ナタリー PowerPush - レキシ
レキシが歴史に名を刻む!“日本史ポップス”の集大成
みんな「参加するなら負けない」という意識がある
──これだけの客演陣をレキシのフィールドに招いて、かつそれぞれのポテンシャルを最大限に活かすという点で、池田さんのプロデュース能力も露わになっているなと思います。
楽曲を作る上で客演陣のいいところを強調するというのは大切なことなんですけど、こちらが曲を提示したときに、みんなすごく響いてくれるんですよ。そういう意味では、みんなのことをもともとリスペクトしていましたけど、今回の制作でその度合いが強まりましたね。だから、俺はなんもしてないっす! どんどん歌ってください! ラップしてください! みたいな。注文も出さなかったですから。ほとんど一発OKで。テイクをたくさん録ったら録ったで選ぶのが大変で。Deyonnáなんてレコーディングスタジオに先に入って練習してくれてましたから。「すいません!」って恐縮しちゃって。
──やっぱりレコーディング現場は笑いが絶えない感じですか?
もちろん。歌詞を見てみんな笑いをこらえるのに必死みたいな。僕だって、客演陣が書いてくれた歌詞を見て「こんな歌詞書いてきちゃって!」って笑っちゃうんですよね(笑)。
──聖徳ふとこさんとの「ほととぎす」なんて、歌詞を見ないで聴いていると切実なラブソングにも聴こえるんだけど、歌詞を追うと、家康のホトトギスに対する思いが綴られてるっていう(笑)。
そうそう(笑)。面白いでしょ?
──最高ですね。それと同時にその面白さを導くまでに独特の緊張感もあると思うんですよね。池田さんの「本能」という言葉を借りるならば、アーティストとしての本能剥き出し合戦みたいな。
ああ、そうですね! どっかしらで「参加するなら負けない!」っていう意識があるかもしれないですね。ああ、それは絶対にあるな! ある意味での嫉妬心というか。
──だから音楽的な熱量も高まる。
そうですね。嫉妬心って大事ですよね。
江戸、明治、CDが売れる時代
──あと、本能的かつ振り切った遊び心が貫かれているという音楽だからこそ、絶対に子供も楽しめると思う。
あ、そうそう、足軽先生が出演しているNHK教育テレビの「ピットワールド」という番組があって、その中のコーナーに僕も参加させてもらってるんです。何をやっているかというと、ダジャレをいろんなジャンルの曲に乗っけて歌う。最初はダジャファンクからはじまって、そこからマンボ、レゲエ、最近はダジャマサラでインド音楽にまで手を伸ばして(笑)。意識してなかったけど、ポップさ、親しみやすさという意味でレキシと共通するところがかなりありますね。
──という意味で、レキシは世代を問わない全方位型ダンスミュージックだなと──。
ん? 前方後円?
──いや、前方後円墳じゃないです。
あはははは! このアルバムのキャッチフレーズが決まりましたね!「世代を超えた前方後円墳」って帯に入れたいですね!
──スケジュール的にブックレットの入稿を終えているようです(笑)。
残念だなあ(笑)。でも、ホントに俺がさだまさしさんから始まったように、レキシも未就学児に影響を与えられたらいいですよね。「歴史の勉強」って言ったら取っつきにくい感じがあるけど、レキシを聴いて楽しんでもらって、「たまたま試験に出てラッキー!」みたいな。
──楽しむことが一番だ、というメッセージが、ラストの「歴史と遊ぼう」という曲に込められていますよね。
そう。とにかく音楽で遊んで、踊って、楽しもうと。それは結果的に何よりの勉強になるんじゃないの?っていう。
──ここからレキシの未来をどう見据えているんですか?
俺にとってのレキシはライフワークですから。定期的に江戸東京博物館に足を運んでいるんですけど、それも本能なんですよね。その時代の世界に入り込んで「わー!」ってなる。博物館で実際に千両箱を持って「わー! 重ーい!」って楽しむのも本能で。その感覚をレキシに貫いていきたいですね。千両箱からお金も盗むけど、君のハートも盗むぜ、みたいな。
──(笑)。
ああ、やっぱりそういうことなんだなあ。そうやって続けていきたいですね。いつかレキシが歴史に名を刻めるように——。あれ? これ帯じゃないですか?
──いや、もう入稿しちゃってるんで間に合わないです。5月には東京と大阪でライブも決まってますね。
そう! 今回の客演陣はライブを見て「参加したい!」って言ってくれた人たちですから。それはどういうことか。言いたいことはわかりますよね? って感じですね。で、次の作品が聴きたい人はCDも買ってください。もうね、「CDが売れない時代」って言うことが古い! レキシはあえて「CDが売れる時代」って言いたいですね。あ、それ帯で。「江戸、明治、CDが売れる時代」ってどうですか?
──いや、もう入稿しちゃったんで。
残念!(笑)
CD収録曲
- そうだレキシーランド行こう feat. MC末裔・MC四天王
- きらきら武士 feat. Deyonná
- ペリーダンシング feat. シャカッチ
- どげんか遷都物語 feat. 織田信ナニ?
- ほととぎす feat. 聖徳ふとこ
- かくれキリシタンゴ ~Believe~ feat. MC母上
- レキシ ト ア・ソ・ボ
- 妹子なぅ feat. マウス小僧JIROKICHI
- 狩りから稲作へ feat. 足軽先生・東インド貿易会社マン
- 歴史と遊ぼう
レキツアー
~皆で遺跡を巡りたかった~
- 2011年5月4日(水・祝)
東京都 新代田FEVER
OPEN 17:30 / START 18:00 - 2011年5月8日(日)
大阪府 梅田Shangri-La
OPEN 17:30 / START 18:00 - 2011年5月14日(土)
東京都 新代田FEVER
OPEN 17:30 / START 18:00
チケット一般発売日:2011年4月2日(土)
レキシ
1974年2月15日生まれ、福井県鯖江市出身の男性アーティスト・池田貴史のソロプロジェクト。1997年にSUPER BUTTER DOGのキーボーディストとしてデビューし、ハイクオリティなプレイとエンタテインメント性あふれるパフォーマンスで人気を博す。2004年からは中村一義が結成したバンド、100sのメンバーとしても活躍。2007年にレキシとしての1stアルバム「レキシ」をリリース。豪華ゲスト陣とともに、日本史の登場人物や史実をポップミュージックに乗せて歌うスタイルで大いに注目を集めた。2011年3月、約4年ぶりのフルアルバム「レキツ」を発表。5月には初のワンマンライブを行う。