからデビューしてて、本当にスタッフの目利きがすごいなと思うんです。ホント、日本のロックの希望はビクターにあり！ですね。