音楽ナタリー PowerPush - りぶ
みきとP&大石昌良が解説する“歌い手・りぶ”の進化
りぶの芯になっているみきとPの曲
──ここからはアルバム「singing Rib」の、お2人それぞれから提供曲について聞ければと思います。まずは、みきとPさんの「アカイト」。これは「サリシノハラ」「ヨンジュウナナ」に続く三部作の完結編という位置付けなんですよね。
みきとP そうですね。実は前作の「ヨンジュウナナ」を書いたあとに、ちらっと「実は3曲目もなくはない」みたいなことを言ってたんです(笑)。もちろん、りぶくんが歌うことをイメージしてたんですけど、その時点ではどう出すかはまったく決めていなくて。それでも、この「singing Rib」の話があろうがなかろうが、とりあえず3作目は作りたいなとは思ってたんですよね。
──りぶさんとみきとPさんは1stアルバムから一緒に歩んできているわけですもんね。
りぶ そうですね。そういう意味では、「サリシノハラ」「ヨンジュウナナ」「アカイト」っていうのは、一貫してりぶの芯になってくれている楽曲だと思いますね。「アカイト」のレコーディングのときは今までのシリーズを録音してたときのこととかが脳裏によみがえってきて、泣きそうになりましたから。
──ストーリーとしてもつながっているし。
りぶ しかも「サリシノハラ」っていう曲が、どんどん広がっていったんですよね。CHRISさんが書いた「サリシノハラ」のイラストと動画をもとに、今度は男の子視点の「ヨンジュウナナ」っていう曲ができて。で、今度はその2曲が小説化されたり、マンガ化されることになって。そういう、もともとの骨組みのところに肉付けがどんどんされていって広がって。それが最終的に集大成の「アカイト」につながっていくという。その広がり方もネットっぽくて面白いと思います。
──みきとPさんも、最初に「サリシノハラ」を作ったときにはこういう展開はイメージしていなかったですよね?
みきとP この展開をイメージしてたら、なかなか僕、すごいなと思います(笑)。
りぶ やり手ですよね(笑)。
みきとP なので、これでもうこの感じの曲は書けないんだと思うと、ちょっと寂しい気持ちもあるんです。でも、「アカイト」はなんかいい感じに締まった曲になったと思います。ちょっと明るい感じの曲にはしたかったんですよ。
──明るい感じというと?
みきとP 例えば別れだったとしてもそれは前向きな別れだし、もしかしたらずっと続いてるかもしれない、という。結論は出さずに、いろんな想像をしてもらえる感じにしようと思いましたね。実は曲名の「アカイト」っていうのは「赤い糸」と「a Kite」っていうダブルミーニングで。カイトって凧っていう意味なんですけど、そこには、りぶくんがどんどん上に上がっていっても、ファンやリスナーの子たちとつながっていてほしいなっていう思いもこもっている。
りぶ それは初めて聞きました。なるほど!
楽しんでもらえるなら、犬でもなんでもやります!
──大石さんの「不可侵領域デストロイヤー」はどういうところから作っていったんでしょう?
大石 いろいろ会話をしながら「どんな曲がいいだろう」みたいなところから作っていきましたね。りぶくんの好みとか、今回のアルバムのコンセプトも改めて聞かせてもらって。で、今回は「『野崎くん』のオープニングでやってたような、ファンキーでポップで、カッコいいけど面白くてかわいい、アルバムの中でも彩りが出るような楽曲をお願いします」って言われて、よし!って作った曲でした。
──ああいうアコギを使ったファンクナンバーは、大石さんの得意技なんですか?
大石 いや、「野崎くん」の「君じゃなきゃダメみたい」っていう曲からファンクナンバーも作るようになったので、実際にすごくファンクを聴いてきたわけではなくて。ただ、アコギはものすごく練習してたし、1人で弾き語りもやってたんで、そこでどれだけエンタテインメントができるかということはやっていたんです。アコギの弾き語りを通して、自分なりのファンクとポップの融合みたいな着地点を見つけたという。そこに落とし込むような形で今回も作っていきました。あと、もともと僕、物語を想像するのがすごく好きで、それがやっぱりこの曲にも生きていると思います。
──物語というと?
大石 今回は動画もあるのでわかりやすい感じですけれど、聴き終わったときに、ほっこりしたり、犬の姿が思い浮かんだりするような曲になっていて。聴いてくれた人を楽しませたいと最近すごく考えるようになりましたね。今回の曲は僕自身も犬の声で参加してるんですけど、みんなに楽しんでもらえるんだったら、僕は犬でもなんでもやります!っていう(笑)。
みきとP ははは!
大石 そもそも、楽曲内で僕がりぶくんに飼われてる犬だというだけでも笑えるじゃないですか。「何やってんすか、大石さん」みたいに思われるのもうれしいですし。
──そういう意図もあったんですね。
大石 あとは、りぶくんの歌声の新しい可能性を引き出したいというのもすごくありました。「こんな歌い方もできるんだ」とか「何歌ってもすごいんだね」ってリスナーに印象付けられたらいいなっていう。
りぶ 実際、この「不可侵領域デストロイヤー」のレコーディングでは、大石さんにいろいろアドバイスをいただいたんです。それもすごく勉強になりました。沖井さん、フルカワさんにもいろんなことを教えていただいて。僕からしたら皆さんスーパースターだったので、立ち会っていただけたことにおそれ多くもありつつ、ほんとにいいレコーディングだったと思います。
──アルバムには自分で作詞作曲を担当した「singing」も収録されています。これはどういうところから生まれたんですか?
りぶ タイトルの「singing Rib」って、自分のTwitterのIDにも使っている言葉なんです。今回のアルバムは原点回帰なイメージもあったし、自分の中でもこれで一区切りという気持ちもあって。なので、やり残したことはないかを考えたんですね。そしたら、自分の言葉やメロディでちゃんとリスナーの人にメッセージを届けることはやっていなかったな、やっぱり自分で書かなきゃダメだと思いまして。そこから「singing」が生まれました。
──それも含めての集大成っていう感じだったんですね。
りぶ そうですね。なんか集大成とか一区切りとかいうと変に終わっちゃう感が出るんでアレですけど、そのくらいの意気込みでというか(笑)。自分に出せるものを全部出そうと思いました。下手に背伸びせず、思ったことを歌詞にしようと。
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- ニューアルバム「singing Rib」 / 2015年2月4日発売 / Victor Entertainment
- 初回限定盤 [CD2枚組] / 3240円 / VIZL-773
- 通常盤 [CD] / 2484円 / VICL-64284
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iTunes Storeにて先行配信中!
CD収録曲(共通仕様)
- アカイト [作詞・作曲:みきとP]
- 不可侵領域デストロイヤー [作詞・作曲:大石昌良]
- ダヴィンチの告白 [作詞・作曲:666]
- センチメントリバース [作詞・作曲:TOKOTOKO(西沢さんP)]
- 恋愛裁判 [作詞・作曲:40mP]
- ノストラの終末論 [作詞・作曲:buzzG]
- 虎視眈々 [作詞・作曲:梅とら]
- 朝焼けの狙撃手 [作詞・作曲:沖井礼二]
- ショコラと隕石 [作詞・作曲:monaca:factory]
- キミの心拍数 [作詞・作曲:スズム]
- 共犯者 [作詞・作曲:カラスヤサボウ]
- 独りんぼエンヴィー [作詞・作曲:koyori]
- チョコレート・ホリック [作詞・作曲:minato]
- エンゼルフィッシュ [作詞・作曲:パトリチェフ]
- プラスティックレィディ [作詞・作曲:フルカワユタカ]
- singing [作詞・作曲:りぶ]
初回限定盤特典 LIVE CD収録曲
- エンヴィキャットウォーク
- プロパガンダ
- トビウオの夢
- 気まぐれスターダム
- サリシノハラ
- ピエロ
- ラストラスト
- なれのはて
ワンマンツアー
- Rib-on"e" ~「singing Rib」Release Party~
- 2015年2月24日(火)愛知県 Zepp Nagoya
- 2015年2月26日(木)大阪府 なんばHatch
- 2015年3月4日(水)東京都 Zepp Tokyo
チケット一般発売日:2015年2月7日(土)10:00~
インストアイベント
- アニメイト 発売記念弾き語りイベント「singing Live」
- 2015年2月21日(土)福岡県 アニメイト小倉店
- 2015年2月21日(土)広島県 アニメイト広島店
- 2015年2月22日(日)大阪府 アニメイト大阪日本橋店
- 2015年2月22日(日)愛知県 名古屋市内某所
- 2015年3月1日(日)北海道 ノルベサ 3階イベントスペース
- TSUTAYA 発売記念イベント「singing Rib」発売記念トーク&サイン会
- 2015年2月28日(土)東京都 某所
- タワーレコード発売記念イベント「singing Live at CUTUP STUDIO」
- 2015年2月28日(土)東京都 タワーレコード渋谷店B1F CUTUP STUDIO
チケット一般発売日:2015年2月7日(土)10:00~
りぶ
動画共有サイトを中心に活躍する男性シンガー。音域の広い透明感のある歌声が特長で、歌唱動画の総再生回数は2000万回以上を記録するなど高い人気を誇る。2014年1月にリリースされた2ndアルバム「Riboot」はオリコンウィークリー2位を獲得し、ネットシーン以外でも着実に知名度を獲得する。2015年2月には3rdアルバム「singing Rib」をリリースした。
みきとP(ミキトピー)
ボーカロイドを使用したオリジナル曲を動画サイトで発表するボカロP。「小夜子」のような心を揺さぶるシリアスなギターロックから、330万再生を超える人気曲「いーあるふぁんくらぶ」のようなアッパーなディスコポップまで、幅広いタイプの作品を発表している。またボカロPとしての活動のほか自身が歌った動画の投稿も行っている。2014年11月には自身2枚目となるオリジナルアルバム「GOOD SCHOOL GIRL」をリリースした。
大石昌良(オオイシマサヨシ)
愛媛県宇和島市出身のシンガーソングライター。大学の軽音楽部の仲間である川原洋二、沖裕志とともに1999年に結成したSound Scheduleでボーカル&ギターを担当する。2006年にSound Scheduleが解散してから、2008年にシングル「ほのかてらす」でソロデビュー。2011年にはSound Scheduleの5年ぶりの復活でも話題を呼んだ。2012年1月に通算3作目のソロアルバム「31 マイスクリーム」、2013年2月に4thアルバム「マジカルミュージックツアー」を発表。