ナタリー PowerPush - RIP SLYME(PES、SU)×OKAMOTO'S(ハマ・オカモト、オカモトレイジ)

相思相愛な2組の意見交換

RIP SLYME特集のラストを飾るのは、リップと、「SLY」にベース演奏で参加したハマ・オカモト(B)擁するOKAMOTO'Sの初対談。現場にはリップからPESとSU、OKAMOTO'Sからハマ・オカモトとオカモトレイジ(Dr)という4名が集まった。ともに男だらけのグループで、メンバー間の仲がいいことでも知られるRIP SLYMEとOKAMOTO'S。「自分たちと空気が似てる」と口をそろえる彼らが、互いのグループについて率直な思いを語り合った。

取材・文 / 三宅正一(ONBU) 撮影 / 上山陽介

RIP SLYME×OKAMOTO'S対談

リップみたいな立ち位置になりたい

──OKAMOTO'Sの2人はリスナーとしてリップの曲を学生時代から聴いてたと思うんですけど。

左からハマ・オカモト、オカモトレイジ、SU、PES。

レイジ もう、バリ世代です。

ハマ バリ世代ですね。MDプレイヤーでよく聴いてましたね。

SU MD(笑)。今、23(歳)?

レイジ 23になる年ですね。

SU カラオケで歌う感じではないでしょ?

レイジ カラオケはあんまり行かないですけど、友達と「楽園ベイベー」とか歌った記憶がありますね。歌詞が出てこないフェイクのところも歌っちゃってちょっと恥ずかしいみたいな(笑)。

ハマ 僕は「Super Shooter」がめっちゃ印象的で。

レイジ 「GANTZ」のオープニングテーマだったからね。

ハマ そうそう。今回、「SLY」でゲストに呼んでいただいて、PVまで出してもらうなんていまだに夢のようだなと思っていて。

──レイジくんはヒップホップが大好きでいろんな日本語ラップアーティストの作品を聴いてきたと思うけど、その中でリップはどういう存在ですか?

レイジ たぶんメンバーの中で僕が一番リップを聴いてきたと思うんですよ。だから今日はけっこう緊張していて(笑)。リップはヒップホップにハマる前から当然のように聴いていたから。それからヒップホップに本格的にのめり込んで、いろんなアーティストのいろんな作品を聴いてもやっぱりリップってすげえなって思うんですよね。音的にも攻めたアプローチをやっているのに超売れていて、国民的な存在でもあって。何も妥協してる感じがしないし、すげえカッコいいなって。最近でもリップみたいな立ち位置になりたいってめっちゃ思ってますね。

──リップとOKAMOTO'Sってグループ論として相通じる部分がありますよね。

PES

PES ああ、それはあると思いますね。

ハマ リップってメンバーのキャラ立ちという意味でも素晴らしいじゃないですか。あと、僕らがニューアルバムの制作をしているときにコウキがリップに改めてハマっていて。思いっきり「黄昏サラウンド」を参考にしているデモを持ってきて(笑)。やっぱりリップの曲って音作りからものすごくカッコいいし、FUMIYAさんのサンプリングセンスや生楽器の入れ方も改めてすごいよねってみんなで話していて。

──PESさんとSUさんはレイジくんとハマくんのそんな話を受けてどうですか?

PES いやあ、ホント、持ち上げるのがうまいなあって。

ハマ いやいや、ホントの話なので。

SU 異常ですよね(笑)。僕らは好きなようにやってきただけだから。誰かに影響を及ぼそうなんて考えたこともなかったし。

PES だから、2人はお世辞で言ってるだけだから。ダメだよ、真に受けちゃ。

SU わかってる(笑)。

中高時代、友達がほぼ全員ラッパーだったんですよ

SU OKAMOTO'Sはラップをやろうと思ったりしなかったの?

レイジ 僕らがラップにいかなかったのは、ちょうど世代的に周りにラッパーが多かったというのもあって。中高時代、友達がほぼ全員ラッパーだったんですよ。

SU 嘘!?(笑)

PES そんなことある?(笑)

ハマ あるんですよ、これが。

オカモトレイジ

レイジ 僕らの学校はちょっと特殊だったのかもしれないですけど、超アメリカかぶれしていて。普通に廊下でスケボーに乗ってるヤツがいて、休み時間になったらビートボックスやってるヤツがいて、ピロティでサイファーしてるヤツがいるみたいな。で、フリースタイルをしに他校からラッパーが来るみたいな。

PES すげえなあ(笑)。

ハマ まるでマンガなんです。

レイジ もう、意味わかんなくて。中2とか中3で誕生日に親にねだって前歯1本だけグリルにしてたヤツとかいて(笑)。安っぽいジーザスヘッドを首からぶら下げてたり。

SU それ、学校は荒れてたの?

レイジ それが全然荒れてなくて。むしろピースな感じですね。僕たちはちょっと捻くれていたから、軟派な感じはヤだなって音楽室にこもってバンドをやっていて。でも、ヒップホップは大好きだったし、今にしてみればみんながラップしてた感じってすげえいいなあって思うんですよね。

──ズットズレテルズというバンドは周りに対するカウンター意識がありつつ、ヒップホップやファンクを独自に昇華しようとするマインドによって生まれたのかもしれないですよね。

レイジ ああ、そうかもしれない。(PESとSUに)ズットズレテルズっていう7人組のバンドをやっていたんですけど。

ハマ・オカモト

ハマ 音楽的にはズットズレテルズで初めてヒップホップと融合した感じですよね。僕はヒップホップにそこまで詳しくないんですけど、BUDDHA BRANDが自分たちの音楽的な引き出しに入ってきたときの衝撃といったらなくて。あの感じはバンドでも解釈できたんですよ。僕らは当時から楽器ばっかり触っていたし、ちょうどファンクにのめり込んでいた時期だったので。ドカット、呂布っていう2人のラッパー友達と一緒に生バンドでヒップホップやファンクを解釈した感じでしたね。

──ハマくんがそこで培ったスキルは「SLY」でもおおいに生かせたと思うし。

ハマ ああ、まさにそうですね。

レイジ 皆さんの学生時代はどういう感じだったんですか?

SU 俺は高校のときにダンスが入ってきて。ピロティで踊ったりしてたけど。PESの学生時代はどうだったの?

PES ダンスしてるヤツもラップしてるヤツもいたけど、全員がラッパーとかはなかったなあ。

RIP SLYME ニューアルバム「GOLDEN TIME」/ 2013年12月4日発売 / unBORDE
初回限定盤[CD+DVD] 3700円 / WPZL-30777~8
通常盤[CD] 3150円 / WPCL-11581
CD収録曲
  1. GOLDEN TIME
  2. FAKE
  3. SLY(Album version)
  4. AH! YEAH!
  5. ジャングルフィーバー
  6. 気の置けない二人
  7. ROAD MAP
  8. アプリオリ
  9. 恋のシンキングタイム
  10. 断捨離ズム
  11. Run with...
  12. ロングバケーション
  13. Butterfly Effect
初回限定盤DVD収録内容
  • 「RIP SLYME presents 真夏のWOW at STUDIO COAST」スペシャル映像(ライブ映像数曲入り)
OKAMOTO'S ニューアルバム「Let It V」/ 2014年1月15日発売 / アリオラジャパン
OKAMOTO'S「Let It V」ジャケット
初回限定盤[CD+DVD] 3500円 / BVCL-570~71
通常盤[CD] 2730円 / BVCL-572
CD収録曲
  1. Let It V
  2. Kill Dreams
  3. Let's Go! Hurry Up!
  4. HAPPY BIRTHDAY
  5. 告白
  6. Yah!!(ビューティフルカウントダウン)
  7. It's Alright
  8. SEXY BODY
  9. JOY JOY JOY
  10. ドアを叩けば

※初回限定盤DVD収録内容は後日発表

RIP SLYME(りっぷすらいむ)

RYO-Z、ILMARI、PES、SU、FUMIYAからなる4MC&1DJヒップホップユニット。1994年に結成され、2001年3月にシングル「STEPPER'S DELIGHT」でメジャーデビュー。その後2ndアルバム「TOKYO CLASSIC」がミリオンヒットを記録する。さらに国内のヒップホップユニットとして初めての日本武道館ワンマンライブを行い、日本にヒップホップ文化を広く浸透させた。2005年にFUMIYAが病気療養のため一時ユニットを離脱するも、翌年8月に無事復帰。再び5人体制で精力的にリリースやライブ活動を行っている。2010年には、メジャーデビュー10年目を記念しベストアルバム「GOOD TIMES」とカップリングベストアルバム「BAD TIMES」をリリース。2013年12月には9枚目のオリジナルアルバム「GOLDEN TIME」を発表した。

OKAMOTO'S(おかもとず)
OKAMOTO'S

オカモトショウ(Vo)、オカモトコウキ(G)、ハマ・オカモト(B)、オカモトレイジ(Dr)の4人からなるロックバンド。バンド名およびメンバー名は、彼らが敬愛する岡本太郎に由来する。抜群の演奏力とアグレッシブなライブパフォーマンスに定評があり、2010年3月にはアメリカのショーケースイベント「SXSW」に出演。続けて行われた全米ツアーでも高い評価を受けた。次世代のロックシーンを担うホープとして注目を集める中、2010年5月に1stアルバム「10'S」でメジャーデビュー。2011年7月には「FUJI ROCK FESTIVAL '11」に初出演を果たし、10月には初のアジアツアーを開催した。2013年1月にセルフタイトルを冠した4thアルバム「OKAMOTO'S」を発表。同年11月にはニューシングル「SEXY BODY」をリリースした。


2013年12月10日更新