音楽ナタリー Power Push - れをる

れをる×ギガ×お菊 盟友3人で新たなステージへ

れをるの1stフルアルバム「極彩色」が7月29日にリリースされる。

「極彩色」は、れをるとギガの2人によって制作された新曲と、動画共有サイトで人気を博すnikiや梅とらといった作家陣による書き下ろしの提供曲で構成されたフルアルバム。またアルバムのジャケットアートワークや「極彩色」「ロジックエージェント」のMVなどを、れをると縁の深い映像クリエイター・お菊が手がけている。

アルバムの発売を記念して音楽ナタリーでは、今作の制作の中心人物であるれをる、ギガ、お菊の3人にインタビューを実施。“歌ってみた”など動画によるカバー作品の発表も行っていたれをるが、“盟友”2人を率いて全曲書き下ろしのフルアルバム制作に至った経緯や今作に対するそれぞれのこだわり、発売後に控えている彼女の1stワンマンライブへの意気込みなどを語ってもらった。

取材・文 / 倉嶌孝彦

バンドのような3人組

──ニコニコ動画やYouTubeなどの動画共有サイトでは、れをるさん、ギガさん、お菊さんが制作に携わった楽曲が数多く投稿されていますが、3人が最初に集まって作った作品って2012年公開の「ギガンティックO.T.N」ですよね?

れをる そうですね。「ギガンティックO.T.N」を私とギガちゃんで作ったら、当初予想していたよりもキャッチーな曲になって「ちゃんとした動画も付けたいね」っていう話になって。そのときにお菊に動画を頼んだのがきっかけですね。そこからは、ほとんど3人で動画を作ってきました。

──れをるさんたちのようにボーカリスト兼作詞家、トラックメイカー、映像クリエイターががっちり組んで複数の作品を公開していくチームって、ほかにはあまりないですよね。

れをる 私たち3人ってちょっと特異なユニットとして見られがちなんですけど、感覚的にはバンドと変わらないと思うんです。バンドだと作った曲をメンバー全員で演奏して届けるって感じだけど、私たちはそれが作詞作曲、編曲、動画制作というパートに変わったというか。

ギガ 自分は詞が書けないから。作詞をしてくれる人と一緒にできてよかったなって思ってるんです。以前は曲を書くたびに毎回違う作詞家さんに頼んでいて、気軽に曲を投稿できなかったから。

お菊 でも2人が作った曲に動画を付けるの、めっちゃプレッシャーだよ。

「極彩色」MVのワンシーン。

──プレッシャーなんですね。

お菊 ほかにもすごい動画を作っている人がいっぱいいる中で、私に頼んでくれるから。でもいつも気に入ってくれるからうれしいですね。

──「歌い手」と呼ばれる方がCDを出すときって、カバー集だったり、ボカロPたちの書き下ろし曲で構成されたものだったり、形はさまざまだと思うんです。なぜ今回れをる、ギガ、お菊という3人を軸にしたオリジナルアルバムを制作しようと考えたのでしょうか?

お菊 もともとこの3人では自主制作アルバムを作ったこともあって。いずれもっとたくさんの人に聴いてもらえるようなアルバムを作りたいねって話はしていたんです。

れをる “歌ってみた”って画期的だし最先端の文化だけど、やっぱり曲を作った人の言いたいことをカバーで十二分に表現することって限界があるじゃないですか。自分で書いた歌詞やメロディを自分で歌うことが、聴き手に一番届くはずだから。私は伝えたいこととか、訴えたいことが増えてきたから、オリジナル曲を作りたくなったんです。歌だけでなくもっと、自分のことを知って欲しくなった。

気高さと強さを感じさせる言葉

──オリジナル曲でアルバムを作ろうと思い立ってから、どういう取っ掛かりで今作「極彩色」は作られていったんでしょうか?

れをる アルバムを作ることは3人の中で固まってたけど、名前が決まらなくて。アルバムのテーマが「色彩」なんですけど、そのきっかけはイラストレーターの(望月)けいちゃんがTwitterに水彩のイラストを公開してたことなんです。それを見てアルバムのテーマが決まったし、ジャケットのイラストを彼女にお願いすることにして。

お菊 そのあと「極彩色」って言葉が強そうでいいって話をしたんだよね。

れをる 「極」って強そうじゃんって(笑)。気高さとか強さを感じさせる言葉にしたくて。

「極彩色」MVのワンシーン。

──今回のアルバムではアートワークやロゴ、小冊子のデザインなどをお菊さんが手がけています。作品の全体的な空気感というか、総合的なデザインは3人で話し合いながら作ったんですか?

お菊 そんなにみっちり話し合ったわけでもないんですよね。そこまで悩みもせず、けっこう自然に作れた感じ。

れをる 私たち3人って普段から仕事以外のことも共有してて。だから私が好きなものを2人は熟知してるんです(笑)。今回は「アンティークで、退廃的な感じ」ってイメージを伝えたら、思う通りのものが上がってきた感じでしたね。

──まさに阿吽の呼吸でできあがったわけですね。

ギガ 話し合ったことといえば、3人で提供曲のイメージカラーを決めたことですね。

お菊 そうそう。ゲスト作家さんの曲が届いたら3人で、「この曲は赤だ」とか話し合って。アルバムの小冊子には、曲ごとに私たちが決めた色をさりげなく入れてみたり。

れをる 私たち3人の曲は「白」っていう設定なんです。そこにいろんな人の色を乗せて極彩色になる、みたいなイメージですね。

ニューアルバム「極彩色」 / 2015年7月29日発売 / Victor Entertainment
初回限定盤A [CD+DVD] 3240円 / VIZL-850
初回限定盤B [CD+ブックレット] 3240円 / VIZL-851
通常盤 [CD] 2484円 / VICL-64391
CD収録曲
  1. -nil-
    [Music:ギガ]
  2. 極彩色
    [Music & Arranged:ギガ / Lyrics:れをる]
  3. 生命線
    [Music & Lyrics / Arranged:L.Petty]
  4. 水底游歩道
    [Music & Lyrics / Arranged:かめりあ]
  5. ハルシアン
    [Music & Lyrics:れをる / Track:ギガ]
  6. ロジックエージェント
    [Music & Lyrics / Arranged:niki]
  7. -orderly-
    [Music:ギガ]
  8. mede:mede
    [Music & Lyrics:れをる / Track:ギガ]
  9. Syrup
    [Music & Lyrics / Arranged:monaca:factory]
  10. ラ・タタン
    [Music & Arranged:ギガ / Lyrics:れをる]
  11. ミッドナイトストロウラ
    [Music & Lyrics / Arranged:EZFG]
  12. Behind The Night
    [Music & Lyrics / Arranged:takamatt]
  13. ROXY
    [Music & Arranged:ギガ / Lyrics:れをる]
  14. 約束の蒼
    [Music & Lyrics / Arranged:やいり]
  15. MONSTER
    [Music & Lyrics / Arranged:梅とら]

  16. [Music & Lyrics:れをる / Arranged:ギガ]
初回限定盤A DVD収録内容
  1. 極彩色 Music Video
  2. ロジックエージェント(Reol Silhouette ver.) Music Video
  3. 極彩色制作メイキング
れをる「れをる単独公演 極彩色High Fidelity 東の宴」

2015年10月23日(金)東京都 TSUTAYA O-EAST
OPEN 17:30 / START 18:00

れをる

ニコニコ動画やYouTubeといった動画共有サイトを中心に活動する女性ボーカリスト。2012年に投稿した楽曲「ギガンティックO.T.N」では作曲をギガが、作詞と歌をれをるが、動画をお菊が担当。同曲は“歌ってみた”“踊ってみた”をはじめとしたさまざまな二次創作動画が作られ、その知名度を一気に広めた。その後も「+♂」「No title」などれをる、ギガ、お菊の3人が制作に携わった動画を多数投稿し、人気を集めている。2015年7月には1stソロアルバム「極彩色」をリリース。また10月には東京・TSUTAYA O-EASTにて1stワンマンライブ「極彩色High Fidelity 東の宴」を開催する。