奈落が怖くてしょうがない

──でもレキシはどの曲も非常にキャッチーですし、何かのきっかけで大ヒット、大ブレイクするというのは実際ありそうですよね。

池田　キャッチーにっていうのは、もう曲作りの前提ですからね。わかりやすく届きやすいもの。しかも薄っぺらくならないように、歌詞にはトリプルミーニングぐらいの意味を持たせてみたり。

いとう　俺も基本的に難しいラップはしないようにしてる。4小節からまたがって6にいって、7の裏から出てきたりっていうようなことはね、まず自分が覚えられないし（笑）ライブのときに盛り上がりにくい。客にマイク渡したら客がやれるくらいじゃないとダメなんだよ。シンプルでグルーヴィなラップっていうのは意識してますよね。

──池田さんから参加アーティストの皆さんにそういうリクエストをするんですか？

池田　いや、ほとんどおまかせで「自分のやりたいようにのびのびやってください」としか言わないです。でも「その代わり120％出してください」って。

──それって一見気楽に思えますけど……。

池田　そう、よく考えたらプレッシャーなのかもしれないですよね。

──スタンスとしては「よきに計らえ」っていうことですもんね。

いとう　そうなんだよね（笑）。だからみんな「いいプレイしなかったら恥かいちゃうな」的な感じで、レキシでは自分にしかできないものを出してきてると思う。

──レキシを初めて聴いたときには「ふざけてるのかな、この人」って思ったんですけど、どうやら本気なんだというのが、3枚目にしてわかってきた気がします。

池田　あはははは（笑）。

いとう　まあ本気じゃなきゃ3枚も出さないもんね。

池田　そうですね、毎回ガチンコで真剣に作ってますから。評価みたいなものは、あとからついてきたぐらいの感じで。

──ライブの規模もどんどん大きくなって。

池田　いや、でももう怖いですもん。ここから堕ちていくのが……。

いとう　いやいや、まだ天下取ってないんだからさ。

池田　天下取るギリギリぐらいでいたいっていうか、今から奈落が怖くてしょうがないです（笑）。