「銀魂」スタッフは“いつも心に白装束”

──長年、アニメ「銀魂」の大ファンということですので、そのお話もぜひ。

KenKen　もちろん単行本も読んでますけど、アニメのテンポ感がすごい好きで。「第2期延長戦」まで全部DVD買ってましたし、最近はHuluやNetflixで配信されてるから、そっちで観てます。今年で放送何年目ですか？

樋口　2006年4月から放送なので、11年ですね。

KenKen　それだけ話数があって毎話2、3回ずつ観てると考えたら、相当人生の時間を「銀魂」に費やしてるなと思いますね。

樋口　最初の2クールは火曜19時、ゴールデンタイムで放送したんですけど、そのときはまだスタッフも手探り感があって、視聴率も正直あんまりよくなかったんです。そんな中テレビ東京さんから18時に枠移動の話があって。何か変えていかないと番組が終わるかもしれないと。それで3クール目からは「もう来週で終わってもいいや」というぐらいの覚悟で一気にブーストをかけました。

KenKen　ぶっ込みまくったんですね（笑）。俺も20話目ぐらいから、「これ大丈夫なのかな、急に終わんないでほしいな」と思いながら観てました（笑）。人生、ぶっ込めるかどうかは超大事ですからね。俺も基本怒られるまでやってみようっていうタイプなんで、すごいシンパシーを感じて。

樋口　アニメ「銀魂」スタッフ間のキーワードは「いつも心に白装束」ですから（笑）。

KenKen　わはははは！ 腹切る覚悟で（笑）。いいっすねー。だから毎回楽しみでしょうがなかったし、マンガ読んでてもアニメの声で再生されるし。声優さんも全員ハマり役だし、最高ですね。

──中でも特に好きなキャラクターは？

KenKen　俺はもう、さっちゃん（猿飛あやめ）ですね！ 理想の女性。マジで結婚したい！ 「銀魂」の中で一番好きなセリフが「私がどんなメガネでもかける耳軽女だと思わないで！」（第207話「メガネは魂の一部です」より）だから。「耳軽女」なんて単語、初めて聞いたし（笑）。先日、さっちゃん役の小林ゆうさんと縁あってお会いしたんです。落語をやってるから、その出囃子を作らせてもらって。彼女もすごいロックな人で、ひさびさに振り切ってる人に会ったなと思いました（笑）。すごい独特な声で、キャラごとに声も分けてるんだけど、あの歪みが出た瞬間、小林さんだってわかるんですよね。

──アニメで印象的なエピソードは？

KenKen　いっぱいありすぎますね。合コンする話（第88話「合コンは始まるまでが一番楽しい」）とか、九兵衛が男になる話（第275話～第277話 「性転換篇」）とか、ガンダーラ・ブホテルの回（第161話「何回見てもラピュタはいい」 ）とか大好きなんだよね。みんなでゲーム大会する話（第98話「ゲームは一日一時間」、第99話「人生もゲームもバグだらけ」）も超好きだし。

樋口　“OWee”の回ですね（笑）。

KenKen　あと、万事屋にあの国民的キャラクターぽいやつが来る話（第164話「人は死んだら生き返らない」）。

樋口　あれもヤバかったですね（苦笑）。パロディのあり方は毎回模索しながら、ギリギリを攻めて行ってます。

KenKen　でも、もはやコロッケさんにモノマネされてる感覚っていうか、されたほうが名誉ぐらいに感じますけど。

銀さんとJESSEは似てる

──第3期の初回放送（2015年4月）が「アニメが完結しなくてすみませんでした」という、某議員ばりの号泣釈明会見から始まったのも印象的でした。

KenKen　頭1分ぐらい誰も出てこない感じがリアルですげえ面白かったよね。俺、アニメ版は完結とされていた「劇場版銀魂 完結篇 万事屋よ永遠なれ」（2013年7月公開）でガチ泣きして、「もう『銀魂』終わるんだ」と思ってメソメソしてたら、あの会見じゃん？（笑） 終わる終わる詐欺、何度もくらって。

樋口　3年目ぐらいから「終わる終わる」言ってましたからね（笑）。

KenKen　毎回切ない思いをしながら「俺の曲、使われないで終わっちゃうんだな……」みたいな。だから続くってなったときに「マジか！」って（笑）。

──1月から放送されている「烙陽決戦篇」も伝説の番組「ギルガメッシュないと」のパロディが入っていたりと、初回から飛ばしてましたね。

KenKen　「ギルガメッシュ♥」って言いたかったんだろうなあ。

樋口　伝わらない人には伝わらないですよね（笑）。

KenKen　子供が観て大丈夫なのかっていうネタもだいぶありますから。

──烙陽決戦篇、物語自体はけっこうシリアスなモードです。

KenKen　それでも時折ギャグぶっ込んでくるもんね。あっくんやJESSEは最近の放送回を観て「こんなシリアスな感じなんだ？」って言ってて「いや、今回たまたまそういう話だから」って説明したんです（笑）。

──エンディングの映像もカッコいい仕上がりになりました。

樋口　オープニングは作品全体を表現するような画作り、エンディングはそのときの作品の内容に寄せるような感じの画作りをする場合が多いですね。今回の烙陽決戦篇は「SILVER」という楽曲の押し出しの強さもあると思うんですけど、キャラクターをガシガシ動かすよりは1枚1枚の画に力を入れようと思っていろんな処理を工夫して作りました。音楽と画を合わせたとき現場は監督含め、やりきったなという達成感がありました。

KenKen　うれしいなあ。この曲はもともとオープニング用に作った曲なので、スピード感があるんですよ。エンディングテーマって、どうしても「ロマンティックあげるよ」（「ドラゴンボール」エンディングテーマ）的なバラードっぽい空気があるじゃないですか？ 「魂」はもろそういう曲で。ブルマが流れ星見てる感じ（笑）。だから「『銀』がエンディングでいいのかな？」と思っちゃいました。最初のベースでダーダーダーンっていくところも「銀魂」のロゴが出てくるところをイメージしたリフだから「どんな映像を当ててくれるんだろう」って放送3日前ぐらいからソワソワしちゃって（笑）。でも、重厚な作りにしたのがバランスよかったんですね。

樋口　先日放送した第322話は、本編の中で「SILVER」をロングバージョンでかけさせていただいたんです。

KenKen　それがまた名シーン！ 光栄でした。あとエンディングって物語の延長線上だから、自分がアニメにそのまんま出てきた感じがして。「ベースイントロにしといてよかった！」って、たぶん日本中のファンで一番喜んだのは僕です（笑）。昔のアニソンってタイトルとか必殺技を絶叫するところにロマンがあったりするじゃないですか？ それを演奏でどう感じさせられるかはけっこう考えたんです。ただ、だからって和風に寄せることもないと思って。RIZEは全員東京生まれ東京育ちのバンドなんで。JESSEなんてあんな見た目だけど、ちゃきちゃきの江戸っ子だし。銀さんとJESSEはいい意味で頭が固いところとか、考え方がもともと似てると思ったから歌詞も無理に歩み寄らなくてもいい。そう考えると「銀魂」の舞台も江戸だし、きれいにリンクできたかなと思ってます。