ナタリー PowerPush - RIP SLYME

「GOLDEN TIME」とリップの未来を考える

SUの作詞観

──SUさん、リップの曲でラップしなきゃいけないという意識はとうにないって感じですよね。

SU ないです。ただ、それしかできないんで。歌ったら演歌みたいになりがちなんで。

PES でもSUさん、ラップでも韻踏まないじゃん。

RYO-Z あんまりできてない(笑)。

SU そうだね。ラップ、まだまだこれから一生懸命やります。

PES SUさんが踏んだら「ウオー! クララが立った!」ってなる(笑)。

──となると、SUさんがリリックを書くときに気を付けてることってなんですか?

FUMIYA エロさ。

PES ほかの人が言っちゃう(笑)。

SU なんか恥ずかしいワードがあるんですよね。これ言っちゃったら……みたいな。それは使わない。

RYO-Z すげえ恥ずかしいのあるけどね、いっぱい……(笑)。

SU それは恥ずかしくないの、俺にとっては。

──恥ずかしいワードって例えばどんな?

SU なんて言ったらいいんだろう。

PES 「イェッセッショー(Yes Yes Y'all)」とか?

RYO-Z あー、それはダメだ。

SU いっぱい使われてきた言葉だったり……。

RYO-Z 長い英語のワードとかダメそうだね。

SU それもダメ。あと歌謡曲っぽい言葉。

RYO-Z でも逆に「そんな言葉づかいすんの?」っていう変わったフレーズがSUくんはいっぱいあって、あとから効いてきますよね。「爆笑 ひざの小僧w」とか、「Run with...」はけっこう宝庫ですよ。

ILMARI あと言い方も余計にクるんだよね(笑)。

FUMIYAの感想

──FUMIYAさんは、完成したアルバムを聴いてどう感じますか?

左からFUMIYA、SU、ILMARI、RYO-Z、PES。

FUMIYA なんかちょっと思ったのが、今までリップで出した歴代のアルバムから1曲ずつ選んできたみたいな……雰囲気的にはそう感じるんですよね。この時期はこういうのが好きだった、よく作ってたっていうのがいろいろ入ってるような感じがする。

──それはまた新しい解釈ですね。

FUMIYA 聴いてて、こういう曲も好きだし、こういうのも好きだよなって再確認できたっていうか。みんなで作ってきた歴史みたいなものがある気もします。例えば1曲目の「GOLDEN TIME」がヒップホップっぽいトラックで始まってるとか。

ILMARI あの曲、すごいリップっぽいって言われるね。

FUMIYA うん。

ILMARI 懐かしいリップの感じっていうか。

ILMARIの感想

──ILMARIさんはどうでしょう。このアルバムに持っている印象。

ILMARI 整理整頓されたアルバムだなって感じしますね。無駄がないっていうか、ボーカルも一斉に入ってるんじゃなくて1人とか2人とか、適材適所。SUさんメインの「ROAD MAP」なんかも、みんながいろいろラップしてると印象がまた全然違うと思うんですけど、いい具合にそぎ落とされてるっていうか、それが聴きやすさにつながってるのかなと思うようなアルバムですね。一番聴きやすくなるように、それぞれの要素をうまいこと整理して作れてたんじゃないかなと。

──派手に盛ることもできたはずだけど、そうしなかったのは?

左からFUMIYA、SU、ILMARI、RYO-Z、PES。

ILMARI たぶんPESくんとFUMIYAが最初に作る段階で、ある程度の設計図を描いてたから、それがよかったんじゃないですかね。

FUMIYA いい意味で煮詰めてないって感じがあるのかもしれない。

ILMARI あと分業もけっこうしてたんで。PESくんとFUMIYAが地盤作ってる間に僕たちはほかのところでほかの曲やったり、あとでPESくんに入れてほしいところだけ「ここやって」ってお願いしたり。うまい感じで力が分散されてるっていうか、1つに対してゴチャゴチャ盛るんじゃない、いい力の入れ方できたんじゃないかな。だからすごく、今までのリップではやったことないような感じの制作だった気はしますね。

──そうなんですか。

ILMARI このスパンのかけ方もそうだし、作り方もそう。シングル3枚出してアルバムっていうのもすごいひさしぶりだし。

──反対に、前作の「STAR」には1曲もシングルが入ってませんからね。

FUMIYA あれはけっこうハードじゃなかった?

ILMARI すごいハードだった気がする。

──でもこのアルバム制作はハードだったという実感は全然ないと。

ILMARI は、感じないですね。

RYO-Z わりとストレスを抱えずに、スマートに仕上がったアルバムです。

ニューアルバム「GOLDEN TIME」/ 2013年12月4日発売 / unBORDE
初回限定盤[CD+DVD] 3700円 / WPZL-30777~8
通常盤[CD] 3150円 / WPCL-11581
CD収録曲
  1. GOLDEN TIME
  2. FAKE
  3. SLY(Album version)
  4. AH! YEAH!
  5. ジャングルフィーバー
  6. 気の置けない二人
  7. ROAD MAP
  8. アプリオリ
  9. 恋のシンキングタイム
  10. 断捨離ズム
  11. Run with...
  12. ロングバケーション
  13. Butterfly Effect
初回限定盤DVD収録内容
  • 「RIP SLYME presents 真夏のWOW at STUDIO COAST」スペシャル映像(ライブ映像数曲入り)
RIP SLYME(りっぷすらいむ)

RYO-Z、ILMARI、PES、SU、FUMIYAからなる4MC&1DJヒップホップユニット。1994年に結成され、2001年3月にシングル「STEPPER'S DELIGHT」でメジャーデビュー。その後2ndアルバム「TOKYO CLASSIC」がミリオンヒットを記録する。さらに国内のヒップホップユニットとして初めての日本武道館ワンマンライブを行い、日本にヒップホップ文化を広く浸透させた。2005年にFUMIYAが病気療養のため一時ユニットを離脱するも、翌年8月に無事復帰。再び5人体制で精力的にリリースやライブ活動を行っている。2010年には、メジャーデビュー10年目を記念しベストアルバム「GOOD TIMES」とカップリングベストアルバム「BAD TIMES」をリリース。2013年12月には9枚目のオリジナルアルバム「GOLDEN TIME」を発表する。

2013年12月10日更新