ナタリー PowerPush - Ricky

待望のソロ活動ついにスタート! 虹色シンガーが語る「R☆POP」の正体

DASEINやR*A*Pのシンガーとして活躍し、現在はRIDER CHIPS、Chrome Shelledなどに在籍する個性派シンガーRicky。彼がキャリア初となるソロアルバム「R☆POP」を11月18日にリリースする。本作はエレクトロサウンドを取り入れながらも、Rickyのハートウォーミングな歌声を主軸とした聴き応えたっぷりの作品集に仕上がっている。

さまざまなバンドのボーカリストとして活動中の彼が、ソロ活動で何を表現しようとしているのか。ナタリーではRickyと、アルバムのアレンジ/トラックメイキングを手掛けた樫原伸彦にインタビューを敢行し、アルバム制作についてやソロアーティストとしてのスタンスなどじっくり語ってもらった。

取材・文/西廣智一 インタビュー撮影/中西求

ソロは最終地点かなと思ってずっと怖がっていた

インタビュー写真

──今までいろんな形で活動してきましたが、このタイミングでソロで表現してみようと思ったのは、何かきっかけがあったんでしょうか。

Ricky ずっとバンドでやってきて、次はどうするかなと考えたとき、ボーカリストなのでソロという選択肢も常にあったけど、ソロは最終地点かなと思ってずっと怖がっていたんです。でも、ここはもう覚悟を決めて新しいことに挑戦してみようと。それと、新しいバンドを作ってもそれ以前のバンドを超えられないと思ったんですよね。でもソロだったら、もしかしたらまた別のところからもう一歩上にいけるかもしれないという期待もあって。

──じゃあソロでやろうと決めたとき、あえてバンドサウンドとは違ったものを表現しようと考えたんですか?

Ricky そうですね。ただ、これまでも自分が曲を作ってきたからメロディはソロでも僕らしいものになるはずなので、サウンドや曲の構成をちょっと変えてみたいと考えたんです。

今まで経験したことのない音楽的刺激を感じた

──1stソロシングル「唯我独SONG」はバラードでした。これはイメージなんですが、バンドのボーカリストがソロになるとバラードを歌いたがる印象があって。Rickyさんも最初のシングルはバラードでしたが、アルバムではその曲をエレクトロ調にリミックスしてます。この表現方法は本当にソロならではだと思うんですよ。

Ricky 本当にそのとおりで、僕もソロになったからバラードを歌いたいという気持ちはあったんですけど、それを他の人とは違う世界観で、違うジャンルに聴こえるようなことをしたかったんです。「唯我独SONG」はもともとシンプルなバンドサウンドのデモを作ってたんですけど、どうしても普通だなと感じてしまって。アコースティックな雰囲気は絶対に欲しかったけど、そこにエレクトロのテイストも入れてみたくて、そのイメージを樫原さんに伝えました。

──樫原さんはその相談を受けて、どういう形でサウンドを作っていったんですか?

樫原 これまでもDASEINや彼のプロジェクトに多少かかわらせてもらってましたが、ソロでやると聞いて非常に興味がわいて。制作に入る前にいろんなCDを2人で聴きながら、かなりディスカッションをしました。その中で共通のキーワードとして挙がったのが、「エレクトロとアコースティックの融合」。完全にエレクトロじゃない、どこかにヒューマンなテイストを残したサウンドを探っていきました。

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Ricky 僕も完全にエレクトロでやるつもりはなかったから、最初にあがってきたトラックを聴いたときにすごいびっくりして。自分で依頼しておいて驚くぐらい(笑)、まだ誰もやっていないような不思議な世界観なんです。そこでどれだけ自分のモノにできるか、自分の声をたくさん重ねて空間を埋めたりして、歌入れには相当時間をかけました。

──じゃあ、最初のイメージからかなり飛躍したんじゃないですか?

Ricky 飛躍しましたね(笑)。でもこれが僕の求めていたものだったんです。自分の想定の範囲内ではなく、そこを超えたサウンドが来たとなれば僕もヘタな歌は歌えないですよ。「じゃあお前、こうしたらどう来るんだ?」みたいに、一緒に作業しながらも戦っているようで、そこがプレッシャーでもあり楽しくもあり。もしかしたら、今まで経験したことのない音楽的刺激を感じることができたのかもしれないですね。

──確かに「R☆POP」はエレクトロ色が強いけど、アルバムを通して聴くと独特な温かみがあって。他のエレクトロ系のサウンドとはちょっと違いますよね。

Ricky そうなんですよ。テクノポップになってなくて、エレクトロなのに柔らかいといいますか。

樫原 彼の声の持つ温かさは本当に圧倒的で、それが何重にも重なってるのでよりそう感じさせるんでしょうね。

1stアルバム『R☆POP』 / 2009年11月18日発売 / 2940円(税込) / MARSA / ZQMS-1003

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CD収録曲
  1. R.I.C.K.Yのテーマ
  2. 裸★KING
  3. 我儘EMOTION
  4. 流れ星みつけたその夜に
  5. I'm Alive ~album mix~
  6. 唯我独SONG ~R+ENG-F remix~
  7. NIGHT&DAY
  8. アオイツキ
  9. 雨のスパイラル ~A Rainy Spiral~
  10. 「現在」 ~此ノ場所~
Ricky(りっきー)

10月20日生まれの自称宇宙人ボーカリスト、本名Ricky Astrovich Primakov。2001年1月1日にDASEIN(元SEX MACHINEGUNSドラマー JOEとの2人組ユニット)のシンガーとしてメジャーデビュー。激しいドラムとハートウォーミングな歌声が融合した「HYPER BEAT ROCK」という独自のスタイルを打ち立て、2004年1月の解散まで精力的に活動する。その後はRicky自身が率いるバンドR*A*Pや、野村義男らによる仮面ライダーオフィシャルバンドRIDER CHIPSのボーカリストとして活躍。2009年にはテレビアニメ「鋼殻のレギオス」から生まれたヴィジュアル系バンドChrome Shelledに参加するほか、Ricky名義でのソロ活動も始動させる。シャンソンで基礎をしっかり学んだ歌唱力をもとに、状況に応じて声色を変化自在に操り、さまざまな楽曲を歌いこなす進化系ボーカリストである。