3人のクリエイターはどのようにReolと「金字塔」を打ち立てたのか?全員参加の座談会で明かされる幕内

「金字塔」の先の何かをまた一緒に

──話は変わりますが、Reolさんはシーンの動向はどのくらい気にしていますか?

Reol めっちゃ見てますよ。SpotifyのTOP100とかも見るし、日本の音楽も今流行ってる人は全部気になる。自分もポップスのメインストリームにいたいんですけど、「日本の音楽ってこうだよね」みたいなものはもうやっている人がいるし、自分にその適性があるわけじゃないと思うから、この形のままシーンの中にスポッとハマりたいんです。

──そうやってインプットしたものを作品に還元することもありますか?

Reol わかりやすい還元はしないです。自分が一番変なことをやっている自覚があるから、あんまり影響は受けないけど……あ、でもツイートの仕方とかは見ます(笑)。やっぱり音楽だけじゃなくて、立ち振る舞いとかってあるじゃないですか。

Iimori Reolさんは立ち振る舞いを考えなくても、曲にもう全部出ている感じがあるけどね。人間性と曲がリンクしているのがいいんだろうなって。それはライブを観ることで余計に感じ取れるだろうし、全部の相乗効果で今に至ってるんじゃないかなと思います。

ケンモチ あとは、ネット出身の人でこんなに自分をバンバン出すのって珍しいケースかなと僕は思っていて。しかも毎度「あ、今はこういうモードなんだな」ということも如実に表れるから、そういう部分も見ていて面白い。

Reol ネットの人は保守派が多いですからね。顔も出さないし。好みもけっこう一貫してる。例えばスチームパンクみたいなのが好きだったらどのMVにも歯車が出てくるとか。私は絶対無理ですね。飽きちゃう。やっている側が飽きちゃうとこなす感じになっちゃうと思うし、出したいと思ったときに出すべき。アートであるからには。

Reol

──そうした作品が今や日本以外でも聴かれていますけど、そのあたりは何か意識しますか?

Reol いや、海外も日本のファンと一緒です。日本語が第一言語かそうでないかの違いがあるから、私の言いたいことをそのまま受け取れてないかもしれないけど、別に同じ人種だからって特別ひいきしたりもないし、逆に海外の人たちへの憧れとかもなくて。私としては、無の空間にReolがいて、そこにいろんな人種の人がワーッと集まってきているような絵を想像していて。集まってくる人はどんな人であってもいいんです。音楽は聴いてくれる側とやる側がいれば、それでいいと思うんですよ。

Iimori 僕も方向性は違えどそうかもしれないですね。アメリカでもアメリカ人に合わせるよりも、独自路線をやったほうが向こうの人は絶対に聴いてくれる。僕もケンモチさんもポーター・ロビンソンにフックアップされたんですけど、ケンモチさんの場合は水曜日のカンパネラをポーターが面白いと思ってデカいフェスに出したし、僕はワケのわからないフランスのエレクトロのリミックスを出してたら、それをDJでかけてくれた。だから、アメリカっぽいことをやろうとしてEDMを作っても、絶対にいいものにはならない。

Reol 本当にそう! そもそも向こうは母数が多いから、現地でもやる人が多いことをやっても、敵が増えるだけだと思うんですよ。

Iimori そう。僕がもともと海外に生まれてたら、そっちでも成功してたかもしれないけど、一方で挫折して全然だめだった可能性もあるだろうし。日本は保守的で周りに取り込まれがちだけど、そこを見失わなければやりようはけっこうあるんじゃないかなと思う。

Reol 今はまだ海外の人がJ-POPというジャンルで思い浮かべる曲は歌謡曲だと思うんですね。でも、これからJ-POPというジャンルを思い浮かべたときにReolを連想してもらったりする存在になれたら面白いと思います。

ケンモチ エレクトロにしても、Reolがやるとやっぱりアメリカの人にも作れないようなエレクトロになるじゃん。そういうところが面白い。日本の独自性というか、文化のカラーがあっていいんじゃないかなって思いますね。

──今回のアルバム制作を経て、今後また何か一緒に作る予定はありますか?

Reol またやってみたい! また「金字塔」の先の何か……また違うものを建てましょう。

Iimori 僕はGigaさんと共作したいですね。めっちゃクラブミュージックみたいなものを作りたい。

Reol あと、イントロを作る人とAメロを作る人みたいな、マイクリレーじゃないけど、交換日記的な感じも面白そう。

Iimori それはいいね。1回どこかでスタジオに入って、同時に組んでいくのも絶対にいいと思うんですよ。

ケンモチ 「スネアの音色はこれにしよう!」とか言いながらね。

Reol そういう合宿もしたいですね。「1LDK」という曲は、結局私たち4人って部屋で1人で作るのが礎になってるからという理由でアルバムに入れたんですけど、その“1LDK”を出てもいいと思うんです。まあ、出ても誰かの1LDKに集うんだけど(笑)。今回一緒にやって「お互いこういう感じなんだ」っていうのがすごくわかったし、可能性が見えたので、今後もいろいろやりたいと思います。

イベント情報

Reol Japan Tour 2020 ハーメルンの大号令
  • 2020年2月8日(土) 広島県 広島CLUB QUATTRO
  • 2020年2月9日(日) 福岡県 DRUM LOGOS
  • 2020年2月15日(土)宮城県 Rensa
  • 2020年2月22日(土)北海道 札幌PENNY LANE24
  • 2020年2月29日(土)愛知県 DIAMOND HALL
  • 2020年3月7日(土) 大阪府 なんばHatch
  • 2020年3月21日(土)東京都 LINE CUBE SHIBUYA(渋谷公会堂)
出港編
  • 2020年4月4日(土)神奈川県 神奈川県民ホール
左上からReol、Giga、ケンモチヒデフミ(水曜日のカンパネラ)。手前がMasayoshi Iimori。