Rihwaがニューシングル「ミチシルベ」をリリースした。
本作は9月23日に公開される沼田まほかる原作、吉高由里子主演のミステリー映画「ユリゴコロ」の主題歌として書き下ろされた壮大なバラード。映画の世界観を踏襲しつつ、Rihwaが自身の思いをリンクさせながら紡いだ珠玉のナンバーとなっている。声帯ポリープ摘出手術のため2月末から一時活動休止し、7月にデビュー5周年ライブで復帰した彼女に、シングルの制作秘話と合わせて現在の心境やモードを聞いた。
取材・文 / 川倉由起子 撮影 / 後藤壮太郎
衣装協力:NINE
5周年を迎え、すでに一気に走り出してる感じ
──7月でデビュー5周年を迎えましたが、まずはその感想からお伺いできますか?
デビュー5周年の記念ライブを地元の札幌と東京でやらせていただいたんですけど、自分の中では、そこで5年間のひと区切りが付いた……って感じがしていて。同時にそこがスタートだなと言うか、もうすでに、一気に走り出してる感じがしますね。
──思い出に浸ると言うより、前だけを見ている感じ?
今回リリースさせていただく新曲「ミチシルベ」が5周年を迎えて一発目のシングルなんですけど、それがすごく大きいんだと思います。この曲のおかげで、本当にいい次のスタートが切れるなって……うん、かなり勢い付いてる感じがします。
──では、その流れで早速「ミチシルベ」について聞いていきますね。
はい、お願いします!
──この曲は吉高由里子さん主演の映画「ユリゴコロ」の主題歌ですが、もともとはどういうきっかけで作り始めたんですか?
5月の中旬に主題歌のオファーをいただいて、書き下ろしという形で制作を始めました。制作期間が約1カ月だったんですけど、そんな中でもたくさんの方にアドバイスをもらったり、力を貸してもらって。私のシングルではあるんですけど、なんか、周りの皆さんと一丸となって作った曲ですね。すごく濃厚な制作期間でした。
──書き下ろしということで、まずは映画の原作や台本を読まれたんですか?
映画の原作はオファーをいただいた時点で知らなくて、読もうと思ったんですけど、映画の制作サイドから「(映画の)台本だけ読んで書いたほうがいいかもしれない」というお話があったんです。映画の主題歌として書いてもらいたい、ということで。それでまずは台本を熟読して、私が抱いた感想や読み取ったものを映画の熊澤(尚人)監督とお話しさせてもらう時間を設けてもらったんです。私のイメージと監督が描いているものが合っているか、擦り合わせをすると言いますか。
──しっかりと思いを共有したうえで作り始めたかったんですね。
はい。お忙しかったと思うんですけど、監督が映画に込めた思いや観終わったあとにどんなメッセージを伝えたいのかっていう、けっこう深い部分までお話しをさせていただいて。ちゃんと意思統一ができたうえで制作に入れたのはすごくよかったです。私もより作品に寄り添うことができたし、言い方は悪いかもしれないですが、近道を通って作っていけたんじゃないかなって。
──今までも、主題歌となる作品の制作スタッフと事前に話すことはあったんですか?
過去にもいくつか書き下ろしの曲を作らせていただいたんですが、制作スタッフさんと事前にお話しして……っていうのはありましたね。クリエイター同士が話すのが一番早いと言うか、思いの共有ができているとイメージのズレもなくなるし、お会いしたあとの制作はスピード感が違うんです。そういう今までの経験もあって、今回も私からの希望で監督とお話しさせていただきました。
歌詞のテーマは「陰」のほうの愛
──Rihwaさん自身は、「ユリゴコロ」の台本を読んでどんな印象を持ちましたか?
台本を読みながら、どんどん頭の中に画が浮かんでくる感じでした。物語としてはミステリーの要素が強いんですけど、すごく美しい愛を描こうとしてるのかなって思って。熊澤監督にそれをお伝えしたら「僕もそんなふうに描こうとしてるよ」って言ってくださって。それで「ああ、大丈夫だ」って思ったのは印象に残っています。
──監督と共有したイメージを、次はどうやって楽曲に落とし込んでいったんですか?
ストーリーに少し意味深な部分があったり、映画自体に私は奥行きのようなものを感じたんです。なので歌詞やサウンド面に奥行きを出そうっていうのは最初から意識していました。そもそも監督から「バラードで」というリクエストもあったので、愛をテーマにしたスローな曲でありながら、サウンドはどこか神聖な雰囲気も出せたらなって。
──楽曲のテーマである“愛”は、どう表現しようと思いましたか?
今まで自分が音楽を通して描いてきた愛って、喜びとか幸せとか、“陽”の部分が多かったと思うんです。あとは温かさとか笑顔とか。でも今回は愛を違う面から見たと言うか。映画に描かれた愛が、愛することの苦しみやつらさ、愛することの孤独……というものの気がしたので、今回は“陽”とは真逆の愛をテーマにしていきましたね。そういうメッセージを際立たせて作品にするのは、自分の中では新しかったです。
──Rihwaさんには“陽”とは真逆、つまり“陰”のほうの愛に共感する部分があったんですか?
ありました。と言うか、もともと自分の中にもあったものかなって。例えば今回5周年を迎える直前に私は喉の手術をしたんです。それまでに実はいろんな不安や葛藤と戦っていて、深い暗闇の中でも誰かの温かな思いに小さな光を見つけたり、自分のストーリーともけっこう重なる部分があったんです。ちょうどそんなタイミングだったこともあり、気持ち的には自然とそっちに向けましたね。
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それぞれの“道標”になるものを感じてもらえたら
- Rihwa「ミチシルベ」
- 2017年9月20日発売 / TOY'S FACTORY
-
[CD]
1296円 / TFCC-89626
- 収録曲
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- ミチシルベ
- 羽
- THE GATE
Rihwa 5周年記念全国ツアー Hi! Five! Live! Tour
- ~Welcome to Rihwa Cafe~
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- 2017年11月10日(金)広島県 HIROSHIMA BACK BEAT
- 2017年11月11日(土)岡山県 城下公会堂
- 2017年11月12日(日)鳥取県 LIVE HOUSE BEXX YONAGO
- 2017年11月23日(木・祝)新潟県 ジョイアミーア
- 2017年12月10日(日)宮城県 retro Back Page
- ~Get back from REALITY~
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- 2017年12月23日(土・祝)福岡県 ROOMS
- 2018年1月7日(日)大阪府 umeda TRAD
- 2018年1月11日(木)愛知県 名古屋SPADE BOX
- 2018年1月14日(日)東京都 WWW X
- 2018年1月21日(日)北海道 札幌PENNY LANE24
- 映画「ユリゴコロ」
- 2017年9月23日(土・祝)より全国ロードショー
- Rihwa(リファ)
- 札幌出身の女性シンガーソングライター。中学卒業後にカナダに留学し、滞在中に音楽に目覚める。帰国後より地元のライブハウスなどで活動を始め、インディーズでシングル3枚とアルバム1枚をリリースする。2012年7月にシングル「CHANGE」でTOY'S FACTORYからメジャーデビュー。2014年2月には三浦春馬主演ドラマ「僕のいた時間」の主題歌となったシングル「春風」を発表した。同年4月に1stアルバム「BORDERLESS」をリリース。2016年1月には「ダイハツ キャスト スタイル」のCMソングとして高橋優の「明日はきっといい日になる」をカバーし、シングルとして発表した。2017年2月からは声帯ポリープの手術のため、約3カ月にわたり活動を休止。7月、デビュー5周年記念アルバム「Rihwa The Singles」のリリースと札幌および東京でのワンマンライブで活動を本格再開し、9月に映画「ユリゴコロ」主題歌のシングル「ミチシルベ」を発表した。